2006.3.31
エルデーディ弦楽四重奏団 メンデルスゾーン全曲演奏会1
これほどひとつの調性が意識された演奏会もめずらしいことではないだろうか。
エルデーディ弦楽四重奏団によるメンデルスゾーン全曲演奏会の第1回は、変ホ長調に始まり変ホ長調に終わる演奏会であった。同じ調性ばかり集めるのは、ややもすると響きが似通ってしまうから「取り扱い注意」だが、うまくやれば逆に、同じ調性の中に幾重もの異なった音色が存在していることを、よりはっきりと理解させることができる。エルデーディの演奏はもちろん後者だった。彼らはひとつひとつ音楽の糸を丁寧に紡いで、繊細なニュアンスの違いも細やかに描き出していた。
今回弾かれた三つの弦楽四重奏曲は、前半に二つの変ホ長調、後半にホ短調の作品、そして最後のアンコールに、作品番号のない四重奏曲の一部が演奏されたが、これが再び変ホ長調だったのだ。たとえ曲を知らなくても馴染みやすく思えるのは、ヴィオラの桐山健志さんがプログラムの解説で指摘したように、変ホ長調を聴くとメンデルスゾーンの場合、弦楽八重奏曲を想起するからだろうし、ホ短調はヴァイオリン協奏曲をイメージするからだろう。
第1番変ホ長調(作品12)は蒲生克郷さんの第1ヴァイオリンに特に、みずみずしさを感じた。少しずつクレッシェンドしながら一足に駆け上がってテーマを朗々と歌い上げるところには心地よい緊張感があった。第4楽章の後半は、ほぼまるまる第1楽章からの引用で、曲の終わりもまったく同じである。重苦しいヘ短調の圧迫感から、雲間から陽光が射しこむように変ホ長調に戻ったときの解放感は、何と穏やかで満たされたものであることだろう! 最後に木の葉が舞い降りるようにひらひらと静かに音楽がピアニッシモに収斂していくときの、心地よい穏やかさは見事だった。
第5番変ホ長調(作品44-3)は第1番と同じ変ホ長調で、まるでその写し絵のようにも思えてくるが、個々の楽器が第1番以上に緊密なアンサンブルを保ちつつ、チェロもヴィオラも主張し始める。2楽章に各々の楽器にそれぞれ現れる半音階的進行には4人のアンサンブルが強く意識されているのが伝わってきたし、第3楽章でも和音のバランスを慎重に音を選んでいるのがよく分かった。
休憩を挟んだ後半、第4番ホ短調(作品44-2)の1楽章においても、ト長調の第2主題に移る直前の和音の繊細な動きを、四人の奏者はきわめて慎重にひとつずつ響きを確かめるように丁寧に弾いていた。休憩前の前半以上に表現が細かく、音量を抑えていくポイントを緻密に計算しているという印象を受けた。それは2楽章の小洒落たピチカートにも現れていた。叙情的で美しい旋律を持つ3楽章は、この日の演奏の白眉だったと思う。蒲生さんのヴァイオリンといい、それに続いて朗々と歌い上げた花崎さんのチェロといい、最後のヴァイオリン二人の静かにゆらゆらと舞い降りる様子といい、ここでも第1番で聴いたような充溢した穏やかさに浸ることができた。3楽章を終えてそっと弓を下ろした蒲生さんが、うんうんとうなづいていたのも得心されよう。
4楽章が駆け抜けるように終わると、ブラヴォーという数がかなり多かったので驚いてしまった。聴衆の反応もとてもよかったみたいだ。メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲をこれほどまとまった形で聴けること自体、素晴らしいことだと思う。次回の5月の第2回もとても楽しみである。
公演に関する情報
〈クァルテット・ウェンズデイ#47〉
エルデーディ弦楽四重奏団 メンデルスゾーン全曲演奏会1
日時: 2006年3月29日(水)19:15開演
出演者:エルデーディ弦楽四重奏団
[蒲生克郷/花崎淳生(Vn)、桐山建志(Va)、花崎薫(Vc)]
演奏曲:
