古典四重奏団 ドヴォルザーク弦楽四重奏曲選集Ⅱ
報告:上田淳子/2階C1列6番
投稿日:2006.11.14
以前伺ったことがあったので、どんな演奏をされるのだろうと楽しみにしていました。
1stVnの隣にVc、その隣にVlaで、2ndVnが1stVnのお向かいというあまり見ない並びです。そして譜面台が並んでいないことに少し違和感を持ちつつ、演奏は始まりました。
まず一曲目の第14番。
古典QのメンバーはVcの田崎さん以外は女性です。そのため、曲の出だしは、やはりやや大人し目の演奏と思いきや、進むにつれ、この曲の持つ明るさがどんどんと溢れてきました。
ドヴォルザークの四重奏曲の中では3番目に好きな曲をこんな形で聞くことができ、とても満足しました。
特に以前にモニターしたエルデーディ四重奏団でも演奏されている2ndの花崎さんは、私もあんな2nd弾きになりたい、と思わせる2ndぶり。素敵でした。
二曲目は予習のできなかった第13番。
ドヴォルザークの特集でもない限り、あまり演奏されることのない曲ではないでしょうか。
個々のパートの音符はともかく、曲を通して、ずっと音が鳴って、いろんなメロディーが前後している、そんな印象を受けました。
私がドヴォルザークの曲に探してしまうのは、「どうして、こんなところで、こんなことをさせるのだろう」というものです。日本の音楽なら「アラ、エッサッサー」「チョイノ、チョノサ」のような合いの手のようなことが必ず入っているのです。それは交響曲しかり、四重奏曲しかり。本当は合いの手などというよりは、自然を愛したドヴォルザークにとっては鳥のさえずりや、町の方々から聞こえてくる音だったのかもしれませんが・・・。その合いの手もどきが、この13番にもやはり出てきて、思わず「あった、あった」と嬉しくなってしまいました。
プロの演奏においても、協奏曲のソリストやリサイタル以外では譜面を置かないことはまずありません。それだけに古典Qのみなさんの暗譜という努力、暗譜することで生まれるアンサンブルの密度をこの日はとても感じることができました。お互い合図など出さなくても、みんなが自然に入ってきて、お互いが聞こえ、絡み合って進んでいく、そんな印象を持ったすばらしい演奏でした。
公演に関する情報
第一生命ホール5周年記念コンサート
〈クァルテット・ウェンズデイ#51〉
古典四重奏団 ドヴォルザーク弦楽四重奏曲選集Ⅱ
日時: 2006年11月1日(水)19:15開演
出演者:古典四重奏団
[川原千真(Vn1)/花崎淳生(Vn2)、三輪真樹(Va)、田崎瑞博(Vc)]
演奏曲:
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第13番ト長調作品106、第14番変イ長調作品105