ピアノのご先祖様のフォルテピアノに興味津々な とりさん と トンちゃん。
10月8日に第一生命ホールであるフォルテピアノ・デュオのコンサートに出演する、小倉貴久子さんと川口成彦さんに、フォルテピアノについて、トリトンアーツのスタッフと一緒にお話をうかがいました!
トリトンアーツ:フォルテピアノと現代のピアノの違い(特徴)を教えてください。
小倉貴久子さん:1700年頃、イタリアのチェンバロ製作家のクリストーフォリがピアノを発明してから約200年かけて刻々と変化していき、20世紀初頭にはほぼ現代のピアノの形になりました。
クリストーフォリが発明した初代フォルテピアノのレプリカ
(久保田チェンバロ工房製作)
※小倉貴久子さんTwitterより
今回、コンサートで演奏しますヴァルターとデュルケンのフォルテピアノは、18世紀末のウィーンで製作された楽器のレプリカになります。
ヴァルター1795年のレプリカ(C.Maene製作)
※小倉貴久子さんTwitterより
デュルケン 1795年のレプリカ(太田垣至製作)
※小倉貴久子さんTwitterより
この2台はウィーン式(跳ね上げ式)アクションと呼ばれる、シンプルな打弦システムをもつ楽器で、タッチはとても軽いです。ハンマーもとても小さく、素材は皮を巻いたものなので(現代のピアノはフェルト)、音の立ち上がりがくっきりとしていてモーツァルトの音楽の特徴、「話すように演奏する」ことが得意です。
弦の材質は鉄弦と真鍮弦(現代のピアノは鋼鉄弦)で、低音域から高音域まで平行に弦が張られています(現代のピアノは交差して張られています)。各音域の音色に個性があるので、対位法的な書法(複数の独立したメロディを同時に組み合わせるような作曲法)やそれぞれの音域を活躍させながら立体的に演奏することに適しています。
現代のピアノは内部に鋳型金属製フレームが入っていますが、フォルテピアノは金属の補強がない木製のケースに、そのまま弦が張られているので、弦楽器や木管楽器と共通するような柔らかい響きが特徴です。
温度や湿度の変化に影響を受けやすい繊細な楽器ですが、まるで生き物のように呼吸しているかのような感触があります。
フォルテピアノの内部(デュルケンの写真を拡大)
木製のフレームに弦がそのまま平行に張られています。
※小倉貴久子さんTwitterより
第一生命ホールが所有する現代のピアノ(スタインウェイ)
鋳型金属製フレームががっしりと。
トリトンアーツ:フォルテピアノの魅力、好きなところを教えてください。
川口成彦さん:フォルテピアノ(歴史的ピアノ)は時代、製作家、地域によって音色が大きく異なり、また同じ製作家でも製作年代によって音が変わったりします。そのような「音色の多様性」が大きな魅力の一つです。その多様性は我々人間の多様性にも似ていると思います。
楽器それぞれが特別な個性を持っていることがとても面白いです。
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トンちゃん: 構造や素材とか・・・フォルテピアノって、とっても繊細なつくりをしているんだね。
とりさん:つくられた時代や地域、つくった人によって個性が全く違ったり、同じ1台のフォルテピアノの中でも、音域によって音色の個性が違うのも面白いね!
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雄大と行く 昼の音楽さんぽ 第27回
小倉貴久子&川口成彦 フォルテピアノ・デュオ
■日時:2021年10月8日(金)11:15開演
■会場:第一生命ホール
■出演:小倉貴久子/川口成彦(フォルテピアノ)
山野雄大(プレトーク)
■曲目
モーツァルト(補筆:R.レヴィン):2台のフォルテピアノのためのラルゲットとアレグロ 変ホ長調 K deest
モーツァルト:2台のフォルテピアノのためのフーガ ハ短調 K426
J.C.バッハ:2台のフォルテピアノのためのソナタ ト長調 Op.15-5
モーツァルト:2台のフォルテピアノのためのソナタ ニ長調 K448