チェコ少年合唱団《ボニ・プエリ》クリスマス・コンサート
~プラハのクリスマス~
報告:フラウト・ドルチェ/サポーター/1階10列25番
投稿日:2005.12.14
ボニ・プエリはチェコからやって来た少年達だけの合唱団。年少団員がソプラノとアルトを、年長団員がテノールとバスを担当しています。女子メンバーが多い児童合唱や成熟した声の大人の男女混声合唱とも違い、イギリスのカレッジ合唱団のような清らかな高音部としっかりとした低音部を持っていました。透き通った歌声はいい意味で人間臭くなく、まるで天から降り注ぐようで聴いていると心が洗われる気分でした。
第1部はヨーロッパのクラシック音楽を聖歌隊の衣装を着て厳かな雰囲気の中で演奏されました。グレゴリオ聖歌を歌いながら登場し、モーツァルトの「グローリア」(戴冠式ミサより)、ヘンデルの「ハレルヤ」などの宗教曲の他、ドヴォルザークの「家路」、スメタナの「モルダウ」(日本語詞)といった日本で親しまれているチェコの曲もありました。中でもステージ上の合唱に客席後方にいた4人の団員がエコーで返したラッススの「こだま」とソプラノ・ソロの少年が清らかな声で優しく歌ったフランクの「天使のパン」が特に印象に残りました。
第2部では民族衣装に着替えてチェコ音楽。クラシックの他、地方や隣国の民謡や現代曲が演奏されました。コペレントの「たわいのない歌」は2002年に来日した時も歌われましたがとても個性的な曲。歌詞にとりわけ意味はなく「出たら出たその目」のまさにデタラメで、テンポもその都度変わる規則性のないものでした。お客さんはいきなりコインが飛んでくるような突飛な出来事に驚いたり爆笑したりしました。そんな難しい曲でも音を外すことなく息が揃っていたのでとても気持ちよく聴くことができました。「山へ」はモラヴィア民謡をボニ・プエリのためにアレンジされた曲です。独特な声を上げて踊るなど、山での生活を再現した演出になっていてとてものどかな感じがしました。
第3部は蝶ネクタイにワイン色のベスト姿で世界のクリスマス。ここではドイツ、チェコ、ブラジル、アメリカ、スペイン、アフリカそして日本のキャロルを聴くことができました。第1部とは対照的な雰囲気で、スペインの歌ではお客さんも一緒に「ファン、ファン、ファン!」、ブラジルやアフリカの歌は躍動感がありお祭り気分。日本からはオペラ「森は生きている」の中から2曲を優しく歌ってくれました。最後は「きよしこの夜」をドイツ語、英語、日本語で歌われました。どの国の言葉もとてもきれいな発音でした。
アンコールはイギリスのキャロル"Ding doing! Merrily on High"、杉本竜一の「ビリーブ」、そして最後はかつてチェコスロバキア民謡として紹介された「おお牧場はみどり」は日本語で歌って演奏会は終わりました。
終演後、指揮者のパヴェルさんと数人の団員がロビーに出てきてCD販売とサイン会を行いました。記念撮影も気軽に応じていて、彼らのほうも観客との交流を楽しんでいるようでした。
普段のクラシック音楽の演奏会の時よりも親子連れのお客さんが目立ちました。一足早いクリスマスを過ごしに来たのでしょうか?全体が3部構成で約30分ごとに休憩に入るというのはお子さんとってはとても良かったと思います。
公演に関する情報
〈TAN's Amici Concert〉
チェコ少年合唱団《ボニ・プエリ》クリスマス・コンサート
~プラハのクリスマス~
日時: 2005年12月9日(金)19:00開演
出演者:パヴェル・ホラーク(Cond)
チェコ少年合唱団「ボニ・プエリ」
演奏曲:
第一部 ヨーロッパのクラシック
グレゴリオ聖歌、ラッスス:こだま、13世紀の行列聖歌:今こそ響け、
モーツァルト:戴冠ミサより「グローリア」、ドヴォルザーク:「家路」、
スメタナ:モルダウ(交響詩「わが祖国」より)、フランク:天使のパン、
ブリテン:キャロルの祭典より、ヘンデル:ハレルヤ
第二部 チェコの音楽とチェコ民謡
コペレント:たわいのない歌、ドヴォルザーク:わが母の歌いたまいし歌、
スメタナ:大いに楽しもうではないか(オペラ「売られた花嫁」より)、
チェコ民謡:地主さんが行く、スロバキア民謡:プルシープルシー(雨が降る)、
チェコ(モラビア)民謡メドレー
第三部 世界のクリスマス
ドイツ:「G線上のアリア」(バッハ:管弦楽組曲第3番より)、
チェコ:チェコのクリスマスキャロル、アメリカ:ホワイト・クリスマス、
ジングルベル、スペイン:ファン、ファン、ファン、アフリカ:ワン バイ ワン、
日本:森は生きている、12の月の歌(林光)、オーストリア:聖夜(グルーバー)