2011.11.24
海老澤敏 モーツァルト・レクチャー・コンサート
~モーツァルトの愛したヴァイオリン&ヴィオラと共に~
報告:井出春夫/会社員/TANサポーター
投稿日:2011.11.24
全体を通して、古楽奏法のためか、楽器によるものかは私にはわかりませんが、音色が暖かくて、耳に心地いい・・・
このコンサートは第一生命110周年、第一生命ホール10周年の記念として、海老澤先生のレクチャーとモーツァルトが弾いたヴァイオリンとヴィオラを使った演奏を聞くというものであった。当日の来場者は、事前申し込みによる無料招待。当日、ホールに入ると、ドイツ語をよく耳にした。今回の催し物の関係者も多くみえていたように思います
モーツァルテウム財団総裁の御挨拶の後、海老澤先生のレクチャーが始まった。正直なところ海老澤先生のレクチャーがもう少しあってもよかった。私は海老澤先生の話しを生で聞くのは初めてでどんな話しをしてくださるかということも楽しみの一つだったので少し残念でした。
でも、その分演奏を十分楽しめた。全体を通して、古楽奏法のためか、楽器によるものかは私にはわかりませんが、音色が暖かくて、耳に心地いい。
最初の曲は、「弦楽四重奏曲変ホ長調」とてもかわいい曲でした。第1楽章は、アレグロとありましたが落ち着いた感じで、ディベルティメントK.136第一楽章のメロディに似たメロディが聞こえてきました。第2楽章はしっとりしていてとてもきれいでした。
2曲目は、「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲K.424」
これこそ、モーツァルトが使っていたヴァイオリンとヴィオラのとても美しい二重唱(奏)を聞くことが出来ました。特に第3楽章は短いけれど素敵で、最終楽章の変奏曲では、ヴァイオリンとヴィオラの対話が楽しかった。
第3曲目「弦楽四重奏曲ニ短調K.173」。モーツァルトが短調の曲を作曲するときは、特別な時だと聞いたことがある。この曲はどんな時のものなのかはわからない。でも、モーツァルトは長調の曲の中に短調の部分でも、「これはまいったなぁ」と思うような暗さを感じる時がある。この曲の最初の音はかなり重たい音で始まりたしかに暗い。だけど、どこかに希望が持てるような演奏(曲)のように思えた。第4楽章は、最初から「フーガ」であり少し現代音楽的な響きを感じた。そして、最後は炎が消えていくように曲が終わった。
後半は、オペラ「ドン・ジョヴァンニ」からの弦楽四重奏版(ヨーゼフ・キュフナー編曲)である。この曲は演奏者からの提案であったようです。以前、ショパンのピアノ協奏曲を弦楽合奏版のレクチャーコンサートの時、静岡文化芸術大学の小岩先生から、ショパンくらいまでは小人数で演奏できるように協奏曲の室内楽版があるという話を伺った。海老澤先生も、モーツァルトは、宗教曲、交響曲、オペラでも小編成の編曲版があり、「楽器で演奏しても歌のように聞こえますよ」といわれた。そうはいってもどうなんだろう?と思った。でも曲を聞いていて本当にそう思った。オペラファンの方には顰蹙(ひんしゅく)をかうかも知れないが、声で聞くよりもシンプルで暑苦しくないのがいい。もちろん演奏も素晴らしかった。第1、2幕から11曲の抜粋、アンコールで『シャンパンの歌』、「フィガロの結婚」から『もう飛ぶまいぞ、この蝶々」と盛だくさんでたのしかった。ホールを出て時計を見たら9時半を過ぎていた。でも疲労感はない。すばらしいレクチャーコンサートだった。
公演に関する情報
第一生命110周年記念 第一生命ホール10周年記念
海老澤敏 モーツァルト・レクチャー・コンサート
~モーツァルトの愛したヴァイオリン&ヴィオラと共に~
日時:2011年11月24日(木)19:00開演
出演:海老澤 敏(お話)
フランク・シュタードラー(第1ヴァイオリン)※モーツァルト・ヴァイオリンを使用
ヴェルナー・ノイゲバウアー(第2ヴァイオリン)
ヘルバート・リンツベルガー(ヴィオラ)※モーツァルト・ヴィオラを使用
フローリアーン・ジンマ(チェロ)