Triton Arts Network 10周年記念 スタッフBLOG

2018年12月

 クァルテット・ウィークエンド(SQW)シリーズに、2001年の第一生命ホールオープンから欠かさず出演しているクァルテット・エクセルシオ(以下エクQ)。

 日本でプロのクァルテットとして生きていくのは本当に大変なことですが、キャリアを積まれて、クァルテットのひとつのロールモデルとなるエクQに、ぜひ若いクァルテットを紹介し、共演していただきたいとご相談して今回のシリーズがスタートすることになりました。第1回の次世代クァルテットとして選ばれたのは「クァルテット奥志賀(以下奥志賀Q)」。エクQ3人と奥志賀Q4人にお集まりいただき、お話を伺いました。今回から、3回に分けておおくりします。

エクQが次世代クァルテットとして奥志賀Qを選んだ訳と奥志賀Q世代から見たエクQ


――まずはエクさん、次世代クァルテットとして、奥志賀Qを選ばれた理由を教えてください。

吉田:若手の中では、それぞれのメンバーの名前は以前からよく聞いていました。小川響子さん、石田紗樹さんは、エクがファカルティを務めていたサントリーホールの室内楽アカデミーの受講生で。アカデミーでは受講生とファカルティがいっしょに演奏するのですが、石田さんは当時ヴァイオリンで受講していたので、西野さんが休養していた時には、ファースト・ヴァイオリンとして私たちエクの中で演奏してもらったこともあります。
会田:私は、大友さんが講師を務められた別のセミナーでごいっしょしています。
西野:それぞれ素晴らしいという評判は耳にはしていましたし、個別に会ってすごいなと改めて思うこともあり、私たちとしても、刺激を頂ければと思います。

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――逆に奥志賀Qにとって、エクQは、どのような存在でしょうか。

小川:私自身は、室内楽アカデミーでエクの方々に先生として2年間クァルテットを教えて頂いて、その中で合わせの進め方から、音楽を作っていく方法まで、何から何まで教えていただきましたので、今回、一緒に弾かせていただけることをとても楽しみにしています。
石田:演奏はもちろん、お人柄の温かさも、こういう方々がクァルテットを糧として生きていかれる方々なんだ、と思いました。それから、これは共演させていただいた時に感じたことなんですが、個人のテリトリーがそれぞれにあって、それを重ねていくという感じのカルテットではなく、エクの方々は4人でひとつの大きな器を創られているような感じ。すごく長く続けていらっしゃる方々に加われたので、その大きな器に包まれながら心地よく弾けるように感じました。


――石田さんは、奥志賀Qではヴィオラですが、今でもヴァイオリンも演奏されているんですか?

石田:いえ、留学先にヴァイオリンを持っていっていないので、今はヴィオラしか弾いていません。私は不器用なので、同時にやるとヴィオラの音色を追求できないと思って、転向する時にヴィオラ1本と完全に決めて海外に行くことにしました。向こうでは、もちろん室内楽も勉強していますが、ソロを中心に学んでいます。

――ヴィオラを弾く時に、ファースト・ヴァイオリンの経験もあるのはいいですね。

石田:はい、ヴァイオリンだった頃からずっとヴィオラパートも弾いてみたいと思っていましたし、室内楽という点では、曲の組み立て方なども室内楽アカデミーで先生方にしっかり教わったので、ヴィオラに転向しても大変勉強になっています。アカデミーでの2年間の経験は、やはり大きく、貴重な時間でした。
大友:2年間、毎月、何かしらの機会がありましたからね。
西野:アカデミーで見てきて、一緒に演奏した上で思うのは、奥志賀のみなさんは、それぞれソロも素晴らしいのですが、さらにアンサンブルの能力があり、それを楽しんで演奏している。ですから、この奥志賀Qは間違いなくすばらしいだろうと。
会田:私は、クァルテットという存在を最初に知ったのが、エクQだったのです。東京クヮルテットでも、ハーゲン弦楽四重奏団でもなく、先にエクQでした。なぜかというと、最初にヴァイオリンを習っていた鷲見健彰先生のもとで、西野さんと吉田さんと同門だったのです。おふたりとも、もう卒業されていたのですが、西野さんは発表会にゲストとして出ていらして。この方は、卒業されて間もないけど、すでにプロとして活躍していて、クァルテット・エクセルシオとして活動されているんだよ、と聞いていました。ですから、ヴァイオリンを始めたばかりで、クァルテットとは何かということも知らないころから、「クァルテット・エクセルシオ」という名前は知っていました。
西野:何歳のころ?
会田:始めたのが5歳で、発表会が6歳ですね。その時のプログラムに、「西野ゆか」って書いてあって。まだ家にありますよ。だから、私が始めた時にすでにプロだった方たちと、まさかこうして共演させていただけるとは、という気持ちです。当時、ヴァイオリンをこんなに続けるとも思っておらず、いつの間にか続いたという感じだったので......。でも、きっといつかは一緒にと思っていて。私にとっては、原点に返るといいますか、とても嬉しいことです。

