7月5日に日本橋幼稚園で実施したアウトリーチの模様をお伝えします。 出演は弦楽四重奏団「Quartet MIYABI(クァルテット雅)」。レポートを書いてくれたのはトリトンアーツ登録サポーターの鈴木さんです。
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この日は、子どもたちにとって身近な生き物や歌を題材として、音楽の楽しさを共有するプログラムのアウトリーチが行われました。
まず、年少クラスの子どもたちが椅子に座って期待に胸を膨らませているところに、チェロを持った印田さんが登場し、「きらきら星」をピチカートで演奏します。そこへヴァイオリンの前田さんと北見さん、ヴィオラの高橋さんが楽器を演奏しながらやってきました。美しい楽器の響きと華やかなドレスに、子どもたちの表情は一気に明るくなりました。楽器紹介と自己紹介が終わると、「牛」「犬」「猫」のイラストを子どもたちに見せて、それぞれの楽器で動物の鳴き声を模倣して音を出します。子どもたちは「わかった!うし!」「いぬ!」「ねこ!」と身を乗り出して答えます。中には鳴きまねをする子どももいました。子どもたちの楽器に対する興味が引き出されたところで、「ワルツィング・キャット」の演奏です。最後のところでヴィオラが犬の鳴き声の模倣をすると、子どもたちにとても受けていました。
次に「楽器を使ってお絵かきをしたいと思います。良く耳をすませて聴いてください。」と言って「かえるのうた」をヴァイオリンだけで演奏。その時、蛙の絵が画用紙に登場、「蛙が一匹でさみしそうだね。」と言って、今度はヴァイオリン・チェロの二重奏。この時に、黒の線だけで紫陽花の花や葉を書いた透明なフィルムが蛙の背景に差し込まれました。「この絵をもっと素敵にするには、どうしたらいいかな?」と聞くと、「色を塗る!」という声があがりました。高橋さんが「そう、色を塗るのがヴィオラのお仕事です。」と言い、三重奏で演奏を始めました。すると蛙の絵の背景に紫陽花の花や葉に鮮やかな色を付けたフィルムが差し込まれました。北見さんはかたつむりの絵を蛙の隣に置いて演奏に参加、豊かな弦楽四重奏の世界が生まれました。子どもたちは楽器の響きやハーモニーを堪能している様子でした。
それからカルテットの演奏でみんな一緒に「たなばたさま」を合唱し、続いてハイドンの弦楽四重奏曲Op50-6第4楽章を聴きました。これは「蛙」という名がつけられている通り、曲のあちこちでカエルの鳴き声のような音が聴こえてきます。これも子どもたちは興味津々で聴いていました。最後に子どもたちは誇らしげな表情で、園歌を元気良く歌ってくれました。年中と年長クラスでは、きらきら星の代わりにカルメン前奏曲の演奏、最後にベートーヴェンの弦楽四重奏曲Op18-1第4楽章の演奏を聴きました。最後の曲の真剣な演奏に、子どもたちの集中もこの日一番高かったようです。
今回は絵を使うことで子どもたちが集中し、想像力が効果的に引き出されました。メンバーたちの子どもたちへの語りかけも上手で、音楽を聴く時のポイントがていねいに工夫されていたことがとても良かったと思いました。音楽はみんなで一緒に演奏したり歌ったりすると楽しいね、というメッセージが子どもたちの心にしっかり伝わっていたと思います。それだけでなく、生演奏の力を肌で感じ取ってくれたのではないでしょうか。とても素晴らしいアウトリーチプログラムでした。
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とても楽しくて素敵な演奏を日本橋幼稚園へ届けてくれたQuartet MIYABI。4人の音楽を、あなたも聴いてみたくありませんか?なんと今週末7月23日(土)に行われる第一生命ホールオープンハウスにも、Quartet MIYABIが登場します。入場無料ですので、ぜひお気軽にお越しください!