2007.1.8
ボロメーオ・ストリング・クァルテット
シェーンベルク・プロジェクトvol.3
報告:佐々木久枝(会社員&華道教授・中央区勤務) 1F2-27
投稿日:2007.01.8
続いてシェーンベルグ第4番。第1楽章アレグロモルトでは怒りのエネルギーを存分に込めているテクストを踏まえた味な演奏を聴かせてくれました。続く第2楽章コモンドではウィンナ・ワルツの華やかさにある種の表裏を思わせる演奏でしたが、もしかするとこの部分は冒頭曲と意外にも関連付けられ得るかもしれません。第3楽章ラルゴでは第1ヴァイオリンの切り込むような部分に裏拍の迫力はかくも激しいものかと驚きました。他3者も雰囲気も音もぶつかり合った(途中ユニゾン部分こそあれ)緊迫感に溢れていました。
フィナーレのアレグロでは狂乱の場を思わせる場面での第1ヴァイオリンの弾き出すガムランのような弓捌きが印象的でしたし、怒涛の如く流れて(否、なだれて)きた上でのラスト数小節の静けさが非常に際立っていました。
後半はベートーヴェン「弦楽四重奏曲第16番ヘ長調op.135」全体的に爽快さと躍動感に満ちていた充実の演奏だったと思います。第1楽章アレグレットでは伸びやかな第1テーマと展開部での広がりが印象的でしたし、続く第2楽章ヴィヴァーチェでは中間部の全体からのオーラが漂い、田園交響曲のような素朴な伸びやかさがよく表されていました。第3楽章レントアッサイでは全体に黄昏の歌が漂い、中間部の短調ではややお疲れ気味とおぼしき部分も見受けられるも、コーダでのヴァイオリンの問いかけ+チェロの"突っ込み"の積極さとが絶妙に混ざっていました。「ようやく付いた決心」と記されたフィナーレでは正に突き抜けた印象を上手く弾き出していました。再現部は苦悶の渦から這い上がるような語法を読みましたが、ちょうど崖から這い上がってきた子獅子が無邪気に桃源郷で遊ぶような印象を受けました。歌舞伎舞踊ではちょうどここは髪洗いの場面で長い獅子毛を振り回すのですが、ベートーヴェンも作品中で"獅子毛を振り回している"かのようなイメージが浮かんできました。伸びやかで雄弁でしかもシンプル。私のツボにはまってしまったのかもしれません。
アンコールの「ラズモフスキー第2番」第4楽章での色彩感豊かなアンサンブルは今正に目の前で現役バリバリのアクセル全開・しかも野太い演奏でで室内楽街道を突っ走っている印象を強く受けました。
今回初めて"きちんと"フル演奏で聴いたボロメーオでしたが、本番後ほぼ恒例となっている一献でいつも辛口コメントのとある知人が評価しているのを聞いて思わずほくそえんだ私です。さて今度はどのように"化けて"くるやら。今から楽しみです。
公演に関する情報
第一生命ホール5周年記念コンサート
〈クァルテット・ウェンズデイ#52〉
ボロメーオ・ストリング・クァルテット
シェーンベルク・プロジェクトvol.3
日時: 2006年12月13日(水)19:15開演
出演者:ボロメーオ・ストリング・クァルテット
[ニコラス・キッチン(Vn)、クリストファー・タン(Vn)、
元渕舞(Va)、イーサン・キム(Vc)]
演奏曲:
ゴリホフ:テネブレ
シェーンベルク:弦楽四重奏曲第4番作品37
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番ヘ長調作品135
Meet the 和楽器
報告:佐々木久枝(会社員&華道教授・中央区勤務)
投稿日:2007.01.8
会場の日本橋公会堂は外観が趣のある作りで、ホールは木調の温かみもある内装で、ホール入口にはさまざまな和楽器が展示されてお正月の雰囲気を醸し出していました。
楽屋とステージの間で迷子になってしまった私に今回も御一緒下さった笛の越智さんが道案内して下さるハプニングもありましたが、無事に開演しました。
名物団員・尺八奏者の米澤さんの軽妙な司会(12月の晴海での公演で司会も務められたバリトン牧野さんと互角のウマさ!!)により、前半は集団の皆さんによる一般コンサート、後半は各楽器の体験コーナーという内容で進められました。前半は「春の海」「平家物語」等といった伝統的名曲からSMAP(アンコールで披露!!)まで多彩な演奏を堪能させていただきました。中でも集団の定期演奏会でもおなじみで実は私も好きな一曲「幕間三重・獅子狂いの五段」は久しぶりに聴けて新春早々大変爽やかな気分でした。その他メドレーも2種披露されましたが、ビートルズではヘイジュードやイエスタディで各楽器の旋律リレーも楽しく、特に琵琶のソロ部分が新鮮でした。フランス音楽メドレーでは打楽器のリズム刻みが魅力のボレロを冒頭とラストに挟む小粋な演出で、シチリアーノや亜麻色の髪の乙女、サンサーンスの白鳥等の流れるようなメロディが和楽器とこのように溶け合うとは!!新春早々目からウロコでした(やや大げさか?)
後半私はお琴(筝)コーナーのお手伝いを担当しましたが、体験コーナーに参加した皆さんのお上手な事!!中には学校の音楽の授業で邦楽にも触れているというお子さんもいましたが、それでも楽器に実際に触れるのは初めてとの事で、お琴の前に座る時も嬉しそうでしたし、一通り体験が済んだ時も元気よくありがとう!!と声をかけてくれました。見るとカメラを手に付き添っておられる親御さんも非常に嬉しそうで、我が子の演奏姿に目を細めると共に、晴海での公演にも行きたいとおっしゃって下さいました・・・・育児支援等の公演できっとお会い出来るだろうと楽しみが増えました。
さて、私も一通り来場者の楽器体験コーナーが済んでから、閉会までの空き時間に自分でもさくらさくら~♪と弾いてみましたが、団員の熊沢さんに手取り足取りの御指導いただきました。ありがとうございます☆今年も定期演奏会にお伺いしようと計画しております。
平成18年度から3年間で中央区内の全ての小学校でこのような公演を行うとの事ですが、テクノサウンドがあまりにも溢れているこの御時世でこそ、このような人の手で奏でられる素朴な和楽器の響きが改めて見直されているのでしょう。来場者にはお子さんも多く見られましたが、きっと大きくなってからこのひとときを思い出してくれると信じています。私も是非次回のMeet~に参加しようと思います。
公演に関する情報
Meet the 和楽器
日時: 2007年1月7日(日)
場所: 日本橋公会堂
出演者:日本音楽集団