Triton Arts Network 10周年記念 スタッフBLOG

2018年8月

コンサートマスター矢部達哉のもとに集ったメンバーで、指揮者を置かず、室内楽の延長のような、自発的で研ぎ澄まされたアンサンブルを特徴とする『トリトン晴れた海のオーケストラ(晴れオケ)』。

ベートーヴェン生誕250年にあたる2020年に向け、今年10月6日を皮切りに3年に渡ってベートーヴェン交響曲全曲演奏会(全5回)を開催します。

コンサートマスター矢部達哉さんのインタビュー、第3回目です。
(聞き手:片桐 卓也)

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‐片桐

ベートーヴェンを演奏する時も、きちっと縦を合わせるのではなく、
みんなの感覚を信じて演奏するという感じですか?

‐矢部 

そう思います。
変わって来たのか、あるいは自分で変えようとしてきたのかは分からないのですが。

昔、CDみたいな演奏が好きだった時代があるのですよ。
僕が公言していたのは、セル&クリーヴランド管弦楽団の演奏が好きとか。
でも、いまセル&クリーヴランドを聞くと、作り物みたいに聴こえる時がある。
それよりももっと人間の生の声というか、
人間の弱さとかが出ているほうが好きという場合もあるのですよね。

人間がそんなに完璧な訳ないし、
ベートーヴェンこそ人間の生の感情を
楽譜に初めて託せた人なんじゃないかと思っています。

初めて出た「神の使い」じゃない人、
西洋音楽史のなかで。

バッハとかモーツァルトって、神の使いのような存在です。
モーツァルトの楽譜みると、こんなにすかすかで音符が少ないのに、
演奏すると信じられないような音がしますよね。
クラリネット協奏曲とか。
こんなこと、普通の人間が出来る訳がない、と。

でもベートーヴェンはまったく普通の人間。
信じられないような才能の持ち主だけど、
人間がんばればここまで出来るのだねという人。
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‐片桐

ベートーヴェンが人間の感情を楽譜に託せた人っていうのは良い表現ですね。

‐矢部

時代の寵児という感じもしますよね。_0KU8954(C)大窪道治copy.jpg

市民の意識が変わって来た時代と、フランス革命とか、
市民革命に密接に関係した時代に生きていた。
「運命」とか「第九」とかで、ピッコロの音を聞くと、
例えばベルリオーズの「幻想交響曲」でも同じですけれど、
市民の喜んでいる感じが聴こえる感じがするのですよね。

実際に「第九」と「幻想交響曲」とは作曲年代がほとんど変わらないし。

‐片桐

なるほど。そうした想いがこの「晴れオケ」の演奏の中に出て来ると面白いですね。

‐矢部

いろいろコンサートマスターが管理して、
急がない、遅れないではなくて、
一人一人の奏者が、思いをぶつける。

そこで枠から外れた時とか、たがが外れた時に、
もう少しこうしない? というのが
コンサートマスターのやる役割かなと思っています。

コンサートマスターにもツボがあって、
今までは自分で、ここをリードして、
指揮者と合わせて大きく見せればみんな付いて来ると思っていたのだけど、
ギアというのか、ツボっていうのか分からないのですが、そういうものがあって、
小さな動きでもオーケストラに分かってもらえる。
それは経験を積まないと分からない部分かもしれませんが。

ヴァイオリンが上手な人、
チェロも上手い人がたくさんいると思いますけれど、
オーケストラの難しさとは、上手な人がそこに座れば
上手く行くのかというと、そうじゃないという部分。
色々な人と長年やってきて、そこでつかめるものがあるのかなというのは、
なんとなく、この30年とかで分かって来たところ。
それを、みんなで分かち合う場所がこの「晴れオケ」だと思います。

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‐片桐

矢部さんのそうした思いの変化と、このオーケストラの結成のタイミングというのが合っていたのでしょうね。

‐矢部

それはもう神様のご褒美ですよね。
いまのこのご時世、新しくオケ、え、ほんと? 
と思ったのですけれど、やらせて頂いて、自分が思っていたよりも、
最初に音を出した時に、想像以上に筋がいいなと思った。
筋が良いというのを超えて、自分の想像力を超えたところにこのオケの演奏あって、
だから、ほんとに楽しみ。
自分の人生のご褒美という感じがします。


