第7回ビバホールチェロコンクール第1位受賞記念
ソーヨン・ムーンチェロリサイタル
このコンサートには第7回ビバホールチェロコンクール第1位受賞記念とプログラムの頭に書いてある。個人的にいえば、この種のコンサートを私は嫌いなのだが、第一生命ホールで行われるコンサートは別で毎回楽しみにしている。(とはいえ未だ今回で3回目である。)第5回目の横坂さん、前回の宮田さんと私の聞いたチェリストは男性で日本人であったが今回は韓国生まれの女性である。演奏を聞いた感じでは3人とも異なるタイプのチェリストのように思えた。しかし、表現方法は違うが素晴らしい歌心が感じられる。
プログラムは、途中で変更があったようだがとてもおもしろいものだった。
お客さんは、普段のコンサートに比べチェロを勉強している演奏者とほぼ同年代の人が少し多かったように感じられた。
ステージに出てきてチューニングをした。軽く弾いているようだが音がホールによく響いた。
1曲目のシュニトケと3曲目のソーレン・ニールス・アイヒベルグは現代音楽で特にアイヒベルグの作品はこのコンサートのために書かれたもののようである。この2曲の現代曲をとてもきれいな音で弾いている。
カルテット・ウェンズディでショスタコーヴィチを弾いた古典四重奏団やムーンさんの演奏は現代曲がちょっと苦手という人にも「なかなかいいじゃん」と思ってもらえるのではないかと感じた。
第2曲目は殆ど間をおかずに始まったバッハの「無伴奏チェロソナタ第1番」
ムーンさんはテンポの速い曲ではよく歌い、テンポの遅い曲ではまるで教会でのお祈りを感じさせる音楽であった。
バッハや現代音楽では、手がかなり忙しく動いているのでかなり難易度が高いのだろうと思うのだが、音楽を聞いていると演奏技術の難しさを感じさせず音楽を楽しめる。
第4曲目は、ブラームス。バッハではロマン的に演奏していたのでブラームスもその路線でいくかと思ったら、冒頭はかなり渋めな音楽の作りだった。そして何か内に熱いものが感じられとても感動した。
アンコールは2曲。最後に山田耕作の「赤蜻蛉」を弾いた。ここにも素晴らしいうたが聞こえた。コンクールと東京で行われる受賞コンサートの間には1年という時間が存在する。この1年間の間で演奏者は音楽的に変化するのだろう。凄く興味がある。いつかコンクールをのぞきに行ってみたい。2年のコンサートがまた楽しみである。
公演に関する情報
〈TAN's Amici Concert〉
第7回ビバホールチェロコンクール第1位受賞記念
ソーヨン・ムーンチェロリサイタル
日時: 2007年11月18日(日)14:00開演
出演者:ソーヨン・ムーンSuh-Young Moon(チェロ)、若松清子(ピアノ)
演奏曲:
アルフレード・シュニトケ:チェロとピアノのためのソナタ(1978年)
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番ト長調BWW1007
ソーレン・ニールス・アイヒベルグ:チェロとピアノのためのソナタ(2007年)
*コンクール委嘱新作初演
ブラームス:ピアノとチェロのためのソナタホ短調作品38