Triton Arts Network 10周年記念 スタッフBLOG

2019年9月

ボルドー国立歌劇場(グラン・テアトル)に会場を移して、いよいよ大詰めを迎えた2019年第9回ボルドー国際弦楽四重奏コンクール。

事前にコンクール委員会によって選ばれた6団体が、それぞれ1時間半程度のコンサート・プログラムを組み、1日3団体ずつ、2日間にわたって演奏します。

歌劇場での「コンサート」初日となる6月10日の開演30分前には、劇場前に長蛇の列が......!

IMG_4261.JPG開場とともにあっという間に劇場は上の階まで満席に。無料ですし、この日は祝日だったらしいのですが、それでも一般のお客さまが、弦楽四重奏のコンクールにこれだけ関心を持って足を運んでいるのはうらやましいことです。

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ヨーロッパの古いオペラ劇場は入ってみると意外に小さいものですが、このボルドー国立歌劇場もその例にもれず、1079席の客席内は舞台からお客様の顔がひとりひとり見えるのではと思うほどの親密さです。

初日に演奏した3団体は、全員兄弟で結成しているチャリーク弦楽四重奏団(フランス)、イギリスを拠点にするマルメン弦楽四重奏団、前回大会にも出場していたアリス弦楽四重奏団(ドイツ)。それぞれが、2時間の普通のコンサートで演奏するようなプログラム3曲を休憩を挟まずに演奏します。

チャリークQは聴かせるという点で少し物足りなくも感じましたが4人で気持ちをあわせた誠実な演奏、今回チェロ以外立奏のアリスQは、前回大会でも強い印象が残っていただけに、上手いけれどどこか予定調和的。1日目のこの3団体の中で強い印象を残したのは、マルメン弦楽四重奏団でした。

MarmenQuartet2+c+MarcoBorggreve.jpgMarmen Quartet (c)Marco Borggreve

マルメン弦楽四重奏団は登場すると、演奏前に第1ヴァイオリンのヨハネス・マルメンが、プログラムについて紹介。「ここはオペラ劇場ですが、最初に演奏するヤナーチェクとモーツァルトもオペラの作曲家でした」「対照的に、最後に演奏するベートーヴェンの作品は非常に哲学的です」など簡潔な、それでいて、プログラムの意図を分かりやすく伝えるもので、演奏がはじまる前からぐっと舞台と客席の距離が近づいた空気が漂いました。

音が鳴ると、演奏がまた隅々まで魅力的。第1ヴァイオリンのヨハネス・マルメンはスウェーデン出身、第2ヴァイオリンのゴウ理紀也はイギリスと日本にルーツがあり、ヴィオラのブライオニー・ギブソン=コーニッシュはニュージーランド、チェロのステファン・モリスはウェールズ出身、とそれぞれ異なる出自を持ちます。ひとりひとりが"キャラ立ち"していて、その4人が合わさるおもしろさ! 多彩な音色と広いダイナミクス・レンジ。彼らの手にかかると何度も聴いているはずの作品が、まるでその場で生まれたかのように新鮮に響き、何だか1音たりとも目が離せないのです。

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1曲目のヤナーチェクの弦楽四重奏曲「クロイツェル・ソナタ」が終わった後にすでに客席からブラボーの声が飛び、モーツァルトK.387、ベートーヴェンOp.131と、ブラボーがさらに大きくなり、がっちりとお客さまの心をつかんでいるのがよく分かりました。これは、ぜひ弦楽四重奏が好きなお客さまはもちろん、あまり弦楽四重奏を聴かないお客さまにこそ聴いてほしいと思いました。「弦楽四重奏がつまらないとは言わせない」演奏だったのです。この時点で、マルメンQは、結果がどうあれ日本で紹介したい団体となりました。

(続く)

ボルドー国際弦楽四重奏コンクールレポート その1はこちら

公演情報

速報!!  第一生命ホールに初登場!!
マルメン弦楽四重奏団
2019年6月「ボルドー国際弦楽四重奏コンクール」第1位(*1)
2019年9月「バンフ国際弦楽四重奏コンクール」第1位(*2)
(*1)シンプリー弦楽四重奏団と同時受賞/(*2)ヴィアノ弦楽四重奏団と同時受賞
2020年6月28日(日)
第一生命ホールにて公演予定(発売日、チケット代金、演奏曲目未定)

マルメン弦楽四重奏団
ヨハネス・マルメン/ゴウ 理紀也(ヴァイオリン)
ブライオニー・ギブソン=コーニッシュ(ヴィオラ) ステファン・モリス(チェロ)
2019年4月にヨーゼフ・ヨアヒム国際室内楽コンクール第2位、6月ボルドー国際弦楽四重奏コンクール優勝、また9月にバンフ国際弦楽四重奏コンクールでも優勝。2013年英国王立音楽大学(RCM)にて結成。現在ギルドホール音楽演劇学校の室内楽フェロー団体としてロンドンを拠点とし、ジョン・マイヤスコウ(ドーリック・クァルテット)のもとで学ぶ。またハノーファー音楽演劇大学で、オリバー・ヴィレ(クス・クァルテット)のもとで室内楽の修士課程修了。 http://www.marmenquartet.com/

日本時間9月2日の朝10時、カナダで行われていたバンフ国際弦楽四重奏コンクールから、マルメン弦楽四重奏団(イギリス)が、ヴィアノ弦楽四重奏団(カナダ/アメリカ)と第1位を分け合ったというニュースが入ってきました!