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第1番変ホ長調作品12、
第5番変ホ長調作品44の3、第4番ホ短調作品44の2
育児支援コンサート~子どもを連れて、クラシックコンサート
去年に引き続き今年も「育児支援コンサート」を聴くことができた。クラシックの西洋音楽がメインだった前年とは対照的に、今回は日本音楽集団による日本の伝統楽器を用いた演奏会であった。
第1部ではまず、子どもたちは4つの音楽スタジオに入り、年齢別に音楽体験をする一方、大人たちはホールで別プログラムの演奏会を楽しむ。そして第2部は大人と子どもが一緒に音楽を聴きあう、という流れだ。前半の第1部は、6歳児のむんちぎ組の様子を見学させてもらった。
始まる前のスタジオでは、サポーターの皆さんが忙しく熱心に働いていた。靴を脱いで中に入ると、子どもたちは楽しそうに折り紙をしたりサポーターの方と一緒に絵本を読んだりしている。この演奏会が、多くのサポーターに支えられて成り立っているということを改めて実感させられる。
3時を回ったころ、むんちぎ組(年長組)に三味線の山崎千鶴子さんが現れた。赤い布の上に座っていきなり激しく弦を打ち鳴らし始めると、各々の遊びに夢中だった子どもたちは「何だろう?」という表情で山崎さんへ眼差しを向ける。テンポが速まるにつれ、30数人ほどの子どもたちは三味線を食い入るように見始めた。曲が終わると山崎さんは三味線を「江戸時代のギター」と説明した。次に彼女が弾き始めた曲は、どこかで聴いたことがあるな、と思ったら「千と千尋」のテーマだった。「みんな歌ってね」と山崎さんは言って、サポーターの方も熱心に歌っていたし、三味線の伴奏もきれいだな、と僕は感じたけれど、子どもたちの多くはこの曲を知らなかったみたいだったので、ちょっと残念だった。
次に「江戸時代の曲をみんなで歌ってみましょう」と、みんなに「おてもやん」の歌詞カードを配り、弾き語りをしてみせた後で、唄の意味や音楽を分かりやすく山崎さんは解説された。唄いながら「おてーもーやーーあ、あん」とこぶしをきかせたり、音楽なしの語りの部分を「ラップのようなものです」と説明したり、リズムの面白さを強調しながら、子どもたちの興味を引くように工夫されていたと思う。でも、6歳の子どもたちにはやや難しかったかもしれない。独特の節の唄い方はなじみにくかったのか、唄の部分では子どもたちの声は小さく、語りになると急に声が大きくなったので、笑ってしまった。
後半は三味線を実際に試し弾きしてみるワークショップだった。去年、楽器体験は(ブームワッカーを使ったひとつのスタジオを除いて)ほとんどなかったが、今年は実際に音を鳴らしてみるということに重点が置かれていたように思う。ふたつのグループに分かれて、ひとりずつ山崎さんは右手のバチの持ち方、左手の弦の押さえ方を丁寧に教えてまわり、それぞれ音色の違いを実際に弾くことで、子どもたちに体験させていく。ひとりにつき二、三分かけているから当然、時間はかかるし、自分の番でない子たちは騒がしくなったり遊んでいたりもしたのだけれど、各々ひとりずつ三味線にじかに触れるという体験をすることができた、という点をより評価すべきだと思う。
もちろん子どもたちは初めて三味線音楽に接しているのだから、すぐに音楽を理解するというわけには行かないだろう。むしろ大事なことは、これが子どもたちにとって三味線に接する最初のきっかけとなったということである。いまは分からなくとも、いつか小さいころに三味線に触れたという経験があったことを思い出すことがあれば、人生の奥行きのひとつになるかもしれないのだから。
第2部「みんな一緒のコンサート」では、まず吉松隆≪星夢の舞≫から5曲演奏された。吉松隆は、邦楽器で演奏してもやっぱり吉松隆だなあと分かる。メロディーが美しくて、感傷の波にさらわれる心地がする。拍子木を大きくしたような木板を豪快に打ち鳴らす<点々>や、笛の奏者や三味線の奏者が立ち上がってリズムよく演奏する<舞戯之舞>といい、聴いているだけで楽しくなる。
