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ディオティマ弦楽四重奏団との共同作業で改訂
ピエール・ブーレーズ「弦楽四重奏のための書」第2回

9月に「クァルテット・ウィークエンド(SQW)」シリーズに登場するディオティマ弦楽四重奏団(以下ディオティマQ)が披露するのは、すでにヨーロッパのさまざまな都市で演奏し話題となっている会心のプログラム、BSB(ベートーヴェン‐シェーンベルク‐ブーレーズ)プログラムです。
中でも、今年1月に惜しくも亡くなった、指揮者であり作曲家でもあるピエール・ブーレーズ「弦楽四重奏のための書」は、作曲家とディオティマQとの共同作業で2012年に改訂した話題の作品。2012年のブーレーズとの共同作業とは、どのようなものだったのでしょうか。
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こちらのイギリス・ガーディアン紙に2016年5月に掲載されたCD評(ブーレーズ:弦楽四重奏のための書「改訂版」― ディオティマQより天にも昇るような美しさ)をご覧いただくと、ディオティマQとブーレーズが改訂作業をする様子が、写真から伺うことができます。譜面を見ながら議論したり、実際に弦楽四重奏として音を出したりしながら作業がすすめられたようですね。
この作品はもともと1948年、ブーレーズ23歳の時に書き始められました。IRCAM(ブーレーズが組織したフランスの音楽研究所)のホームページによると、1955年に、最初の2パート(Ia, Ib, II)のみ初演され、1961年にVとVIが、1962年にIIIa, b, c が初演、すべてのパート(I a & b, II, III a, b, c, V, VI)が揃ってアルディッティ弦楽四重奏団によって演奏されたのは1985年のことでした。(IVは出版された時にすでに省かれました。)
演奏されない理由のひとつは、その難しさ。オリジナル版は、小節線もなく、テンポの設定、強弱記号もほとんどなかったそうで、ブーレーズ自身も、出版の際はオリジナル版と、実演用に拍子記号を加えた版と、2つのバージョンを考えていたそうです。実際、演奏上のすべての問題を解決するためには指揮者が必要、とブーレーズも示唆していたほど。
この問題が今回の改訂で解決に近づいたのかどうか、トリトンアーツがディオティマQにメールでインタビューした際に教えてくれたブーレーズの言葉から推測することができます。すなわち、改訂作業前にこの「弦楽四重奏のための書」について、「紙の上で読むとよい作品だ。だが聴くとなると良い部分が失われてしまう」と話していたブーレーズが、改訂後に「とうとう、私はこの作品を聴くことになった」と言ったというのです。改訂作業の主なポイントは、スコアにあるがまま、彼の意図したすべてが聴けるようにし、伝わりやすいものにすることでした。少なくとも作曲家にとっては、満足のいく改訂になったようです。
インタビュー全文は こちら
このガーディアン紙で「時に天にも昇るほど美しく、時にゾクゾクするほど超然としている」と評されたディオティマQの「弦楽四重奏のための書」。実際に聴くことができる貴重なこの機会をどうぞお見逃しなく!
〈クァルテット・ウィークエンド〉
ディオティマ弦楽四重奏団
2016年9月3日(土)14:00開演
【出演】ディオティマ弦楽四重奏団
[ユン・ペン・ヂァオ/コンスタンス・ロンザッティ(ヴァイオリン) フランク・シュヴァリエ(ヴィオラ)  ピエール・モルレ(チェロ)]
【演奏プログラム】
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第14番 嬰ハ短調 Op.131
ブーレーズ:「弦楽四重奏のための書」より1a・1b(改訂版)
シェーンベルク:弦楽四重奏曲 第1番 ニ短調 Op.7
【料金】
一般¥5,000 シニア¥4,500(60歳以上) ヤング¥1,500(小学生以上、25歳以下)
*クァルテット・ウィークエンド全5公演セット券も発売中
【チケットのご予約・お問い合わせ】
トリトンアーツ・チケットデスク
TEL:03-3532-5702(平日11:00~18:00)
オンライン予約は こちら
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