育児支援コンサート
子どもを連れてクラシックコンサート
第1部はホールでは「大人のためのコンサート」、リハーサル室や楽屋では年齢別に4つのクラスに分かれて「子どものための音楽スタジオ」が開催された。わずか30分ではあるが、親は子どもからほんのひと時解放されて、ヴァイオリンとピアノが奏でるエルガー"愛の挨拶"やシューマン"子どものためのアルバム"などクラシックの名曲に浸る。子どもたちはそれぞれのクラスでチェロ、ヴィオラ、ヴァイオリン、オーボエの演奏を聴いたり、ペットボトルなどで作られたミニヴァイオリンなどを手にして、演奏家といっしょに合奏も楽しんだ。今回で8回目。スタート前は泣き出す子どもがこれまでになく多かったようであるが、いざ始まると楽しい場の雰囲気に馴染んできたのか次第に少なくなっていった。
第2部は、親子そろってホールで「みんな一緒のコンサート」の鑑賞。山田百子さん(ヴァイオリン)の司会で、楽器紹介も交えながらクァルテット・エクセルシオによるモーツァルト「ディベルティメント」より第2楽章、ドヴォルザーク「弦楽四重奏曲第12番"アメリカ"」より第4楽章を演奏。続いてオーボエの古部賢一氏、ピアノの小坂圭太氏も加わり飯原道代さんの朗読で音楽と絵本「くものすおやぶんとりものちょう」。
第1部の「子どものための音楽スタジオ」ですっかりメンバーと打ち解けた子どもの中には、メンバーの入場と同時にチェロの大友肇さんに対し大声で「大友さ~ん」などと声援を送っていた子もいた。メンバーもそれに手を振って応える。
音楽と絵本は、ステージ背後の大型スクリーンに絵本が映し出され、ヴィオラの吉田有紀子さんがストーリーに合わせて選曲。6人の室内楽の演奏に乗って絵本は進む。大人の目からは「4才から6才児が理解できて楽しめるストーリーなのか」、「2階客席からはスクリーンの映像が少し小さくないか」など心配な点もあったが、抜群の効果音(演奏)と迫力、静けさを巧みな音声で表現する飯原さんの朗読に、大人も子どももすっかり釘付けとなっていた。
第2部では、ステージと客席に通常のコンサートにはない一体感が感じられたが、それも第1部で演奏者と子どもたちの触れ合いがあったからこそ。「本物の楽器に触れてもらうことができない」というジレンマこそあるが、こどもたちにとっては一流の演奏家による演奏を間近で聴くことができ、参加した家族にとっては今日のコンサートでコミュニケーションが一段と増し、家族内の絆もきっと深まっていくはずだ。
公演に関する情報
〈ライフサイクルコンサート#37〉
育児支援コンサート
子どもを連れてクラシックコンサート
日時: 2009年3月29日(日)15:00開演
出演者:クァルテット・エクセルシオ(弦楽四重奏)
小坂圭太(ピアノ) 古部賢一(オーボエ) 飯原道代(朗読)
演奏曲:
第1部
《子どものための音楽スタジオ》(幼児対象)
年齢別に分かれて行う弦楽器と管楽器による楽しい音楽体験
《大人のためのコンサート》(小学生以上)
~ヴァイオリンとピアノによる名曲のひと時~
エルガー:愛の挨拶
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調op.24「春」より第1楽章
シューマン:「子どものためのアルバム」op.68より「勇敢な騎士」「楽しき農夫」
ショスタコーヴィチ:「子供のノート」op.69より「楽しいおはなし」「誕生日」「マーチ」
シューマン:「子どもの情景」op.15より「トロイメライ」
モンティ:チャールダッシュ
第2部
《みんな一緒のコンサート》
モーツァルト:ディヴェルティメント変ロ長調K.137より第2楽章
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番ヘ長調op.96「アメリカ」より第4楽章
音楽と絵本/「くものすおやぶんとりものちょう」(作:秋山あゆ子/福音館書店出版)