最後に「ヘチと怪物」という韓国の絵本が、朴範薫(パク・ポンプン)作曲の<日本楽器によるシナウイ>に乗せて、佐々木梅冶さんが感情こめて朗読された。話の内容と絵の雰囲気は、「日本むかし話」で言えば、後半の第2話の怖い方の話という気がした。太陽の神ヘチがパクチギ大王などの四兄弟に太陽を盗まれた場面に差しかかると、会場の子どもたちも静まり返っていたのが印象的だった。
今回の育児支援コンサートでは、去年のスタンダードなクラシックコンサートとは趣向を変えて、知っているようで知らない日本や韓国の音楽・文化を見つめるきっかけになったのではないかと思う。本来、身近であるはずの日本の三味線だって実際のところ、大人の僕でもあまり知らないわけだから。そのため第1部のスタジオは、山崎さんの解説に目からうろこという思いだった。「おてもやん」は、子どもたちは歌詞の意味もよく分からぬまま口ずさんでいたであろうけれど、大人になってから実はこの唄がダメ亭主を揶揄した曲だと気付いたら、さぞかし愉快だろうと思う。ともあれこうした演奏会の活動を地道に続けていくことによって、草の根から私たちの音楽の裾野が広がっていくと期待したいと思う。
公演に関する情報
〈ライフサイクルコンサート17〉
育児支援コンサート~子どもを連れて、クラシックコンサート
日時: 2006年3月26日(日)15:00開演
出演者:日本音楽集団、佐々木梅治(劇団民藝/朗読)
演奏曲:
第1部
・子どものための音楽スタジオ(幼稚園年少組年齢から年長組年齢対象/
4歳児~6歳児まで、4つのスタジオにわかれ、演奏家と一緒に楽しい音楽体験をします。)
・大人のためのコンサート(小学生から)
~楽しい初めての邦楽器アンサンブル~
長沢勝俊(作曲):二つの舞曲より
三木稔(作曲):「四季」ダンス・コンセルタントⅠ、
指揮者による楽器紹介つき。(演奏楽器:笛、尺八、三味線、琵琶、十七絃、打楽器)
第2部
・みんな一緒のコンサート
音楽と韓国の絵本「ヘチとかいぶつ」(全国学校図書館協議会選定)
エルデーディ弦楽四重奏団 メンデルスゾーン全曲演奏会1
エルデーディ弦楽四重奏団のメンデルスゾーン(第1回)を聴いて
エルデーディ弦楽四重奏団のSQW約一年振りの登場を聴きました。前回はハイドン生涯最後の弦楽四重奏曲9曲を全3回で集中度の高い演奏を聴かせて頂きました。今回は、回数こそ2回ですが、同様若しくはそれ以上に大変そうな(素人目に)メンデルスゾーンの番号付6曲で、その第1回でした。演奏された作品は、順番に第1,5,4番。
前回も、また、SQWに登場する多くのクァルテットが「全集」や「選集」という形で一人の作曲家の作品を集中して取上げていますが、なかなか大変な事だと思います。集中して演奏するからこそその作曲家特有のものが醸し出されるかと思いますが、その中で個々の作品の個性を表現されるのはクァルテットの腕の見せ(聴かせ)所ではないかと思います。実演でこの様な形で聴けるのは、作品ごとの個性などを、聴き逃すまいと、楽しみながら必死に聴ける醍醐味が味わえるのも魅力の一つです。また、その作曲家の世界に浸れるのも嬉しいところでしょうか。
今回、聴く際に気にしたいと思っていたのはパート・バランス。メンデルスゾーンの作品に良く現れるフーガやメロディのバックとなる、音の刻みや移弦を多用した反復音型がどの様に聞えるのか、この辺りが特に聴いてみたく、楽しみな所でした。フーガもある特定のパートだけが目立つのではなく、全パートがここぞという時に主張するのは、実演では聴かせ所であり、また、難しい所でもあると思います。また、音の刻みや移弦を多用した反復音型はある程度の主張をしつつ、メロディを際立たせるのも同様ではないかと思いますが、どの作品の演奏も素晴らしいバランスで響いていて、その作品の世界へ引き寄せられるものでした。また、度々現れる全パートのユニゾンや、スケルツォや終楽章に現れる高速の無窮動の醍醐味も味わえ、次回の演奏が大変楽しみです。
