クァルテット・エクセルシオ
ラボ・エクセルシオ 世界めぐりvol.5 イタリア編
報告:井出春夫/会社員(TANサポーター)/2階L1列44番
投稿日:2006.02.7
2月1日、プロ野球の球団にとってはお正月にあたる同じ日に、今年最初のクァルテット・ウェンズディが始まった。今年、最初に登場するのは、クァルテット・エクセルシオ。
当日は、朝から雨。しばらくぶりのまとまった雨で、「体にはいいかも」と思っていたが、いざ、ホールに向かおうと外に出ると、以前より大粒の雨で、肌寒く、風も吹いている。
駅をおりたら、あるご婦人達が、いろいろなホールの名をあげて、「どこそこのホールは駅に近くて音がいい」とかなんとかいいながら、どうしてこのホールはここに建てたのだろうと、演奏会の日が雨になってしまったことに対する怨み節を相手のご婦人に話していたようだが、なにはともあれ、演奏会に足を運んで下さりとてもうれしい感じがした。
ホール入口でプログラムを貰い、客席で辺りを見回すと今日は何となく客席がさびしい。
プログラムをみると、シャリーノ以外は、名前を聞いたことのある作曲家だが、曲は全く知らない。大体、ドニゼッティやプッチーニは、オペラ作曲家ではないか。この人達のカルテットってどんなのだろう。期待と不安な気持ちで開演を待つ。
最初の曲は、ドニゼッティ「弦楽四重奏曲第9番」。曲の冒頭に鳴る3つの和音は、暗い音であったが(この3和音が結構繰り返し出てくる)その後に、とてもきれいでのびやかな歌が聞こえた。この楽章を聞いていると何かモーツァルトが曲に重なってきた。2楽章は、勝手に「祈り」という題をつけた。曲を聞いていると何となくそんな風に思えた。3楽章、4楽章も面白く聞けた。
2曲目は、シャリーノ「弦楽四重奏曲第7番」メロディとも猫の鳴き声とも思える音。
でも、その音の動きや重なりが不思議に楽しい。また、遠くから聞こえてきた音が大きくなりまた遠ざかるという音の響きも興味深かった。私は、この曲がこのホールで演奏されたことを感謝せずにはいられない。この曲については、何も解らない私だが、特にこの遠近感の部分では、物理的に音が小さい(ピアノ)大きい(フォルテ)ではなく、豊かに響くピアノやフォルテがホール全体にきれいな音で響いたと感じた。
3曲目は、ボッケリーニ「弦楽四重奏曲op.64-2」いいですねぇ、ボッケリーニ。陽気で、軽快。音楽を聞いてると、とてもうれしくなってきます。
後半は、プッチーニの「菊」で始まった。曲名が「菊」とは、とても日本的だと感じました。曲は、オペラの幕開けを感じさせるしっとりとした音楽。ドニゼッティと違い、こちらはオペラ臭がプンプンする。でも、メランコリーでとても素敵な曲でした。
最後のレスピーギ「ドリア旋法の弦楽四重奏曲」を弾き始めようとしたその瞬間、ホール全体がグラっと揺れた。これには、みんな驚いた。少し時間をおいて演奏が開始された。
なんだか、難しい名前が付いている。曲としては古すぎず、そして新しすぎず、そんなに違和感なく聞こえてきて、それがとても新鮮であった。アンコール曲は、ボッケリーニの「メヌエット」という私でも知っている超有名曲であった。終演後、隣のご婦人が今日は知らない小品ばかりだったが楽しかったわ。と連れのご婦人と話していた。小品かどうかは解らないけど、眠くなる前に曲が終わり今日はとても楽しく全曲を聞き終えた。
公演に関する情報
〈クァルテット・ウェンズデイ#45〉
クァルテット・エクセルシオ
ラボ・エクセルシオ 世界めぐりvol.5 イタリア編
日時: 2006年2月1日(水)19:15開演
出演者:クァルテット・エクセルシオ
[西野ゆか/山田百子(Vn)、吉田有紀子(Va)、大友肇(Vc)]
演奏曲:
ドニゼッティ:弦楽四重奏曲第9番二短調
シャリーノ:弦楽四重奏曲第7番
ボッケリーニ:弦楽四重奏曲ニ長調作品64-2 G249
プッチーニ:菊
レスピーギ:ドリア旋法の弦楽四重奏曲