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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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アーティスト・インタビュー

©大窪道治

矢部達哉/山本裕康

トリトン晴れた海のオーケストラ
晴れオケメンバーによる室内楽

オーケストラ・コンサートに先駆けて、10月7日にオーケストラ・メンバーによる室内楽のコンサートが開催される。プログラムはベートーヴェンの傑作として名高い〈七重奏曲〉、そしてこれもシューベルト畢生(ひっせい)の傑作〈弦楽五重奏曲〉の2曲である。〈七重奏曲〉のほうは弦楽三重奏にコントラバス、クラリネット、ファゴット、ホルンが加わった形の
編成。そしてシューベルトのほうは、弦楽四重奏にチェロをもう1本加えた形である。

 「晴れオケの管楽器のメンバーは、各オーケストラでも首席を務めるほどの実力の持ち主なので、その演奏の素晴らしさを知っていただきたくてベートーヴェンを選びました。そしてシューベルトのほうは、チェロの原田禎夫さんに参加していただけることになって、とってもうれしいです。ご存知のように、原田さんは東京クヮルテットのチェロ奏者として長く活躍され、クァルテットを離れた後も優れた室内楽奏者として活躍されています。その演奏の素晴らしさ、経験の豊富さは言うまでもないこと。本当にラッキーなことにスケジュールが合って共演できることになったので、とても楽しみです」
と矢部さん。

 シューベルトの弦楽五重奏曲は、通常の弦楽四重奏の編成に第2チェロが加わった形になるのだが、その第2チェロを原田さんが担当するという。第1チェロを担当する山本裕康さんはこう語る。

YamamotoHiroyasu_small.jpg 「かなり以前ですが、原田さんが演奏するこの弦楽五重奏曲を聴いて、驚いたことがありました。第2チェロはピツィカートを使う部分が多いのですが、そのたったひとつのピツィカートで、原田さんは音楽の雰囲気を一変させてしまうことができるのです。その時に、どうやってそんなことができるのか、原田さんに粘って教えていただいた経験があります。70歳を超えてもなお、最高の音楽とは? と自問して成長されているその生き様と、その一つの音で世界が変えられるいわゆる一流の技術を今回はじっくり隣で探らせていただきたいと思っています」と山本さん。

 いずれの作品も名手の共演という枠を超えて、アンサンブルの醍醐味を教えてくれる演奏になりそうだ。

[聞き手・文/片桐卓也(音楽ライター)]