クァルテット・ウィークエンド2010-2011"Galleria"
クァルテット・エクセルシオ 《Quartet+(プラス)》
報告:林敦子/東久留米市在住
投稿日:2011.01.29
ところが、次のリゲティの弦楽四重奏曲第1番で印象が一変する。
荒々しく激しい部分は、ボロディンの時とは全く違う、力強い演奏。
聴いているだけで興奮してしまう。
第一生命ホールの評判は、開館以来耳にしていたが、足を運ぶのは今回が初めてであった。
休日ということで、大江戸線勝どき駅から会場までの道筋、また晴海トリトンスクエア内も閑散としていて、かなり寂しい印象を受ける。ホール以外に商業施設等があると良いと思うのだが。
ホールは新しく、また座席が木で作られていて、暖かい雰囲気を感じる。心地よい気持ちで演奏に集中できる。
席は、ちょうどホールの真ん中という、視覚的にも聴覚的にも絶好のポジション。
1曲目はボロディンの弦楽四重奏曲第2番。演奏会冒頭に相応しく、しっとりと繊細な美しい曲。4人のアンサンブルが絶妙にきれいで、甘美なメロディに酔いしれた。クァルテット・エクセルシオの演奏は初めて聞いたが、甘い音色の団体だなと思う。
ところが、次のリゲティの弦楽四重奏曲第1番で印象が一変する。荒々しく激しい部分は、ボロディンの時とは全く違う、力強い演奏。聴いているだけで興奮してしまう。荒々しい後は静寂な曲想が現れるが、その静寂は緊張感が漲り、動と静のバランスが絶妙であったと思う。また終盤の少々不気味な雰囲気も良く出ていた。この曲は初めて知ったが、個人的にとても好みの曲であった。
最後はシューマンのピアノ五重奏曲。ピアノが入ったことで、また表情が一変。非常に華やかな雰囲気となった。弦のメンバーも、ピアノが入ったことでテンションが高くなり、音楽にノッているように感じた。観る側も高揚した気分を感じ、楽しくなる。シューマンらしい華やかさが表現されていたと思う。全2曲を聴いた段階では、弦4人で絶妙なアンサンブルになっていたので、ピアノが入ることでどのように変化するのか興味深かったが、弦4人に溶け込んでいて、全く違和感がなかった。ただ、もう少しピアノが際立っていても良かったのかな、とも思った(好みだと思う)。
アンコールにドヴォルザークのピアノ五重奏曲の3楽章。楽しい曲で、踊りたくなるような気分に。演奏会を締めくくるに相応しく、こちらもステキだった。
アンコールを含めた4曲を聞いて1番印象的だったのは、曲により、表現・色がガラリと変わったことだ。各曲の雰囲気が出ていたと思う。この点が、演奏会を素晴らしいものにしていたと思う。
なお、帰りはもんじゃ街に立ち寄り、同行したメンバーと演奏会の感想を語り合うことができ、1日を満喫できたのであった。
公演に関する情報
SQW#96 クァルテット・ウィークエンド2010-2011“Galleria”
クァルテット・エクセルシオ 《Quartet+(プラス)》
日時:1月29日(土)14:00開演
出演:【クァルテット・エクセルシオ】
西野ゆか/山田百子(ヴァイオリン) 吉田有紀子(ヴィオラ) 大友肇(チェロ)
共演:小山実稚恵(ピアノ)