第一生命ホールを拠点とする「トリトン晴れた海のオーケストラ(晴れオケ)」が誕生してから3年、今年も秋に「晴れオケ」の定期演奏会を開催します。
3年目となる今年は、奇跡のアンサンブルの要となっている首席奏者たちが集まっての「晴れオケメンバーによる室内楽」を初めて開催することになりました。
コンサートの後半で取り上げるのは、シューベルトの晩年の大作、弦楽五重奏曲。通常の弦楽四重奏にチェロを1本加えたこの編成に、第2チェロとしてお迎えするのが、元東京クヮルテットのチェリスト原田禎夫さんです。
ドイツを拠点に、今もなお世界で活躍する原田禎夫さんですが、10月のこの日程は、奇跡的に日本にいる予定になっていたそうで、「ああ、矢部達哉さんや山本裕康さんなら昔からよく知っているので、いいですよ」とご快諾いただき、晴れて!「晴れオケメンバー」との共演が実現することになりました。
矢部さんも、原田さんのことは「大好き」だそうで、愛情込めて話してくださったエピソードをご紹介しましょう。
「原田さんは、うれしいことに僕のことを友達と言ってくださるのですが、実際に会うと毒づいてばかりです。どれだけ嫌な人かと言うと(笑)、僕は実はバターが嫌いなのですが、食事をごいっしょすると、いつも『それ、バター入っているよ』って。70歳にもなって毎回ですよ。それから、僕が禁煙に成功しかけた時も、どう?って煙草に火をつけてくれて......あれで禁煙を断念しました」
「そんな、中学生が大人になっちゃったみたいな方なんですが、それが音楽もそうなんです。音楽も発想も若々しくて、若い人の意見を『いいね、それやってみよう』とすぐに挑戦するんです」
「ただひたすらチェロをさらって(練習して)いるのが一番楽しいのだそうです。今はデュッセルドルフにお住まいなのですが、『さらっていると、シューマンもこんな景色を見ていたのかなと思うんだよ』とか、しみじみおっしゃって。あの齢になって、ますます向上されている。そういう姿には刺激を受けますね。本当にすばらしいです。心の底からお慕いしています」
矢部さんは、アルティ弦楽四重奏団として昨年原田さんと共演して、このシューベルトの弦楽五重奏曲を演奏し、あまりのすばらしさに、またぜひやりたいと思って今回のプログラムを思い立ったのだとか。
「とにかく原田さんの第2楽章のピッツィカート(弦を指ではじく奏法)に注目してほしい。信じられないような世界です」
矢部さんが、「口ゲンカばかりしているけど、心の底からお慕い申し上げている」と絶賛する原田さんと、晴れオケメンバーとの共演に、どうぞご期待ください。
(たな)
トリトン晴れた海のオーケストラ 晴れオケメンバーによる室内楽
■日時:2017年10月7日(土) 14:00開演
■出演: 矢部達哉/松浦奈々(ヴァイオリン) 篠﨑友美(ヴィオラ) 山本裕康(チェロ) 原田禎夫(チェロ/ゲスト) 池松宏(コントラバス) 三界秀実(クラリネット) 岡本正之(ファゴット) 西條貴人(ホルン)
■演奏プログラム
ベートーヴェン:七重奏曲 変ホ長調 Op.20
シューベルト:弦楽五重奏曲 ハ長調 D956
■S席¥5,000 A席¥4,500 B席¥3,500 ヤング¥1,500(小学生以上、25歳以下) 2公演セット券 S¥10,000( *11/11トリトン晴れた海のオーケストラ第3回演奏会 )
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