2011.11.26
第一生命ホール10周年記念ガラ・コンサート
~モーツァルトに寄せて~
豪華な出演者によってそれぞれに違った演奏を聞くことができ、楽しかった。
このコンサートは、いろいろな形で第一生命ホールに協力、出演してくださったアーティストによるモーツァルトプログラムによるガラ・コンサートである。演奏者が有名で比較的よく知られた曲が多いためか、このコンサートは早くから完売であったようである。
当日は、前日まで日比谷の第一生命本社ビルで行なわれていたモーツァルト展(ミニコンサートも行なわれていた)の資料も展示され、それをお客さまに見て頂くのに開場時間を1時間早くしただけでなく、休憩時間や終演後も見られるように配慮がされていた。
コンサートのトップバッターを務めたのは、仲道郁代さん。仲道さんは、このホールができたとき2台のピアノのうちの1台を選んで下さった方で、仲道さんにとってこのホールのピアノはマイピアノみたいなものだろう。弾かれた曲は「きらきら星変奏曲」。透きとおった音で変化をはっきり付けた演奏であった。選んだ時と10年後ピアノはどんな風に変化しているんだろう。
2曲目は、「フルート四重奏曲」曲が始まってまもなく背筋に電気が走った。工藤さんの黄金のような音色に堀米さん、川崎さん、山崎さんの弦楽器の暖かな音によく溶け合う。音を合わせるとかいう意識が働いているとは思えない。4人ともとても自由に音楽をしているのだけれど自然に合ってしまうそんな感じのすごい演奏。聞いている間とても幸福であった。
3曲目は清水和音さん。曲は「ピアノのソナタK331トルコ行進曲付き」。1音1音丁寧にしっとりとしたピアノ。清水和音さんのピアノは永らく聞いていなかったのでこんな感じに変わったのかなあと思った。意外な場所での即興性も楽しかった。
4曲目は、佐藤美枝子さん。名前は存じ上げていたが、なかなか聞くチャンスがなかった人でした。オペラ「後宮からの誘拐」からのアリア。のびやかできれいな声。そして表情が豊かな演奏でよかった。
5曲目は、「ヴァイオリンとピアノのためのソナタK.304」。
矢部さんのヴァイオリン、横山さんのピアノ。音がきれいでさらっとした演奏。よく歌っている。もしかしたら、出演者の中では一番渋い演奏だったかも。
6曲目は「幻想曲ニ短調」、演奏は児玉桃さん。よかったです!硬質だけど透明感があり、幻想曲にぴったりっていう感じです。曲の冒頭のアルペジョは、ちょっとドビッシー風のように聞こえましたが全体としては、音楽が新鮮に聞こえました。
7曲目は、児玉さん、堀米さんのduo「ヴァイオリンとピアノのためのソナタK.378」。
ヴァイオリンとピアノの息がぴったり。2人ともとってもよく歌っていて体が熱くなる。
とりを務めるのは、「ピアノ三重奏曲K.542」仲道さんのピアノ、川久保さんのヴァイオリン、長谷川さんのチェロ。豪華な顔合わせだ。3人とも音がきれい。川久保さんはとても素直な感じの音が聞こえたように思う。集中力の高い演奏だった。今回豪華な出演者によってそれぞれに違った演奏を聞くことができ、楽しかった。そして、できるなら、アンサンブルしか演奏をしなかった演奏家の方のソロも聞いてみたかった。
公演に関する情報
第一生命ホール10周年の10days第9日
第一生命ホール10周年記念ガラ・コンサート
~モーツァルトに寄せて~
日時:2011年11月26日(土)14:00開演
出演:児玉桃/清水和音/仲道郁代/横山幸雄(ピアノ)
川久保賜紀/堀米ゆず子/矢部達哉(ヴァイオリン)
川崎和憲(ヴィオラ)
長谷川陽子/山崎伸子(チェロ)
工藤重典(フルート)
佐藤美枝子(ソプラノ)