第7回「パオロ・ボルチアーニ賞」国際弦楽四重奏コンクール
優勝者ワールドツアー
パヴェル・ハース・クァルテット
報告:井出春夫 会社員 座席2階L1列42番
投稿日:2006.06.27
昨年9月に始まったカルテット・ウェンズディ05-06シーズンもついに今日、最終回を迎えた。初めてこのシリーズから、シリーズ会員になった私は、毎回登場する団体や曲目(とはいっても殆ど何も知らない状態であったが)にわくわくさせられながらコンサートに通った。そして、最終回に登場したパヴェル・ハース・カルテット。
ホールに入ってみると、お客さんがいつもより少ない感じがする。やはり新しい団体をチケットを買って聞くということはかなり勇気のいることなのだろうか?
第1曲目のモーツァルトが始まった。始まってまもなく、ビックリした。この団体、今まで聞いたどのカルテットよりも音がでかい。そして、それがとても上品に響く。
第1曲目のモーツァルトでは、「モーツァルトは、ただ単にきれいな音楽ではない」と感じた。彼らの演奏は、とても健康的で、美しさの中にも、何か強さのようなものがあるように思えた。
第2曲目は、このカルテットの名前にもなっているパヴァエル・ハースの作品。この曲は、初めて聞くが、東洋的な響きやどこかの民族舞踊のように思えるところなどがありとても楽しめた。特に、フィナーレでは、とてもパワフルな感じで、曲想が目まぐるしく変化し曲としてもおもしろいけれど、曲の多面的な部分をとても見事に聞かせてもらえたのはうれしい。
休憩後、第3曲目やナーチェク「弦楽4重奏曲第2番」が始まる。前半の曲から受ける音の感じとは全く違う。後半の音は、彫りが深く、とてもみずみずしい感じがホール全体を包む。それと、ヤナーチェクやアンコールで演奏したスメタナの「弦楽四重奏」第2楽章の演奏を聞いていると、彼らの「チェコ人の血が騒ぐ」というような感じがした。
この夜のメインディシュであったヤナーチェクは、凄い名演であったように思う。
私事になるが、この曲には私が、かつて歌った「グラゴールミサ曲」のメロディーが所々聞こえてそれがとても懐かしい。
世界中には、私はまだ知らないけれど、このパヴェル・ハース・カルテットのような凄い団体や演奏家がいることをあらためて思い知った。
パヴェル・ハース・カルテットは、今回が初来日だそうである。そして、また日本に来てみたいと語っていた。是非、近いうちにこのホールに帰ってきて欲しい。今度来日するときは、どんな曲目をどのように演奏するのだろう。とても楽しみである。
公演に関する情報
〈クァルテット・ウェンズデイ#49〉
第7回「パオロ・ボルチアーニ賞」国際弦楽四重奏コンクール優勝者ワールドツアー
パヴェル・ハース・クァルテット
日時: 2006年6月14日(水)19:15開演
出演者:パヴェル・ハース・クァルテット
[ベロニカ・ヤルツコヴァ/カテリナ・ゲムロトヴァ(Vn)、
パヴェル・ニクル(Va)、ペテル・ヤルシェク (Vc)]
演奏曲:
モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番ハ長調K.465「不協和音」
パヴェル・ハース:弦楽四重奏曲第2番作品7"オピチー・ホリ"から
ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第2番「ないしょの手紙」