併せて、日本のメンデルスゾーン研究の第一人者でもあるヴィオラの桐山さんの解説も作曲家の世界に引込んでくださり、更に次回も是非足を運んでみたいと思う演奏会でした。
公演に関する情報
〈クァルテット・ウェンズデイ#47〉
エルデーディ弦楽四重奏団 メンデルスゾーン全曲演奏会1
日時: 2006年3月29日(水)19:15開演
出演者:エルデーディ弦楽四重奏団
[蒲生克郷/花崎淳生(Vn)、桐山建志(Va)、花崎薫(Vc)]
演奏曲:
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第1番変ホ長調作品12、
第5番変ホ長調作品44の3、第4番ホ短調作品44の2
育児支援コンサート~子どもを連れて、クラシックコンサート
第一生命ホールで行われた「育児支援コンサート」を手伝わせていただきました。
自分の周りにあまり子供の存在がないためか、役に立てるかどうか、不安な気持ちもありました。しかし、一月ほど前の中央区勝どき児童館で行われたアウトリーチ「弦楽器ワークショップ」をお手伝いした際、楽器を手にした時の子供たちの生き生きとした笑顔を見て、お手伝いすることにしました。
コンサートの前半、親御さんがホールで鑑賞している間、子供たちが邦楽器の奏者の方の演奏を聴いたり、一緒になって音を出す事を楽しむクラスの担当。自分がお手伝いをしたのは最年少の子供たち(4歳)のクラス。
親御さんに連れられた子供達を預かり、靴を脱いでもらって入ってもらうことに。部屋の中には折紙や絵本などを用意し、始まる迄遊んでもらいましたが、子供達の名前がわからないので、機転の効くサポーターの方が受付時に使用した名札に名前を訊き、書き始めました。子供達も名前を呼んでもらい親近感が生れた様です。
もうすぐ始まるから片付ける様声を掛けるとみんな一斉に片付け始めたのはこれからの事を期待していたからでしょうか。時間となり、尺八・笛の奏者添川さんが来られ、尺八や様々な笛を演奏。古典作品から始まり、祭囃子、鳥の啼き真似のできる笛、大きな古時計やトトロの曲、など子供達にも親しみ易い曲迄を取り上げられ、子供達は、普段身近に接する機会の少ない楽器から、親近感のある音やメロディがながれたせいか、関心を寄せていた様です。
楽器の体験のコーナーでは添川さんが一本一本竹を削って用意された、ミニ尺八を吹いてみる事に。原理はフルートと同じとの事なので、コツを掴むまでが一苦労。しかし、その末に音を出す事の出来た子供達は何にもまして輝いた表情をしていました。難しいだけに達成感は充実でしょう。なかなかできない子供達と一緒に吹き方を繰り返し、その一生懸命さには心打たれるものがありました。
親御さんが迎えにいらした際、別れの挨拶を満面の笑みで返してくれた子供達は、手伝いができて、最高の贈り物を頂いた気持ちになりました。
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〈ライフサイクルコンサート17〉
育児支援コンサート~子どもを連れて、クラシックコンサート
日時: 2006年3月26日(日)15:00開演
出演者:日本音楽集団、佐々木梅治(劇団民藝/朗読)
演奏曲:
第1部
・子どものための音楽スタジオ(幼稚園年少組年齢から年長組年齢対象/
4歳児~6歳児まで、4つのスタジオにわかれ、演奏家と一緒に楽しい音楽体験をします。)
・大人のためのコンサート(小学生から)
~楽しい初めての邦楽器アンサンブル~
長沢勝俊(作曲):二つの舞曲より
