エルデーディ弦楽四重奏団 メンデルスゾーン全曲演奏会1
報告:朝山勝治 (2階1列R25番)
投稿日:2006.03.31
エルデーディ弦楽四重奏団のメンデルスゾーン(第1回)を聴いて
エルデーディ弦楽四重奏団のSQW約一年振りの登場を聴きました。前回はハイドン生涯最後の弦楽四重奏曲9曲を全3回で集中度の高い演奏を聴かせて頂きました。今回は、回数こそ2回ですが、同様若しくはそれ以上に大変そうな(素人目に)メンデルスゾーンの番号付6曲で、その第1回でした。演奏された作品は、順番に第1,5,4番。
前回も、また、SQWに登場する多くのクァルテットが「全集」や「選集」という形で一人の作曲家の作品を集中して取上げていますが、なかなか大変な事だと思います。集中して演奏するからこそその作曲家特有のものが醸し出されるかと思いますが、その中で個々の作品の個性を表現されるのはクァルテットの腕の見せ(聴かせ)所ではないかと思います。実演でこの様な形で聴けるのは、作品ごとの個性などを、聴き逃すまいと、楽しみながら必死に聴ける醍醐味が味わえるのも魅力の一つです。また、その作曲家の世界に浸れるのも嬉しいところでしょうか。
今回、聴く際に気にしたいと思っていたのはパート・バランス。メンデルスゾーンの作品に良く現れるフーガやメロディのバックとなる、音の刻みや移弦を多用した反復音型がどの様に聞えるのか、この辺りが特に聴いてみたく、楽しみな所でした。フーガもある特定のパートだけが目立つのではなく、全パートがここぞという時に主張するのは、実演では聴かせ所であり、また、難しい所でもあると思います。また、音の刻みや移弦を多用した反復音型はある程度の主張をしつつ、メロディを際立たせるのも同様ではないかと思いますが、どの作品の演奏も素晴らしいバランスで響いていて、その作品の世界へ引き寄せられるものでした。また、度々現れる全パートのユニゾンや、スケルツォや終楽章に現れる高速の無窮動の醍醐味も味わえ、次回の演奏が大変楽しみです。
併せて、日本のメンデルスゾーン研究の第一人者でもあるヴィオラの桐山さんの解説も作曲家の世界に引込んでくださり、更に次回も是非足を運んでみたいと思う演奏会でした。
公演に関する情報
〈クァルテット・ウェンズデイ#47〉
エルデーディ弦楽四重奏団 メンデルスゾーン全曲演奏会1
日時: 2006年3月29日(水)19:15開演
出演者:エルデーディ弦楽四重奏団
[蒲生克郷/花崎淳生(Vn)、桐山建志(Va)、花崎薫(Vc)]
演奏曲:
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第1番変ホ長調作品12、
第5番変ホ長調作品44の3、第4番ホ短調作品44の2