ーインタビュー その4へつづく

トリトン晴れた海のオーケストラ 第4回演奏会

ベートーヴェン・チクルスⅠ

■日時:2018年10月6日(土) 14:00開演
■出演: トリトン晴れた海のオーケストラ
【コンサートマスター】矢部達哉
【ヴァイオリン】双紙正哉 会田莉凡 小川響子 景澤恵子 塩田脩 直江智沙子 福崎雄也* 松浦奈々 三原久遠 渡邉ゆづき 
【ヴィオラ】篠﨑友美 瀧本麻衣子 福田道子 村田恵子
【チェロ】山本裕康 清水詩織 森山涼介
【コントラバス】吉田秀 佐野央子
【フルート】小池郁江 斎藤光晴
【オーボエ】広田智之 池田昭子
【クラリネット】三界秀実 糸井裕美子
【ファゴット】岡本正之 岩佐雅美
【ホルン】西條貴人 和田博史 濵地 宗
【トランペット】高橋敦 中山隆崇
【ティンパニ】岡田 全弘
■ベートーヴェン:
交響曲第1番 ハ長調Op.21
交響曲第3番 変ホ長調Op.55「英雄」
■S席¥6,000 A席¥5,500 B席¥3,500 ヤング¥1,500(小学生以上、25歳以下)
2公演セット券 S¥11,000( *12/1 第5回演奏会 ベートーヴェン・チクルスII )

公演情報はこちら

コンサートマスター矢部達哉のもとに集ったメンバーで、指揮者を置かず、室内楽の延長のような、自発的で研ぎ澄まされたアンサンブルを特徴とする『トリトン晴れた海のオーケストラ(晴れオケ)』。

ベートーヴェン生誕250年にあたる2020年に向け、今年10月6日を皮切りに3年に渡ってベートーヴェン交響曲全曲演奏会(全5回)を開催します。

お待たせしました。コンサートマスター矢部達哉さんのインタビュー、第2回目です。
(聞き手:片桐 卓也)

hareorche2017_21.JPG

‐片桐

モーツァルトとベートーヴェンでは、やはりその音楽作りがとても違って来ると思われますが、その点はいかがですか?

‐矢部 

第1回目のコンサートと第2回目のコンサートの間に、
横山さんのベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲演奏会があって、
第3回目の最後のモーツァルトは交響曲39番だったのですが、
室内オーケストラって、どうしてもまとめようという方向に行くのですけど、
その時は一人一人がリミッター外して、
その上で調和するという感じがあった。
ああ、ここまで出来るのだという印象がありました。

いつもは辛辣なことしか言わないコントラバスの池松さんから
コンサートの後、すぐメールが来て、
「今日は楽しかった」と。

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彼がそういうって言うのは、本当にそのレベルで出来たのだなっていう感じ。
お世辞とか浮ついたことは絶対に言わない人なので、
ちょっと階段を上がれたなという感じはありますね。

‐片桐

その上で、モーツァルトとベートーヴェンの実際にやる時の違いは?

‐矢部

僕がずっと若い時、20年とか30年とか前に、
モーツァルトを弾く時の様式とか、
ブラームスを弾く時の様式をもっと考えなければいけないと思っていた時代があって、
人から聞かれるたびに様式、様式と言っていた時代があったと思うのですが、
なんか、最近はそういうことをあんまり考えなくなって。
(どこかでは考えなければいけないのですが、)
一期一会ということをすごく考えるようになったのですよ。

というのは、このメンバーでこの曲をやるのは、_0KU9192-2(C)大窪道治.jpg
もう人生で最後かもしれないとか、
そういうことの方が大事で、
その時に生まれたもののほうが大事だと思うようになった。

みんなで、モーツァルトの音作りとか、
ベートーヴェンの音作りを考えるというよりは、
みんなのモーツァルトに対するイメージとか
ベートーヴェンに対するイメージがある。
それをパッと音に出してみて、
そこで出たものというのが、僕は大事だなと思う。
それを統一するというよりも、
一人一人のベートーヴェンへの想いが出る方が
大事かなと思うようになりました。

というのは、僕は今までまとめなきゃいけない
という想いが強すぎたと思います。
逆に、みんなで弾いてバッと出たものをどうするのか
っていうことの方に、最近は興味があります。