――すごく意味がある共演になりますね。会田さんがヴァイオリンを始めた頃に、クァルテットとして活動をはじめたエクと、こうして20年以上たってクァルテットとして共演するのですから。

黒川:クァルテットで、日本でずっとやっていらっしゃるといったらエクセルシオ。この誰もが知るクァルテットと、結成5年目の私たちが共演させていただくのは光栄です。
私たちは、奥志賀のアカデミーでいっしょに過ごした絆があり、その良さもきっとあるので、共演させていただくことで、それをさらに良くしていけるのかなと思うと、ワクワクします。大友先生にお世話になった飛騨のセミナーでは、室内楽を先生方と一緒に組んで、とても濃い3日間を過ごします。4、50分が2回くらいしかないリハーサルの中で、大友先生は、1回通してすぐに、いかに良くするか、何を目標にやるかを、ぱっと指摘して作っていく。そういった場面を聴講させていただいて、本当にすごいと思いました。出てくる音も、導いてくれるような音で、どうやったらこういう音が出るのだろうと。自分もチェロ奏者なので、もっともっと勉強させて頂けたらと思います。


奥志賀Q結成秘話?

――奥志賀Qは2014年結成と聞いていますが、もともと「小澤国際室内楽アカデミー奥志賀」の中で組んだクァルテットですね。

会田:奥志賀のアカデミーは、どのメンバーとクァルテットを組むかが行ってから分かるのです。2013年のアカデミーで、チャイコフスキーの弦楽四重奏曲第3番を演奏したのが最初です。その選曲も原田禎夫先生で、私は第1番が良いと言ったのですが、禎夫先生はそんな有名な曲はだめだと。
黒川:取り上げる曲は、すごい曲ばかりで。
会田:ドヴォルザークの第13番とか。有名どころを外してくるんです。それで、そのメンバーで2014年に「プロジェクトQ」のシューベルトの回に第15番で出なさいと、これも禎夫先生が決めました。

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――その時に、奥志賀という名前をつけたのですか?

会田:そうです。名前をつけなければいけなかったのですが、なかなか大変で。カタカナの名前をつけても、まず自分たちが覚えられない(笑)。それで、日本人だから、日本語の名前はどうかな、と思って、奥志賀で結成したので「奥志賀」ってつけたいねということで、禎夫先生に言ったら、いいねと言ってくださって。でも奥志賀は地名なので、どうなんだろうと......。ちょうど小川さんと私がサイトウ・キネン・オーケストラに参加している時だったので、小澤(征爾)先生に聞こうとなり、禎夫先生が聞いてくださったんです。そうしたら「すごくいい、でも町の人にお伺いをたてよう」と、小澤先生ご自身が電話してくださったのだと思いますけど、聞いてくださったところ、「いいですよ」と言っていただいたので、晴れて奥志賀という名前をつけることになったのです。いろんな方の助けがあってついた名前です。
エク:なるほどね。すごく覚えやすい。
石田:奥志賀Qが初めて結成された時のアカデミーを、私はヴァイオリンで受講していました。だから、最初のチャイコフスキーを演奏した時からこのメンバーを知っています。


――その後は、どのくらいの頻度で活動していらっしゃるのですか。

黒川:最初の頃は、毎日あわせをしていました。
会田:すごく忙しくて。毎月本番があって、しかも違う曲で。
黒川:クァルテットの年という感じでしたね。それから、それぞれが留学したり、活動の幅が広がって、羽ばたいていきました。
会田:小川さんは、サントリーホール室内楽アカデミーでは違うクァルテットを組んでいましたし。
石田:2015年頃ですね。2つ掛け持つというのは、本当に大変だったと思う。特に、奥志賀Qでは、ヴァイオリンの会田さんと小川さんは、ファースト、セカンドを固定にしていないので。
会田:今回も、モーツァルトでは小川さんがファーストを弾きます。


――だから、エネスコはファーストが会田さんなのですか?

