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「晴れオケ」コンサートマスター 矢部達哉 インタビューその3
ベートーヴェン交響曲全曲演奏会、いよいよ10/6(土)スタート!

2018年8月29日

コンサートマスター矢部達哉のもとに集ったメンバーで、指揮者を置かず、室内楽の延長のような、自発的で研ぎ澄まされたアンサンブルを特徴とする『トリトン晴れた海のオーケストラ(晴れオケ)』。

ベートーヴェン生誕250年にあたる2020年に向け、今年10月6日を皮切りに3年に渡ってベートーヴェン交響曲全曲演奏会(全5回)を開催します。

コンサートマスター矢部達哉さんのインタビュー、第3回目です。
(聞き手:片桐 卓也)

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‐片桐

ベートーヴェンを演奏する時も、きちっと縦を合わせるのではなく、
みんなの感覚を信じて演奏するという感じですか?

‐矢部 

そう思います。
変わって来たのか、あるいは自分で変えようとしてきたのかは分からないのですが。

昔、CDみたいな演奏が好きだった時代があるのですよ。
僕が公言していたのは、セル&クリーヴランド管弦楽団の演奏が好きとか。
でも、いまセル&クリーヴランドを聞くと、作り物みたいに聴こえる時がある。
それよりももっと人間の生の声というか、
人間の弱さとかが出ているほうが好きという場合もあるのですよね。

人間がそんなに完璧な訳ないし、
ベートーヴェンこそ人間の生の感情を
楽譜に初めて託せた人なんじゃないかと思っています。

初めて出た「神の使い」じゃない人、
西洋音楽史のなかで。

バッハとかモーツァルトって、神の使いのような存在です。
モーツァルトの楽譜みると、こんなにすかすかで音符が少ないのに、
演奏すると信じられないような音がしますよね。
クラリネット協奏曲とか。
こんなこと、普通の人間が出来る訳がない、と。

でもベートーヴェンはまったく普通の人間。
信じられないような才能の持ち主だけど、
人間がんばればここまで出来るのだねという人。
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‐片桐

ベートーヴェンが人間の感情を楽譜に託せた人っていうのは良い表現ですね。

‐矢部

時代の寵児という感じもしますよね。_0KU8954(C)大窪道治copy.jpg

市民の意識が変わって来た時代と、フランス革命とか、
市民革命に密接に関係した時代に生きていた。
「運命」とか「第九」とかで、ピッコロの音を聞くと、
例えばベルリオーズの「幻想交響曲」でも同じですけれど、
市民の喜んでいる感じが聴こえる感じがするのですよね。

実際に「第九」と「幻想交響曲」とは作曲年代がほとんど変わらないし。

‐片桐

なるほど。そうした想いがこの「晴れオケ」の演奏の中に出て来ると面白いですね。

‐矢部

いろいろコンサートマスターが管理して、
急がない、遅れないではなくて、
一人一人の奏者が、思いをぶつける。

そこで枠から外れた時とか、たがが外れた時に、
もう少しこうしない? というのが
コンサートマスターのやる役割かなと思っています。

コンサートマスターにもツボがあって、
今までは自分で、ここをリードして、
指揮者と合わせて大きく見せればみんな付いて来ると思っていたのだけど、
ギアというのか、ツボっていうのか分からないのですが、そういうものがあって、
小さな動きでもオーケストラに分かってもらえる。
それは経験を積まないと分からない部分かもしれませんが。

ヴァイオリンが上手な人、
チェロも上手い人がたくさんいると思いますけれど、
オーケストラの難しさとは、上手な人がそこに座れば
上手く行くのかというと、そうじゃないという部分。
色々な人と長年やってきて、そこでつかめるものがあるのかなというのは、
なんとなく、この30年とかで分かって来たところ。
それを、みんなで分かち合う場所がこの「晴れオケ」だと思います。

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‐片桐

矢部さんのそうした思いの変化と、このオーケストラの結成のタイミングというのが合っていたのでしょうね。

‐矢部

それはもう神様のご褒美ですよね。
いまのこのご時世、新しくオケ、え、ほんと? 
と思ったのですけれど、やらせて頂いて、自分が思っていたよりも、
最初に音を出した時に、想像以上に筋がいいなと思った。
筋が良いというのを超えて、自分の想像力を超えたところにこのオケの演奏あって、
だから、ほんとに楽しみ。
自分の人生のご褒美という感じがします。


ーインタビュー その4へつづく

トリトン晴れた海のオーケストラ 第4回演奏会

ベートーヴェン・チクルスⅠ

■日時:2018年10月6日(土) 14:00開演
■出演: トリトン晴れた海のオーケストラ
【コンサートマスター】矢部達哉
【ヴァイオリン】双紙正哉 会田莉凡 小川響子 景澤恵子 塩田脩 直江智沙子 福崎雄也* 松浦奈々 三原久遠 渡邉ゆづき 
【ヴィオラ】篠﨑友美 瀧本麻衣子 福田道子 村田恵子
【チェロ】山本裕康 清水詩織 森山涼介
【コントラバス】吉田秀 佐野央子
【フルート】小池郁江 斎藤光晴
【オーボエ】広田智之 池田昭子
【クラリネット】三界秀実 糸井裕美子
【ファゴット】岡本正之 岩佐雅美
【ホルン】西條貴人 和田博史 濵地 宗
【トランペット】高橋敦 中山隆崇
【ティンパニ】岡田 全弘
■ベートーヴェン:
交響曲第1番 ハ長調Op.21
交響曲第3番 変ホ長調Op.55「英雄」
■S席¥6,000 A席¥5,500 B席¥3,500 ヤング¥1,500(小学生以上、25歳以下)
2公演セット券 S¥11,000( *12/1 第5回演奏会 ベートーヴェン・チクルスII )

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