育児支援コンサート
~子どもを連れて、クラシックコンサート
トリトン・アーツ・ネットワークに関わるすべての方の音楽に対する情熱と豊かな人間性にひかれて、本日も埼玉から参加させていただきました。到着後、プログラムを開くと《音楽という芸術の特質の中で一番重要な要素は、「思い浮かべる力を刺激する」ではないか》というディレクターの冒頭文に、まず共感いたしました。なぜなら私自身、人にとって最も大切な力はイメージ力である、という信条があるからです。この育児支援コンサートは絵本の映像を観ながらいきた言葉を読み聞かせてもらい、更に事前に楽器のしくみを体得して絵本の内容にそったすばらしい生の演奏を聞ける。人の豊かなイメージ力を高める五感を刺激して、心に感動を響かせる貴重な機会といえます。
そんな心地よいメッセージに心を温め、かめスタジオ(5歳児)へ向かいました。本日は、雨。お子様連れの参加は大変であるにも関わら、ず親子共々喜んで参加されている様子が伺えました。
15時になると、子どものための音楽スタジオ開始です。テューバの演奏者の方が、金管楽器を吹く時の唇の振動により、音が出るしくみを楽しい体験を交えて導いてくださいました。マウスピースから息を吹きかけ、長いホースを振動させると、ホースの先に付けたジョーゴから大きな音が出る。という1番目の活動は、子どもたち全員がそのホースに触れて「わーっ!ホースが動いてる!」と大発見。2番目は、楽器の大きさが違う、と出る音の大きさも違うという活動です。一升瓶と小瓶の空き瓶に息を吹きかけて、音の差を聞き分けます。「出来た!」「もっとやりたい!」歓喜の声が上がり、子どもたちの金管楽器への興味関心が高まり、第2部への導入は大成功です。
第2部の始まりを元気よく伝えてくれたのは、ロッシーニのオペラ「ウィリアム・テル」序曲です。耳慣れた楽曲に、小躍りしている子どもたちの姿がみられます。チータムのブラス・メナジェリーで、はやる心を落ち着かせながら、いよいよ子どもたちの大好きな絵本「おふろだいすき」の映像をもとに、朗読とピアノと金管五重奏21曲のコラボレーションの始まりです。
会場は、約100名以上の5、6歳児で占められています。子どものための音楽スタジオでは、年長児の特性である何でもやろうという呼びかけに直ぐに答え、意欲的であり、活動を自主的に進めていく積極性がみられました。反面、興味が無いものに対して、先生の指示や大人の干渉をさけようとする傾向もあります。
今回の絵本は、お風呂の中で出会う動物達の淡いファンタジーの世界が表現されたものです。ややもすると単調に終わってしまう作品を音で表現されるのは、大変難しいことです。しかし、優しい絵本の映像に以前から添えられていたかのようなピアノと金管五重奏の抑揚のある演奏に、感情を込めた朗読の流れの中で、親子が身を投じながら鑑賞されていました。
閉会後、鳴り止まない拍手と「毎年来ていますが、昨年より明るい感じで、親子共々絵本の世界へ引き込まれました」という感想をいただき、親子の心に残されたイメージが、かけがえのない想い出に変わる事の尊さを痛感いたしました。
公演に関する情報
〈ライフサイクルコンサート#25〉
育児支援コンサート
~子どもを連れて、クラシックコンサート
日時: 2008年3月30日(日)15:00開演
出演者:中川賢一(ピアノ)、バズ・ファイブ(金管五重奏)、大森智子(朗読)
演奏曲:
第1部(約30分)
子どものための音楽スタジオ(幼稚園年少組年齢から年長組年齢対象)
年齢別に分かれて金管楽器による楽しい音楽体験をします。
大人のためのコンサート(小学生からホールで聴いて頂きます)
~トランペットとピアノ 名曲の調べ~
ラヴェル:ハバネラ形式の小品
チャイコフスキー(戸部豊編曲):バレエ音楽「白鳥の湖」より「ナポリターナ」
ドビュッシー:アラベスク第1番
ドビュッシー:月の光
ブラント:コンサート・ピース(演奏会用の小品)第2番
第2部(約40分)
みんな一緒のコンサート
ロッシーニ:「ウィリアム・テル」序曲
チータム:「ブラス・メナジェリー」第1楽章
音楽と絵本/「おふろだいすき」(作:松岡享子/絵:林 明子/福音館書店出版)