奥志賀:(爆笑)それは、エクさんからの指示ですよね?
(エクも爆笑)

クァルテット・エクセルシオ×クァルテット奥志賀

■日時:2019年3月9日(土) 14:00開演
■会場:第一生命ホール
■出演

クァルテット・エクセルシオ[西野ゆか/双紙正哉(ヴァイオリン) 吉田有紀子(ヴィオラ) 大友肇(チェロ)]

*第2ヴァイオリンの山田百子が健康上の理由により出演できなくなりました。 代わって双紙正哉が出演いたします。

クァルテット奥志賀[会田莉凡/小川響子(ヴァイオリン) 石田紗樹(ヴィオラ) 黒川実咲(チェロ)]

■曲目

モーツァルト:弦楽四重奏曲 第16番 変ホ長調 K428 (クァルテット奥志賀)

ヤナーチェク:弦楽四重奏曲 第1番「クロイツェル・ソナタ」(クァルテット・エクセルシオ)

エネスコ:弦楽八重奏曲 ハ長調 Op.7

詳細は こちら

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子育て中のパパやママにも演奏を楽しんでいただきたいと企画している、
毎年恒例の「子育て支援コンサート」

今年もこのコンサートでは、受付や設営・案内係、そしてコンサートが始まる前に4~6歳のお子さんと一緒に遊んでくださるサポーター(ボランティア・スタッフ)を募集しています。

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過去の様子©大窪道治

お子さまが大好き、音楽が大好きという皆さま。
ぜひ一緒に楽しいコンサートを作りましょう!(事前説明会もありますので初めての方も安心して参加できます。)


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆子育て支援コンサートとは?☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「たまには大人だけでゆっくりコンサートを楽しみたい!」
「でも...子どもにも目の前で音楽を楽しんでほしい!」
...そんな2つの願いを同時に叶えた、家族みんなが楽しめるコンサートです。
第1部では「4~6歳児」と「小学1年生~大人」がそれぞれに音楽を楽しめるように、
また第2部では親子いっしょに「音楽と絵本」の世界を共有できるように工夫を凝らしたコンサートとなっております。

triton_kosodate2019_flyer.jpg コンサート情報はこちら!

皆さまのご応募をお待ちしております!

日本を代表するピアニスト小山実稚恵さんと、ソリスト、室内楽奏者、そしてオーケストラ奏者としても今もっとも日本で活躍するヴィオラ奏者、川本嘉子さんによる、待望のデュオが、いよいよ12月22日、第一生命ホールでスタートします。

非公式の場で共演したことがあり、いつかはじっくりデュオに取り組みたいと長年その思いを温めていたというおふたり。第一生命ホールでは、2016年に川本さんが所属するアルティ弦楽四重奏団と小山さんとの共演が実現し、そのあまりのすばらしさに、2018年からの「小山実稚恵の室内楽~ブラームス、熱く深い想いをつなげて」シリーズ実現にいたりました。

シリーズ第1回となったのは、9月の小山さんとアルティ弦楽四重奏団による公演。(この公演はNHKによる収録が入り、12月3日にNHK-BSクラシック倶楽部で放送されました!)この9月のリハーサル終了後に、小山さん、川本さんのデュオの写真撮影を行いました。

IMG_3530.JPG「演奏している写真も撮影させてください」とのカメラマン大窪道治さんからのリクエストに、小山実稚恵さんが楽譜を用意してピアノの前に座り、川本嘉子さんがおもむろに楽器を構えました。

その瞬間......!

溢れだす音楽に、客席内にいたスタッフ全員が思わず息をのみ、気づけばそれぞれ思い思いの座席に座って耳を傾けていました。そのまま、ブラームスのヴィオラ・ソナタの楽章がひとつ終わるまで、ホールの中の時が止まったようになったのです。

川本さんほどすばらしい音色で深々と歌うヴィオラ奏者が、豊かな音楽性で私たちを魅了してやまないピアニストの小山実稚恵さんと組むデュオ、ということで、もちろん素晴らしいとは確信していましたが、これほどとは......! 

川本さんのヴィオラの音は優しくそして艶やかで力強く、小山さんのピアノはそれにぴったりと寄り添いながら、時に語りかけ、時に歌い、深く包み込んでくれるよう。

ぜひこの音楽を、皆さまにも第一生命ホールでも堪能していただけたらと思います。

★_サイズ小0KU9823(C)大窪道治.JPG(C)大窪道治

川本さんがインタビューでも語っているように、ヴィオラはどちらかといえばマイナーな楽器と思われがち。それが名手の手にかかると、逆に「これまで聴いたことのない」「他では聴けない」世界に私たちを誘ってくれることになるのです。

小山実稚恵&川本嘉子インタビューはこちら

(インタビュアーは、ヴィオラ弾きでもある音楽評論家の山田治生さんです)

ただ、ヴィオラは最近注目が集まってる楽器でもあります。日経新聞には、4月に「ビオラ、もう『地味』じゃない ソロ演奏の場広がる」という記事が。(こちらも、トップに川本さんが紹介されています!)