MarmenQuartet1+c+MarcoBorggreve.jpgマルメン弦楽四重奏団 ©Marco Borggreve

このロンドンを拠点とするマルメン弦楽四重奏団は、実は今年に入ってから、4月にヨーゼフ・ヨアヒム国際室内楽コンクール第2位(同時に現代作品におけるもっとも優れた解釈に対する特別賞受賞)、2019年6月ボルドー国際弦楽四重奏コンクール優勝と快進撃を続けているのです。

トリトン・アーツ・ネットワークは、ボルドー国際弦楽四重奏コンクールと提携し、コンクールの「国際ツアー賞」受賞団体の日本ツアーを行うことになっています。そのため、6月に行われたコンクールを、はるばるボルドーまで視察してまいりました。今回は、このボルドー国際弦楽四重奏コンクール視察日記をお届けします!

元をたどれば、ハーゲン弦楽四重奏団などを輩出したエヴィアン国際コンクールの流れを汲んで、1999年にスタートしたこのボルドー国際弦楽四重奏コンクール(フランス)。ベルチャ弦楽四重奏団がその第1回の優勝を飾って以来、3年に1度コンクールを開催、コンクールのない年はフェスティバルを行うというサイクルを重ねて、今年2019年は20周年にあたります。

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写真:コンクールプログラムより、過去の受賞団体

(2013年優勝はシューマン・クァルテット、2016年優勝はアキロン・クァルテット)

この記念すべき年に、ボルドー国際弦楽四重奏コンクールは、「コンクール」の概念を覆すような大改革を実行しました。

コンクールといえば通常は、たくさんの応募者の中から書類やビデオ審査などから選ばれた団体が1次予選、2次予選と勝ち残っていき、決勝に残った数団体から1位、2位......と順位を決めるのが常です。ところが今回は、コンクール側によって世界中の才能ある若手団体から予め6団体が選ばれ、1週間かけて行うそれぞれ全3回分のコンサートを審査委員が聴いて、受賞団体を決定するという方式になりました。

つまり、参加団体にとってはコンクール途中で何度か訪れるはずの、「次の予選、セミファイナル、ファイナルに進めるか」という大きなプレッシャーから解放され、準備してきた曲はすべて演奏できるということになります。

課題曲もありません。コンサートとしてどんなプログラムを組むか、ということも、それぞれの団体に完全に任されているのです。

実際には、やはりコンクールであることを意識して、プログラムは、ハイドン、モーツァルトなどの古典、ロマン派、近現代、そしてベートーヴェンの後期作品や「ラズモフスキー」など、通常、課題とされるものをバランスよく配置している団体ばかりでした。

参加団体は全部で3回のコンサートを行う、と書きましたが、最初の2回分はグラディニャンというボルドー郊外で実施、最後の1回分がボルドー国立歌劇場(グラン・テアトル)で行われます。私は今回このボルドー国立歌劇場でのコンサートから見ることができました。

(続く)

公演情報

速報!!  第一生命ホールに初登場!!
マルメン弦楽四重奏団
2019年6月「ボルドー国際弦楽四重奏コンクール」第1位(*1)
2019年9月「バンフ国際弦楽四重奏コンクール」第1位(*2)
(*1)シンプリー弦楽四重奏団と同時受賞/(*2)ヴィアノ弦楽四重奏団と同時受賞
2020年6月28日(日)
第一生命ホールにて公演予定(発売日、チケット代金、演奏曲目未定)

マルメン弦楽四重奏団
ヨハネス・マルメン/ゴウ 理紀也(ヴァイオリン)
ブライオニー・ギブソン=コーニッシュ(ヴィオラ) ステファン・モリス(チェロ)
2019年4月にヨーゼフ・ヨアヒム国際室内楽コンクール第2位、6月ボルドー国際弦楽四重奏コンクール優勝、また9月にバンフ国際弦楽四重奏コンクールでも優勝。2013年英国王立音楽大学(RCM)にて結成。現在ギルドホール音楽演劇学校の室内楽フェロー団体としてロンドンを拠点とし、ジョン・マイヤスコウ(ドーリック・クァルテット)のもとで学ぶ。またハノーファー音楽演劇大学で、オリバー・ヴィレ(クス・クァルテット)のもとで室内楽の修士課程修了。 http://www.marmenquartet.com/

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