一期一会というのは、
そこに来て下さった聴衆の方々もその時にしかいない、
そこで生まれたものを一つ一つ楽しみたいと思う。

そういう気持ちがどんどん強くなって来たのかなというのはあります。

ーインタビュー その3へつづく

トリトン晴れた海のオーケストラ 第4回演奏会
ベートーヴェン・チクルスⅠ

■日時:2018年10月6日(土) 14:00開演
■出演: トリトン晴れた海のオーケストラ
【コンサートマスター】矢部達哉
【ヴァイオリン】双紙正哉 会田莉凡 小川響子 景澤恵子 塩田脩 直江智沙子 福崎雄也* 松浦奈々 三原久遠 渡邉ゆづき 
【ヴィオラ】篠﨑友美 瀧本麻衣子 福田道子 村田恵子
【チェロ】山本裕康 清水詩織 森山涼介
【コントラバス】吉田秀 佐野央子
【フルート】小池郁江 斎藤光晴
【オーボエ】広田智之 池田昭子
【クラリネット】三界秀実 糸井裕美子
【ファゴット】岡本正之 岩佐雅美
【ホルン】西條貴人 和田博史 濵地 宗
【トランペット】高橋敦 中山隆崇
【ティンパニ】岡田 全弘
■ベートーヴェン:
交響曲第1番 ハ長調Op.21
交響曲第3番 変ホ長調Op.55「英雄」
■S席¥6,000 A席¥5,500 B席¥3,500 ヤング¥1,500(小学生以上、25歳以下)
2公演セット券 S¥11,000( *12/1 第5回演奏会 ベートーヴェン・チクルスII )

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コンサートマスター矢部達哉のもとに集ったメンバーで、指揮者を置かず、室内楽の延長のような、自発的で研ぎ澄まされたアンサンブルを特徴とする『トリトン晴れた海のオーケストラ(晴れオケ)』。

ベートーヴェン生誕250年にあたる2020年に向け、今年10月6日を皮切りに3年に渡ってベートーヴェン交響曲全曲演奏会(全5回)を開催します。

コンサートマスター矢部達哉さんのインタビューを、4回にわたって掲載していきます! (聞き手:片桐 卓也)

hareorche2017_21.JPG

ー片桐

「晴れオケ」では、これまで3回にわたり
モーツァルトの協奏曲、交響曲を演奏なさってきましたが、
今度はいよいよベートーヴェンの交響曲ツィクルスですね。

ー矢部 

モーツァルトもまだ演奏したい作品があるのですが、yabe_大窪道治2.jpg
2016年に横山幸雄さんと一緒に
ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲の演奏会を行った時に、
その演奏にシビレてしまって。

横山さんの演奏はもちろん素晴らしいのですが、
このオーケストラの演奏がとても良かった。
積極的にオーケストラが音楽作りに参加している姿勢があったのです。

例えば、ベートーヴェンのピアノ協奏曲「皇帝」の2楽章で、
コントラバスがピツィカートで、
他の弦楽器がアルコ(弓で弾くことの意味)で、
指揮者がいない場合は当然コンサートマスターである僕が合図して、
そこにみんな合わせてやるのですけど、
コントラバスの池松宏さんが
「僕にやらせてくれる?」と言った。

そうすると、チェロの人はコントラバスが見えないから、
どこで入ったら良いのか分からないはずなのです。

でも、それで良い音がする。

僕がコントラバスの動きに合わせるのだけれど、
その時に出た響きというのは、
コンサートマスターが合図を出してやった時とは、
音が違う。

音の密度、有機性とか、
ぴったり合わないのは合わないのだけど、
音の重層的な響きがあった。

そういうことを知ってしまうと、
<コンサートマスター仕切り>ということは、
どんどんやめていった方が良いだろうなと思わされました。


そして、改めて思ったのは、日本のオーケストラの状況。
それは昔とかなり違って来ていて、
本当に一人一人の楽員の力が高くなっている。

僕はこのオーケストラ業界に30年ほどいるのですが、
その最初の頃の常識であった、
コンサートマスターに常に合わせる、急がない、遅れない
ということをクリアした上で、
さらにチェロやコントラバスの音を聴く、
木管楽器の音を聴く、
そういうアンテナを立てている奏者は
すごくレベルが高いという時代を経て、
さらに今は、そこで満足している奏者は、それで良いの? 
とさえ言われる時代になって来たということです。

