なんでもいいから音楽で生きていきたいと思っていた
国立音楽大学のご出身ですが、最初はクラシックのサックス奏者を目指していた?
そういうわけではないんです。なんでもいいから音楽で生きていきたいとは思っていましたが。そのためにはとにかく東京に行かないとはじまらない。一方で親には大学に行きなさいと言われていた。そうなるともう音大に行くという選択肢しかなかったんです(笑)。
在学中、山野ビッグバンドコンテストに出場し、最優秀ソリスト賞を受賞。それがきっかけでプロの道へ入られました。
原信夫さんがリーダーをつとめられるシャープス&フラッツに入団しました。他にもお誘いはあったのですが、原さんのところは、大学の授業や他の仕事がある時はそっちに行っていいよという、大変都合の良い条件で(笑)。みなさんからとてもかわいがってもらい居心地が良かったのですが、このままではずーっとここにいることになると思い、4年ちょっとで無理矢理やめました(笑)。
クラシックの編曲物を含む、多彩でユニークなプログラム
その後はT-SQUAREへの参加やご自身のリーダー・グループ、様々なユニット・プロジェクト、果てはフォーク・デュオまで実に多彩な活動を続けられていますが、そんな中、今回は佐山雅弘さんとのデュオをきかせてくださいます。
佐山さんとのデュオは5年ほど前からやっています。全編サックスとピアノでお客様を飽きさせないのはなかなかむずかしいのですが、佐山さんは発想のカラーリングの幅が広く、すごくきれいな世界から爆弾みたいな音楽までなんでもできちゃうので、とてもやりやすいですね。
プログラムについて少し教えていただけますか。
カプースチンの「8つの演奏会用エチュード」は原曲はピアノ独奏ですが、デュオ用にアレンジし途中にアドリブ・パートも入れて演奏します。彼はクラシックの作曲家ですが、スタンスがジャズっぽいんですね。それからハイドンの「トランペット協奏曲」。実は僕、中学の時はトランペットをやりたくて、ずっとこの曲カッコイイなーと思ってたんです。こういう響きのいいホールだからぜひやってみたいなと。あと、「アンパンマン・マーチ」。この曲、子ども向けみたいだけど意外にクラシカルな要素もあるんですよ。なにより誰でも知ってますからね。その他に、僕らのオリジナルやスタンダードをやる予定です。
お客様に向けてコンサートの聴きどころを。
僕はあまりジャンルにこだわらず音楽をやっているので、はじめて聴いてくださる方もあれこれ考えないほうが自然に入れるんじゃないでしょうか。また、普段ライヴ・ハウスで僕の演奏に接している人も、今回はコンサート・ホールならではのセッティングになるので、違う楽しみ方ができると思いますよ。
[聞き手/文 藤本史昭]