Triton Arts Network 10周年記念 スタッフBLOG

「晴れオケ」ベートーヴェン交響曲全曲演奏会 インタビューその2
コンサートマスター・矢部達哉、オーボエ首席・広田智之、クラリネット首席・三界秀実

コンサートマスター矢部達哉のもとに集ったメンバーで、指揮者を置かず、室内楽の延長のような、自発的で研ぎ澄まされたアンサンブルを特徴とする『トリトン晴れた海のオーケストラ(晴れオケ)』。

ベートーヴェン生誕250年にあたる2020年に向け、昨年から3年に渡ってベートーヴェン交響曲全曲演奏会(全5回)を開催中。

コンサートマスター・矢部達哉さん、オーボエ首席・広田智之さん、クラリネット首席・三界秀実さんのインタビュー、その2です。(その1はこちら

(聞き手:片桐 卓也)

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オーケストラの音作り

――矢部 

 ベートーヴェンの場合、指揮者によっては意外に木管の響きにこだわらないことがあります。でも、この晴れオケの場合は木管がメインと思ってやっています。ヴァイオリンにもメロディはあるけれど、ソロではない。みんなと調和しなくてはいけない。だから木管の人たちを引き出すことは注意しているつもりです。弦楽器がフルで弾いている時は、木管の人たちは自分ももっと音を出さなければいけないと思っているかもしれませんが、一番良い状態で木管が演奏していて、それを弦楽器が支えるのがひとつのテクニックです。

――広田

 だから、この晴れオケの木管は幸せですね。

――三界

 大きなオーケストラでもそういうことが起きているのだろうけれど、聴き取りづらい。それがこの晴れオケではバランス的にすごくやりやすくて、見通しが良い。

――広田

 支えられている感覚がありますよね。

――矢部 

 ほとんどのメンバーの方を若い頃から知っていますが、その後いろいろなところで経験を積まれて、それがいま結集しているという感じがありますね。それぞれの経験が生きて、その相乗効果があるというのが素晴らしい、ひとりひとりの個性を殺すこと無く。だから、この個性的なメンバーの皆さんをどう調和させて行くかを、皆さんと一緒に模索して行きたい。いま、調和はしていると思うのだけれど、さらに一段高い調和はあると思う。特にピアニシモの時に、いまも出ていると思うけれども、さらにマジックのような、魔法のような瞬間が生まれることは絶対にあると思う。それを目指したい。第一生命ホールのキャパシティを考えると、我々はちょっとリミッターを外しすぎと感じることもあるのだけれど、そこにさらにある種の質を加えて行きたいと思うのです。

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チクルス第2年目の作品について

――矢部 

 第3回の公演ではベートーヴェンの第4番と第7番を取り上げます。ベートーヴェンの中で第4番が一番好きという方が意外に多いですが、僕もそうです。第4楽章には弦楽器に超絶技巧を要するところがありますが、16分音符が音楽的に演奏出来るように目指したい。それと、この交響曲の調性が好きです、変ロ長調の中で一番印象的ですね。第2楽章がとても綺麗です。クラリネットのソロとか信じられないくらい。

――三界 

 とても室内楽的なイメージがありますね。クラリネットにはすごく良い旋律を与えて下さって、やりがいもあるし、怖さもあるというところです。

――矢部

 第4番に関してはリハーサルをたっぷり取らないとダメだと思っています。第7番に関しては、古今東西の交響曲の中でも最も有名なもののひとつと思っていますが、いまの晴れオケにぴったり合った作品だと思います。何の心配もないというか、奇を衒わずに新しいことをやりたいと思います。あたかもこれが自分たちの十八番であったかのような演奏が出来ると思います。

 第4回目の演奏会では有名な第6番「田園」と第8番を取り上げます。「田園」は一番難しいかもしれないと思っています。響きとか音色に調和の感覚が一番活かされる作品だと思うので、そこは万全の準備で臨みたいと思います。絶叫するところが無い作品というか、中庸の美を求められる時間の多い作品です。「田園」の最終楽章は素晴らしいと思います。ベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲に通じるような部分がある。田園は自然なのだけれど、その中に神が溢れてくる、神様とつながっている部分が出てくる。神とつながっている自然、それが現れてくる作品だと思います。

――三界★三界さん_0KU9130(C)大窪道治.JPG

 「田園」のクラリネットはオーケストラのオーディションで必ず指定されるぐらい、クラリネットにとって重要な作品です。ベートーヴェンの音符は実はシンプルなのですが、それによって、その演奏者がどういう人かが音に出てしまう、その人がどういうことが出来て、どういうことが出来ないかが分かる。基本的な部分が出てしまう作品なので、難しさは常に感じています。

――矢部

 そういう意味で「田園」は一番のサンプルになりそうですね。どこまで新しいことを付け加えられるか。晴れオケのメンバーはみんな音楽的な感性に優れています。ひとつのことを言うと、それが別のことにも反映されてくる。「田園」を演奏する時に、何か新しい自分たちを見せることが出来たら良いなと思います。そこまで高めて行きたいという期待がいまは大きいです。

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トリトン晴れた海のオーケストラ 第6回演奏会
ベートーヴェン・チクルスⅢ

■日時:2019年6月29日(土) 14:00開演
■出演: トリトン晴れた海のオーケストラ
【コンサートマスター】矢部達哉
【ヴァイオリン】双紙正哉 会田莉凡 景澤恵子 小関郁
 塩田脩 直江智沙子 福崎雄也 松浦奈々
 三原久遠 渡邉ゆづき 
【ヴィオラ】篠﨑友美 瀧本麻衣子 福田道子 村田恵子
【チェロ】山本裕康 清水詩織 森山涼介
【コントラバス】池松宏 佐野央子
【フルート】小池郁江 斎藤光晴 
【オーボエ】広田智之 池田昭子
【クラリネット】三界秀実 糸井裕美子
【ファゴット】岡本正之 岩佐雅美
【ホルン】西條貴人 和田博史 濵地宗
【トランペット】高橋敦 中山隆崇
【ティンパニ】岡田全弘

■ベートーヴェン:
交響曲 第4番 変ロ長調 Op.60
交響曲 第7番 イ長調 Op.92
■S席¥6,000 A席¥5,500 B席¥3,500 U25¥1,500(25歳以下)
2公演セット券 S¥11,000( *11/30 第7回演奏会 ベートーヴェン・チクルスⅣ

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