オーケストラというのは
コンサートマスターや首席奏者に合わせなければいけない
という時代は終わっていて、
もっと一人一人が積極的に音楽に参加していくという時代に
なっていると思うのですよね。


そういう段階でやっているのがこの「晴れオケ」なのです。

コンチェルトの時も、
ピアノの横山さんに対して、伴奏ではなく、
より積極的に絡んで行くということ、
それをコンサートマスターや首席奏者が
「これやろうね」という風に指示するのではなく、
一人一人が自発的にそれをやって行く。

演奏者の人数も少ないから、一人一人の持つ
音楽的な責任はより大きくなる訳ですが、
そういうことがシンフォニーでも出来たら楽しいだろうな、
というのが今回のツィクルスの出発点です。

ーインタビューその2へつづく

hareorche2017_12.jpg

トリトン晴れた海のオーケストラ 第4回演奏会
ベートーヴェン・チクルスⅠ

■日時:2018年10月6日(土) 14:00開演
■出演: トリトン晴れた海のオーケストラ
【コンサートマスター】矢部達哉
【ヴァイオリン】双紙正哉 会田莉凡 小川響子 景澤恵子 塩田脩 直江智沙子 福崎雄也* 松浦奈々 三原久遠 渡邉ゆづき 
【ヴィオラ】篠﨑友美 瀧本麻衣子 福田道子 村田恵子
【チェロ】山本裕康 清水詩織 森山涼介
【コントラバス】吉田秀 佐野央子
【フルート】小池郁江 斎藤光晴
【オーボエ】広田智之 池田昭子
【クラリネット】三界秀実 糸井裕美子
【ファゴット】岡本正之 岩佐雅美
【ホルン】西條貴人 和田博史 濵地 宗
【トランペット】高橋敦 中山隆崇
【ティンパニ】岡田 全弘
■ベートーヴェン:
交響曲第1番 ハ長調Op.21
交響曲第3番 変ホ長調Op.55「英雄」
■S席¥6,000 A席¥5,500 B席¥3,500 ヤング¥1,500(小学生以上、25歳以下)
2公演セット券 S¥11,000( *12/1 第5回演奏会 ベートーヴェン・チクルスII )

公演情報はこちら

明日、ピアニストの金子三勇士さんと、金子さんが審査員を務める国際コンクール「ハンガリー子どものためのバルトーク国際ピアノコンクール」入賞者達によるコンサート「金子三勇士と未来のピアニストたち」が開催されます。
本日、金子さんによる入賞者たちへのマスタークラスが行われました。

★IMG_4302.JPG

「お風呂の中でゆったりとした気分を味わうように」
「この曲は熊さんが歩いているような感じで弾いてみよう」
など、お子さん一人一人に合わせて丁寧にアドヴァイスをする金子さん。
そして、そのアドヴァイスを素直な感性でひたむきに受け止めるお子さんたち。
みるみるうちに演奏が変わってゆきます。

さらに金子さんから「ステージ上の演奏が第一生命ホールの客席にどのように響くのか考えてみることも大事」というお話もありました。お子さんたちの演奏に「お客様にどの様に聴いてもらいたいのか」という客観的な視点が加わってゆきます。

★IMG_4310.JPG

明日のコンサートでは、未来のピアニストたちの演奏だけでなく、金子さん自身による演奏もございます。
ピアノ調律師の大橋宏文さんと金子さんによる、ピアノの構造についてご紹介するコーナーもあり、盛りだくさんの内容です。
当日券もございますので、皆様のご来場を心よりお待ちしております!

ハンガリー子どものためのバルトーク国際ピアノコンクール提携事業
特別コンサート「金子三勇士と未来のピアニストたち」

■日時: 2018年8月4日(土) 14:00開演
■出演: 
金子三勇士(ピアノ演奏・ナビゲーター)
大橋 宏文(ピアノ調律・トーク)
「第5回ハンガリー子どものためのバルトーク国際ピアノコンクール」入賞者
稲田つづる/冨田佳那/大下依千翔
美上菫/水野幸/中矢里咲

第1部 未来のピアニストたちによるコンサート
第2部 調律師にきいてみよう「ピアノのひ・み・つ」
第3部 金子三勇士 コンサート「ハンガリーの音楽って?バルトークって?」

公演情報はこちら

■一般3,000円 高校生以下2,000円(小学生以上)
当日券発売12:30~
※未就学児の入場はご遠慮頂いております。

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