エルデーディ弦楽四重奏団 メンデルスゾーン全曲演奏会2
報告:上田淳子/2階R3扉R1列41番
投稿日:2006.06.15
自分の好みもあるので一概に言えることではありませんが、
メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲はプロの演奏会でも、
あまり取り上げられていないような気がします。
聴き手の要求が無いからなのか、演奏者側の選択なのか
それは分かりませんが、生で聞く機会が残念ながらこれまではありませんでした。
そんな自分が、そのまま演奏会を聞いてレポートを書くのもよくないなぁ、と思い、
今回はプログラムのエッセイにもあった某カルテットの全曲演奏のCDを
ちょっと聞いてから出かけたのでした。
まずは一曲目(第2番)の出だし・・・。
響いてきた4つの音に、曲をどうこういう前に、
カルテットを聞くのに丁度いいホールだなぁ、と
改めて第一生命ホールの音のよさを認識したのでした。
エルデーディ弦楽四重奏団の演奏は初めて聞いたのですが、
第3楽章の中間部では、とても歯切れのいい演奏に
皆さんの技術の高さに感心したのでした。
二曲目の第3番はとても華やかに始まる曲で、
メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲の中で
私の一番のお気に入りとなった曲です。
メンデルスゾーンはベートーベンなど先人の音楽の
研究をし、作曲もその影響を受けたとのことですが、
ベートーベンにはない、繊細な華麗さを感じるのです。
非常に素人的な発想ですが、それはもしかしたら、
その頃の音楽家には珍しく、幼少から裕福な家庭で育ったためかもしれない、
などと思ってしまうのでした。
休憩を挟んでその日最後の曲。
この作曲家の四重奏曲としても最後の曲。
それだけに、それまでのものと比べるとスケールが
大きくなっているように思われます。
最愛の姉を亡くし、その悲しみを込めた曲ということで、
エルデーディのみなさんの演奏も、それを表すかのような、
ずっしりと重みのあるものであったと思いました。
アンコールはOp.18の4つの小品から、カプリチョでした。
1人の作曲家の曲だけでプログラムを組むことは
演奏者の方々には、どんな感じなのでしょうか。
聴き手の私には、絵画で言えば、1人の画家の作品を
一同に集めた個展といったイメージです。
年代を追って、作品は変わっていく。
けれど、そこにはその人特有の何かが、生涯を通してずっと存在する。
そんな風に聴いてみるのも面白いのかもしれません。
最後になりますが、
エルデーディのみなさんの演奏は今回初めて聞いたのですが、
結成が1989年とのことなので、
一緒に演奏されてすでに15年以上ということになるのでしょうか。
それだけに、いい意味で、お互い遠慮のない演奏をされるという
印象を受けました。
また別の機会にエルデーディのみなさんの演奏を聞きたいものです。
公演に関する情報
〈クァルテット・ウェンズデイ#48〉
エルデーディ弦楽四重奏団 メンデルスゾーン全曲演奏会2
日時: 2006年5月31日(水)19:15開演
出演者:エルデーディ弦楽四重奏団
[蒲生克郷/花崎淳生(Vn)、桐山建志(Va)、花崎薫(Vc)]
演奏曲:
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第2番イ短調作品13、
第3番ニ長調作品44の1、第6番へ短調作品80