三木稔(作曲):「四季」ダンス・コンセルタントⅠ、
指揮者による楽器紹介つき。(演奏楽器:笛、尺八、三味線、琵琶、十七絃、打楽器)
第2部
・みんな一緒のコンサート
音楽と韓国の絵本「ヘチとかいぶつ」(全国学校図書館協議会選定)
エルデーディ弦楽四重奏団 メンデルスゾーン全曲演奏会1
3月末にしては肌寒く感じられる春風の中、オフィス帰りのサラリーマン、OLの足並みとは逆方向に歩を進めた。第一生命ホールに向かうためである。僕にとって第一生命ホールは、残念ながらあまり馴染みのない場所である。その理由は多々あるのだろうが、やはり一番の理由は、自宅から近いとは言えないからであろう。そのことも手伝ってか、第一生命ホールを含めた「晴海」という場所がとても新鮮に感じられた。
この日に第一生命ホールで行われた催しは、メンデルゾーンの弦楽四重奏を二回に分けて全曲を演奏するという企画の第一回目である。プログラムは、第1番変ホ長調作品12、第5番変ホ長調作品44―3、第4番ホ短調作品44―2。演奏者はエルデーディ弦楽四重奏団。昨今のクラシック音楽会ではあまり見られない、珍しいプログラムではないだろうか。弦楽四重奏には門外漢である僕にとって、この日のプログラムは少し物足りなく、また不安に感じていた。しかしその不安は演奏が始まった途端に消え去った。弦楽器をCDなどではなく生で聴く機会が多いとは言えない僕にとって、弦を擦る作業は非常に興味深く、その瞬間は心地よい緊張感を覚えた。まるで細い糸を紡いでいくかの如く繊細であった。ヴァイオリンの音色は優しさを感じさせ、聴いていて嫌みのないものであった。ヴィオラの音色も暖かみがあり、頭脳的であったように感じた。また、弦楽四重奏を支えるチェロの響きにも感銘を受けた。長い持続音で支えていることもあれば、ヴァイオリンに負けないような早いパッセージもこなすチェロは、見ていて、聴いていて心強かった。特に早いパッセージの場面は、バッハなどの音楽を好む僕にとっては、非常に新鮮であった。
弦楽四重奏とは耳を驚かすような大きな響きはなく、少し耳を傾けて聴く音楽であろう。力強いオーケストラにはない優しく包み込むような響きが弦楽四重奏にはあるのではないだろうか。弦をハンマーで叩くピアノと違い、ヴァイオリンに代表される弦楽器からは、直接的ではない暖かさを感じた。勿論ピアノの響きにも様々な暖かさはあるのだが。
演奏前に感じていた恥ずかしい不安などのことを忘れさせる優しく包み込むような、品の良い演奏会であった。
アンコールが終わり、席を立ち出口に向かう中で心暖まる光景が見られた。聴衆の多くの人々がロビーなどで談笑しているのである。連れ添って来たわけでもない聴衆たちが、これまでの演奏会や催しなどで顔馴染みになり、談笑しているのであろう。このような光景を他のホールではあまり見受けられない。
音楽会や催しを通して顔馴染みになり、人間通しの暖かな交流を育んでいくことこそが音楽会などの魅力の一つではないか、とふと考えさせられた。そんなことを頭に浮かべながら暖かい気持ちになり、ホールを後にした。動く歩道に乗る気にもならず、馴染みの薄い「晴海」からの夜景を見ながら演奏会の余韻、暖かな光景を思い出しゆっくりと家路に向かった。これからはこの「晴海」と顔馴染みになるかも知れないと感じた。
公演に関する情報
〈クァルテット・ウェンズデイ#47〉
エルデーディ弦楽四重奏団 メンデルスゾーン全曲演奏会1
日時: 2006年3月29日(水)19:15開演
出演者:エルデーディ弦楽四重奏団
[蒲生克郷/花崎淳生(Vn)、桐山建志(Va)、花崎薫(Vc)]
演奏曲:
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第1番変ホ長調作品12、
第5番変ホ長調作品44の3、第4番ホ短調作品44の2