コンサートマスター矢部達哉のもとに集ったメンバーで、指揮者を置かず、室内楽の延長のような、自発的で研ぎ澄まされたアンサンブルを特徴とする『トリトン晴れた海のオーケストラ(晴れオケ)』。
ベートーヴェン生誕250年にあたる2020年に向け、今年10月6日を皮切りに3年に渡ってベートーヴェン交響曲全曲演奏会(全5回)を開催します。
お待たせしました。コンサートマスター矢部達哉さんのインタビュー、第2回目です。
(聞き手:片桐 卓也)
‐片桐
モーツァルトとベートーヴェンでは、やはりその音楽作りがとても違って来ると思われますが、その点はいかがですか?
‐矢部
第1回目のコンサートと第2回目のコンサートの間に、
横山さんのベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲演奏会があって、
第3回目の最後のモーツァルトは交響曲39番だったのですが、
室内オーケストラって、どうしてもまとめようという方向に行くのですけど、
その時は一人一人がリミッター外して、
その上で調和するという感じがあった。
ああ、ここまで出来るのだという印象がありました。
いつもは辛辣なことしか言わないコントラバスの池松さんから
コンサートの後、すぐメールが来て、
「今日は楽しかった」と。
彼がそういうって言うのは、本当にそのレベルで出来たのだなっていう感じ。
お世辞とか浮ついたことは絶対に言わない人なので、
ちょっと階段を上がれたなという感じはありますね。
‐片桐
その上で、モーツァルトとベートーヴェンの実際にやる時の違いは?
‐矢部
僕がずっと若い時、20年とか30年とか前に、
モーツァルトを弾く時の様式とか、
ブラームスを弾く時の様式をもっと考えなければいけないと思っていた時代があって、
人から聞かれるたびに様式、様式と言っていた時代があったと思うのですが、
なんか、最近はそういうことをあんまり考えなくなって。
(どこかでは考えなければいけないのですが、)
一期一会ということをすごく考えるようになったのですよ。
というのは、このメンバーでこの曲をやるのは、
もう人生で最後かもしれないとか、
そういうことの方が大事で、
その時に生まれたもののほうが大事だと思うようになった。
みんなで、モーツァルトの音作りとか、
ベートーヴェンの音作りを考えるというよりは、
みんなのモーツァルトに対するイメージとか
ベートーヴェンに対するイメージがある。
それをパッと音に出してみて、
そこで出たものというのが、僕は大事だなと思う。
それを統一するというよりも、
一人一人のベートーヴェンへの想いが出る方が
大事かなと思うようになりました。
というのは、僕は今までまとめなきゃいけない
という想いが強すぎたと思います。
逆に、みんなで弾いてバッと出たものをどうするのか
っていうことの方に、最近は興味があります。
一期一会というのは、
そこに来て下さった聴衆の方々もその時にしかいない、
そこで生まれたものを一つ一つ楽しみたいと思う。
そういう気持ちがどんどん強くなって来たのかなというのはあります。
ーインタビュー その3へつづく
トリトン晴れた海のオーケストラ 第4回演奏会
ベートーヴェン・チクルスⅠ
■日時:2018年10月6日(土) 14:00開演
■出演: トリトン晴れた海のオーケストラ
【コンサートマスター】矢部達哉
【ヴァイオリン】双紙正哉 会田莉凡 小川響子 景澤恵子 塩田脩 直江智沙子 福崎雄也* 松浦奈々 三原久遠 渡邉ゆづき
【ヴィオラ】篠﨑友美 瀧本麻衣子 福田道子 村田恵子
【チェロ】山本裕康 清水詩織 森山涼介
【コントラバス】吉田秀 佐野央子
【フルート】小池郁江 斎藤光晴
【オーボエ】広田智之 池田昭子
【クラリネット】三界秀実 糸井裕美子
【ファゴット】岡本正之 岩佐雅美
【ホルン】西條貴人 和田博史 濵地 宗
【トランペット】高橋敦 中山隆崇
【ティンパニ】岡田 全弘
■ベートーヴェン:
交響曲第1番 ハ長調Op.21
交響曲第3番 変ホ長調Op.55「英雄」
■S席¥6,000 A席¥5,500 B席¥3,500 ヤング¥1,500(小学生以上、25歳以下)
2公演セット券 S¥11,000( *12/1 第5回演奏会 ベートーヴェン・チクルスII )
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