バロック・ヴァイオリン、モダン・ヴァイオリン共に世界的な賞賛を得ている佐藤俊介さん。双方のヴァイオリンで活躍する演奏家は日本のみならず世界中を見回してもめずらしく、いま大注目のアーティストです。
佐藤さんにバロック・ヴァイオリンとモダン・ヴァイオリンを弾き比べていただきたいと「昼の音楽さんぽ」シリーズへのご出演をお願いしたところ、せっかく聴き比べていただくのであればぜひ無伴奏でというお話をいただき、今回のプログラムになりました。
インタビューはこちらにてご覧いただけますが、文字数の関係で掲載できなかったこぼれ話をおおくりします。
―今回は無伴奏ですが、室内楽や協奏曲を演奏するときと何か違いはありますか?
音楽的な面では特に変わりはありません。どちらの場合も、自分らしさを隠すことはできないですし。演奏する面では、無伴奏の時が正直言って一番疲れます(笑)。
共演者がいる時は、絶えず音楽的な会話がある。その会話が盛り上がると、今まで思いつかなかった新しいところに行けるようなスリルがあります。
それに対して無伴奏の場合、自由ではありますが、全部自分で考え付かないと何も起こらない。モノローグのような、いい意味で孤独な世界ですね。自分で作り上げたもの全てが実現する世界です。
―バロック・ヴァイオリンでの演奏を経験すると、モダン・ヴァイオリンでバッハを演奏する時に何か変化はありますか?
バロック・ヴァイオリンを演奏したことによる発見もあるし、逆にモダン・ヴァイオリンの音によって僕も影響を受けることもあります。一方通行ではないわけです。
「この楽器ではこういう音を出したいんだね」というように、楽器の声を聴いてあげるという感じでしょうか。
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共演者や楽器の声に耳を澄ませ、自身も含めたそれぞれの声を尊重し、お互いに影響しあいながら生まれるサプライズを音楽というかたちで表現される佐藤さん。
それぞれの楽器が持つ個性と佐藤さんのみずみずしい感性による化学反応をぜひお楽しみください!