そう、もはや地味どころではないヴィオラで自由自在に歌う川本嘉子さんと、それを深く熱い想いで支え、ともにすばらしい宇宙を作りだす小山実稚恵さん。

バッハ、ベートーヴェン、ブラームスとともにすごす2時間の異空間をお約束するコンサートは、12月22日(土)です。

ブラームス、熱く深い想いをつなげて 第2回
小山実稚恵&川本嘉子
ヴィオラ&ピアノ・デュオ I

■日時:2018年12月22日(土) 14:00開演
■会場:第一生命ホール
■出演:小山実稚恵(ピアノ) 川本嘉子(ヴィオラ)

■曲目:<3大Bプログラム>
バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第2番ニ長調 BWV1028
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第3番イ長調 Op.69(ヴィオラとピアノ版)
ブラームス:「F.A.E.ソナタ」より 第3楽章スケルツォ(ヴィオラとピアノ版)
ブラームス:ヴィオラ・ソナタ第1番ヘ短調 Op.120-1

詳細はこちら

「小さな子どもと一緒にコンサートを楽しみたい」
「クリスマスに家族や友だちと、思い出に残るようなお出かけをしたい」
そんな皆さまにおすすめなのが、毎年恒例の<子どもといっしょにクラシック~クリスマス・オーケストラ・コンサート>です。

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<オーケストラには色々な種類の楽器がたくさん>
それぞれの楽器にはどんな特徴があり、どんな音がするのでしょうか?
楽しいお話と演奏でご紹介します。
★お客様の声:「子供たちにやさしく楽器や音楽について教えて下さって良かったです」

<公演時間は1時間で休憩なし>
初めての鑑賞にちょうど良い時間で音楽をお届けします。
★お客様の声:「1曲1曲が短く、子供でも聴きやすいよう配慮していてとても良かった」

<初めてのコンサートだからこそ、一流の音楽を>
演奏するのは、NHK交響楽団など国内主要オーケストラで活躍する、精鋭ぞろいの演奏家たちによるオーケストラ「ARCUS(アルクス)」。
お子さまにはもちろん、大人の方からもご好評いただいております。
★お客様の声:「本格的なホールで素敵な演奏を聞けて大人も大満足」

毎年売り切れ必須の公演ですので、ご予約はお早めに!

★=過去の公演アンケートより

子どもといっしょにクラシック
クリスマス・オーケストラ・コンサート
■日時:2018年12月9日(日)
[1回目]13:30開演(14:30終演予定)
[2回目]16:00開演(17:00終演予定)
■会場:第一生命ホール
■曲目:
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集「四季」より「春」第1楽章
リゲティ:6つのバガテルより
クラーク:トランペット・ヴォランタリー
アンダーソン:クリスマス・フェスティバル
メンデルスゾーン:交響曲第4番イ長調「イタリア」より第4楽章
グル―バー:きよしこの夜
■出演:ARCUS(アルクス)
[ヴァイオリン]
白井篤(NHK交響楽団次席)/丹羽洋輔(NHK交響楽団)/松田拓之(NHK交響楽団次席)/山岸努(NHK交響楽団次席)/横溝耕一(NHK交響楽団)/大久保良明/京極朔子/末廣紗弓/村尾隆人/横島礼理(NHK交響楽団)/渡辺明
[ヴィオラ]
村松龍 (NHK交響楽団次席)/松井直之(NHK交響楽団)/千原正裕 /今川結
[チェロ]
海野幹雄(トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア)/西山健一(NHK交響楽団次席)/松浦健太郎
[コントラバス]
西山真二(NHK交響楽団首席代行)/矢内陽子(NHK交響楽団)
[フルート]
宮崎由美香/山本葵
[オーボエ]
岡北斗(藝大フィルハーモニア管弦楽団)/大隈淳幾
[クラリネット]
伊藤圭(NHK交響楽団首席)/加藤丈陽
[ファゴット]
石川晃(新日本フィルハーモニー交響楽団)/洞谷美妃
[ホルン]
豊田実加(神奈川フィルハーモニー管弦楽団首席)/村中美菜(日本フィルハーモニー交響楽団)
[トランペット]
山本英司(NHK交響楽団)/後藤慎介(東京ニューシティ管弦楽団)
[ティンパニ・打楽器]
高橋宙詩

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