芝浦工業大学 クリスマスコンサート
芝工大の今年のクリスマスコンサートは、昨年と一昨年のアドヴェントセミナー卒業生によるチェロカルテットである。当日は穏やかに晴れた午後。開場前、今日は何人来るのか誰も予測がつかなかったが、開場してみると、乳母車に乗った子供さんから年輩の方、そしてちょっと実験を抜けてきたという感じの白衣を着た大学生までたくさんの方が来場して下さり、椅子を追加するほどであった。
そして、ホールのコンサートでは見られないことだが、子供さんがおとうさんやお母さんの膝の上に座って音楽を聞くというなんともほほえましい光景がここにはあった。また、ホールでは御法度だが、ちょっとお菓子や飴を食べながら楽しんでいる子供さんもいた。
本来ならば「ちょっと」と思われそうなことでも、一人一人がいろいろな形で音楽を楽しめる日があってもいいし、このコンサートには、それを許容できるムードがあるように感じられた。今日のコンサートは演奏者と聴衆がいつもに比べてとても近い距離で聞けるのも魅力の一つだろう。
クリスマスコンサートということであったが4人の演奏者には、もう一つ違ったテーマがあったようだ。それは、「チェリストにとって避けて通ることが出来ない作曲家達」。
クレンゲル、フィツェンハーゲン、ボルターマンの作品が演奏された(ちなみに音楽之友社ポケット音楽辞典では記述なし)が、私にはあまりなじみのない作曲家たちである。
聞いてみるととてもいい曲ばかりだった。私は特にフィツェンハーゲンのアヴェマリアがモーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプスと同じようにとてもあたたかく、美しく、とても好きだ。
楽器紹介では、実演をしてみせてくれた。弓の白い部分は馬のしっぽで出来ているということに多くの人が関心を示したように感じられた。楽器体験コーナーでは特に子供と限定したわけではないが、ちびっ子達が数人実際に音を出した。これが、結構いい音でよく響いた。
少し話が横道にそれるのだが、赤鼻のトナカイの歌詞はいくつかあるらしく、昔、「みんなの歌」で流れていた歌詞と一般に歌われている(真っ赤なお鼻のトナカイさんは)歌詞はちょっとちがう。昔の歌詞(ペギー葉山訳詞)には、トナカイに「ルドルフ」という名前がついている。私は、英語がよくわからないのだが、英語の題名にもルドルフという単語があったような気がする。
この曲、曲想がいろいろ変わっていってとてもおもしろい。ほかは、「諸人こぞりて」「神の御子は」「オーホーリーナイト」「荒野の果てに」「聖夜」といった、クリスマスにはなくてはならない曲だ。これもまた楽しい。
メドレーに続き、フィツェンハーゲンの「コンサートワルツ」日本人にとっては、聞き易くとてもきれいな曲だ。アンコールはボルターマンの曲が演奏されコンサート終了。
チェロのカルテットを初めて聞いたような気がする。演奏された曲も素敵だった。
今回、チラシやアンケート等をエコバックに入れて配布された。このエコバック、私はとても気に入っている。
公演に関する情報
芝浦工業大学 クリスマスコンサート
日時: 2007年12月15日(土)
場所: 芝浦工業大学教室棟1階テクノプラザ
出演者:田中愛(チェロ)長谷川陽子(チェロ)木下通子(チェロ)海老澤洋三(チェロ)