第30回ロビーコンサート
報告:山白真代/サポーター
投稿日:2007.02.14
今日は、第30回目の記念すべきロビーコンサートなのだ。演奏者は、このロビーコンサートでは一番多く出演されているチェリストの藤原真理さん。私 たちサポーターは、これまでのロビーコンサートの思い出を語りながら、準備を進めた。みんな、これから始まる30回目のコンサートに気持ちが高まっているようだ。
春のような陽気に誘われてか、たくさんの人が開場前より列を作って並んでいる。こんなに多くの方が待っている事も珍しい。
すっかり支度の整った会場で、すべての皆さんが気持ちよく楽しんで頂けますように、と心を込めてお客様をお出迎えする。あっという間に満席となり、 立っている人の数も次第に増えてゆく。開演の時には、弦の響きを心待ちにした多くのお客様で埋め尽くされた。何ともうれしい事だ。
藤原真理さんと丸山滋さんが、にこやかな笑顔で現れる。開演だ。今日の1曲目は、ベートーヴェンのチェロ・ソナタ。深みのあるたっぷりとしたチェロ の音色と、ドラマティックなピアノが、対話しているかのように音楽が生まれてゆく。耳と心を澄ませて、二人が奏でる音の波に、私は心地よく引き込まれ る。ロビーという空間の中で、日常から非日常の世界へと誘われる、まさに至福と時である。2、3曲目のリストの小品では、しなやかで美しいメロディー と、温かい音色が会場いっぱいに包み込む。期待を裏切らない,素晴らしい演奏だった。
演奏者の表情、そして指先の動きが見え、息づかいが感じられるこの距離が、ロビーコンサートの大きな魅力だ。途中で席を離れる方も少なく、聴いている 人達も終始、二人の奏でる「祈り」のような響きに、酔いしれている様子だった。
アンコールでは「夢のあとに」の演奏がプレゼントされた。藤原真理さんの真心が、より一層詰まっている演奏のように感じた。
次回、確実に藤原真理さんのチェロに出逢えるのは、5月。第一生命ホールで行われる「はじめのいっぽ」だ。今度は、ホールでたくさんの心を魅了するだろう。
アンケートもたくさん寄せられた。「藤原さんの柔らかなお人柄を感じた」、「演奏で、心が静まった」、「チェロの音色の魅力を改めて知った」「幸せなひとときでした」等、コンサートへの感謝の気持ちがたくさん綴られていた。
終演後、約50分の小さな演奏会の余韻を心に残し、たくさんの人達がお昼のつかに間「夢」を後にした。
ロビーコンサートは、質の高い本物の演奏と触れる貴重な機会として、自信を持ってお勧め出来るコンサート。50回、100回と続く事を心から願い、 "音楽と人"を結ぶこの素晴らしいコンサートに、サポーターとして可能な限り、お手伝い出来たらと思う。
公演に関する情報
第30回ロビーコンサート
日時: 2007年2月5日(月)
場所: 第一生命ホールロビー
出演者:藤原真理(チェロ) 丸山滋(ピアノ)
演奏曲:
ベートーヴェン:チェロソナタ第3番イ長調作品69
ヘンデル:「ユダス・マカベウス」の「見よ勇者は帰る」の主題による12の変奏曲
ト長調WoO.45
リスト:忘れられたロマンス