育児支援コンサート~子どもを連れて、クラシックコンサート
報告:A・O/新宿区在住/団体職員
投稿日:2011.03.5
娘が知らない曲でもリズムを取ったり、じっと聴いているのを見ると、これがクラシック音楽の人を惹きつける力なのかなぁと感じます。
3月5日に行われた「子どもを連れてクラシックコンサート」へ行きました。「夏休み キッズのためのコンサート」では、最初から親子が座席に揃い、オーケストラを楽しむ形式でしたが、今回は、第一部は親子それぞれのプログラムがあり、第二部からは一緒にコンサートを楽しむ、というものでした。第一部で大人たちがコンサートを楽しんでいる間、子どもたちは、音楽スタジオにて楽器の体験や、説明を音楽家の方々から受けていました。事前に当日の受付についての詳しい案内をいただき、名札に名前を書いていく等の準備をして行ったので、たくさんの親子連れがいらしていましたが、混雑もあまりなくスムーズに進んだと思います。
子どもスタジオでは、ヴァイオリンやチェロなどの弦楽器のレクチャーが行れました。月齢によって組が分かれており、子どもたちの理解力の程度にあわせて、内容を設定しているのだなぁと思いました。娘はヴァイオリンが生まれたいきさつや、音の出る仕組みの説明を受ける組でした。 スタジオへ迎えに行った時は、「よくわからなかった...」という感じでしたが、第二部のコンサートが始まり、ヴァイオリンについて説明していただいた演奏者の方がステージに上がると、「あっ!」となり、「こうやって弾くんだよ~」と弾く真似をしていました。
第一部の「大人のためのコンサート」は、小川典子さんのピアノリサイタルでした。子どもが小さい間は、まだ行くのは難しいかな...と思っていた、こうしたコンサートを体験できるのはありがたいですし、個人的にピアノの演奏がとても好きなので、嬉しい時間となりました。特にモーツァルトは、なんとなく知っているレベルだったので、実際にピアノ演奏を集中して聴いてみると、その繊細さや複雑さ、現代の楽曲に通ずる部分などたくさんのことを感じて、ドキドキしました。プログラムの楽曲説明は、分かりやすくポイントを押さえて書かれていて、小学生くらいのお子さんなら、その内容が分かるようになっていました。演奏を聴きながら、「この曲は...」とプログラムを確認することはよくありますが、子どもが読んでも分かるものにしてあることで、一層興味がわくのではないかと思いました。
第二部「みんな一緒のコンサート」では、親子が揃って一緒にコンサートを聴きました。
ドヴォルザークのピアノ五重奏が始まると、娘は指揮棒を振る真似をしながら、リズムを取っていました。少し哀しげで、でも力強いメロディーに、最後の方は聴き入っていました。「夏休み キッズのためのコンサート」でもそうだったのですが、娘が知らない曲でもリズムを取ったり、じっと聴いているのを見ると、これがクラシック音楽の人を惹きつける力なのかなぁと感じます。
五重奏曲の後は、今回のメインプログラム。絵本『こんとあき』の朗読を、音楽とともに聴くというものでした。手作りのこんのぬいぐるみもステージに登場です。スクリーンに絵本のページが映し出され、森田樹優さんの朗読がスタート。さすが声優さん、声もこんとあきちゃんにとても合っていて、グッとその世界に入り込めた気がします。音楽と朗読だけでなく、スクリーンに映画のように 絵本が投影されるので、物語の流れが分かりやすく、娘も飽きずに楽しんだようです。
「赤ちゃん、かわいいね。♪ゆ~りかごのうた~」
「きつねさん、しっぽがはさまれてかわいそう...」
「おばあちゃんに会えるかな?」などなど。
「ぬいぐるみなのに、お風呂に入るの?」とも言っていました。
赤ちゃんのころのあきちゃんとこんの、柔らかくて暖かな雰囲気、汽車に乗って旅に出る元気な感じ、おばあちゃんに会えるのか不安な感じ...。音楽が色々な場面にあることで、娘もこんとあきちゃんの感情の変化を感じ取っていたように思います。場面に合わせた音楽は、ドビュッシーの「水の反映」や、「見上げてごらん夜の星を」など、素敵な曲がたくさんあり、目の前の物語に時間や空間を与えるのだなぁと思いました。
今回もあっという間にコンサート終了となりましたが、二部構成で親子がそれぞれ楽しめたことで、それぞれが何をしていたか?という会話もできますし、趣向の異なるステージを楽しめたと思います。
そして一番感動したのは、多くのボランティアの方たちが、今回のコンサートのお手伝いをされていることでした。子どもの相手となると、少ない人数では無理がありますし、ボランティアをおこなう方たちの理解も必要だと思います。クラシック音楽を多くの人に楽しんでもらうためにという意向があってできることだと思いますが、これだけたくさんの人たちが尽力されていること、クラシック音楽が支えれていることを知ることができたことが、コンサートの内容以外に、今回特によかったなと思いました。また機会があればぜひコンサートに伺いたいですし、ボランティアもやってみたいと思いました。
公演に関する情報
ライフサイクルコンサート#57
「育児支援コンサート~子どもを連れて、クラシックコンサート」
日時:3月5日(土)14:00 開演
出演:小川典子(ピアノ)
「道」クヮルテット(弦楽四重奏)[舘市正克(第1ヴァイオリン) 立林勉(第2ヴァイオリン)
三浦克之(ヴィオラ) 林一公(チェロ)]
森田樹優(朗読)