音楽のある週末 第6回
竹澤恭子 ヴァイオリン・リサイタル
報告:河上高廣/団体職員/松戸市在住
投稿日:2011.02.12
緊張感のある第一楽章、疾走する第2楽章、ピアニッシモが心を打つ第3楽章、情熱のほとばしる終楽章。
まだ、終わらないでほしいと心から思いました。
第一生命ホールでの「音楽のある週末~第6回竹澤恭子ヴァイオリンリサイタル~」を聞きました。ピアノ伴奏は江口玲氏。
素晴らしい演奏会でした!!特に最終ステージの「フランクのバイオリン・ソナタ」は熱演かつ名演だと思いました。聴衆の拍手も熱かった!
1.自宅を出る時にはどんよりとしていた空模様でしたが、地下鉄都営大江戸線「勝どき」駅について地上に出たらぱらぱらと雨が降り始めていました。小走りに会場へ。先週の日曜日(6日)も歌仲間と合唱の演奏会に来たので2週連続の第一生命ホールです。
2.前半のステージ
竹澤さんは濃いピンクの華やかなドレスで登場!とても似合っています。
第1曲は、ルクレールのヴァイオリン・ソナタニ長調作品9-3。弾き始めの最初のフレーズがふわっと会場に拡がりました。竹澤さんのヴァイオリンの音は会場空間を味方に付ける音なのでしょう、第一生命ホールの中に自然に溶け込んでいきます。この曲はCDでは何回も聞いたことはありますが、生演奏を聴いたのは初めて。第2楽章のアレグロがはつらつとしていて一番楽しめました。
第2曲は、フォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番イ長調作品13。これこそフォーレという曲で、音の色が変わり、そして和音のきれいな曲です。中間楽章の明瞭なピチカート、張り詰めた弱音!
3.20分の休憩。ロビーでコーヒーを飲んで一息。ここで会場スタッフのかたについて一言。開場時の受け付けから会場案内の方まで、みなさん出しゃばらず、でも、程よいサービスでいつも気持ちよく感じています。休憩終了時の対応も穏やかで好感が持てました。
4.休憩後の後半のステージ
まず、レイナルド・アーンのロマンスイ長調、ノクターンの2曲。プログラムとは曲順を替えて弾かれました。アーンという作曲家の作品は初めて聞きましたが、とてもメロディが美しく、特に2曲目のノクターンはロマンティックで親しみ易い曲でした。また、聞いてみたい作曲家です。
続いては、ラベルの「ハバネラの形式による小品」、そしてドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」です。竹澤さんの演奏はオーケストラをバックにした協奏曲は何度もお聴きしていますが、このようなピアノとのデュォは初めてでした。小品も素晴らしいですね。ヴァイオリンの音色を変えているのが良く解りました。
最後の曲はフランクのバイオリン・ソナタイ長調。曲が始まると、竹澤さんのこの曲にかける意気込みが伝わってきて、すぐに演奏に引き込まれました。実演、CDの演奏を含めこの曲の最高の演奏でした。緊張感のある第一楽章、疾走する第2楽章、ピアニッシモが心を打つ第3楽章、情熱のほとばしる終楽章。まだ、終わらないでほしいと心から思いました。演奏後の竹澤さんの素晴らしい笑顔!!きっとご自分でも満足されたのだろうと思います。少し空席もありましたが、もっと沢山の方にこの演奏を聴いて欲しいと思いました。
5.アンコールは2曲。最後を締めくくるフォーレ「夢のあとに」にはうっとりしました。
6.竹澤さんのピアニッシモは本当に美しい!また、江口さんの伴奏も、ヴァイオリンを引き立てつつピアノの存在感も示されており、改めて素晴らしい伴奏者だと思いました。なお、竹澤さんは楽譜台をピアノの前に横向きに置いて演奏されるので、直接音を聞きたい方は会場の右手(上手)側にいた方が良いかなと思います。
7.ホールの空調についてひとこと。他の会場ですと、入った時からかなり暑かったり、逆に足下が凄く冷えていて、演奏中に「コートを預けなければ良かった」と思う会場もありますが、第一生命ホールは、何回行っても、演奏の始まりから終わりまで暑からず寒からずの気持ち良い空調です。
8.終演後、CDを購入し、サイン会に参加。出演者お二人のサインをCDにいただきました。竹澤さんのサインは演奏会の時のアレグロのような勢いのあるサインでした。
公演に関する情報
ウィークエンドコンサート
音楽のある週末 第6回 竹澤恭子 ヴァイオリン・リサイタル
日時:2月12日(土)14:00開演
出演:竹澤恭子(ヴァイオリン)、江口玲(ピアノ)