活動動画 公開中!

トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
Menu

アーティスト・インタビュー

『おふろだいすき』

子どもを連れてクラシック~
「音楽と絵本」コンサート『おふろだいすき』

大人気!《音楽と絵本》アンコール公演がやってきます。「親子で音楽をたのしみたい!」「子供にも生の音楽のよろこびを!」という願いを叶える〈育児支援コンサート〉またの名を〈子どもを連れて、クラシックコンサート〉シリーズは毎回たいへん好評ですが、毎回生まれる素敵な舞台、一度きりではもったいない‥‥ということで、今回は2008年におこなわれた『おふろだいすき』のステージが帰ってきます。初めてのご家族も二度目の皆さんも、ぜひお楽しみに!
 出演メンバーから、中川賢一さん(ピアノ)と〈Buzz Five(バズ・ファイブ)〉(金管五重奏)の皆さんにお話をうかがいました。

華やかに、楽しく、心おどる体験!
絵本と音楽のつくりだす豊かなステージ

★楽器の魅力、楽しく身近に感じてください!

20140923_Ofuro_interview.jpg このコンサートが大好評なのは、ただ演奏を聴くだけでない面白さに溢れているから。『おふろだいすき』をご覧いただく後半に先立って、前半も盛りだくさんです。金管楽器、ピアノ、そしてソプラノ歌手の7人の皆さんが、さまざまなクラシック音楽の名曲をご紹介くださいます。

中川賢一(ピアノ)「まず皆さんご存知のロッシーニ《スイス軍の行進》(オペラ《ウィリアム・テル》序曲より)で、金管楽器の華やかな魅力をお伝えします。そしてひとつひとつ楽器の紹介も」
上田じん(トランペット)「金管楽器も小さなトランペットからお父さんみたいに大きなチューバまでいろいろありますが、今回はそれぞれの違いをご紹介したいと思っています」


 トランペット2本、ホルン、トロンボーン、テューバという金管五重奏。それぞれの楽器で音のキャラクターが全然違うのに、合わせるとうまく溶け合って響くのが金管楽器のいいところ。しかし、音の違いはさておき、吹く人のキャラクターも違うものでしょうか?と皆さんにお尋ねすると‥‥

小川聡(トランペット)「トランペットって、音を外したら誰にでも分かってしまう楽器ですから、根のところではナーバスになりがちなんですけど、だからこそ大ざっぱに見せたいというところはありますよね(笑)」

 派手で明るい音の楽器ですけれど、とても繊細なんです。逆に、抱えて吹くような大きな低音でアンサンブルを支える楽器・テューバは‥‥

石丸薫恵(テューバ)「テューバとしては、自分さえちゃんとしていれば皆がちゃんと吹けるだろう、と思っているところはあるので、私がナーバスになっちゃいけないなと思ってます」

 その包容力あってこその金管五重奏です!


 ホルン(友田雅美さん)はインタビューにはいらっしゃれなかったのですけれど、これまた豊かで伸びやかな魅力のある楽器。そして管を抜き差しして演奏するトロンボーンは‥‥

加藤直明(トロンボーン)「まず見た目から面白いですよね(笑)。十代の頃は、いかにトランペットより目立ってやろうかとばかり考えて、高い音を頑張って出してみたりしてたんですけど、トランペットには勝てないわけですから(笑)トロンボーンにしか出来ないキャラクターを演じるようになりましたね」
上田「小学生の時、音楽教室をみて覚えてることったら、トロンボーンの人が吹きながらスライド外したことですからね(笑)。あれは子供には相当のインパクトありますよねぇ」
加藤「音を出すことと全く関係ないことで注目を浴びる楽器!(笑)」

 楽しい金管プレイヤーの皆さん、楽器と人のキャラクターにもご注目ください!


★金管五重奏+ピアノで華やか&パワフルに!

 前半ステージでは、そんなバズ・ファイブの皆さんが、金管楽器の魅力を演奏とビジュアルであれこれご紹介してくださいます。

中川「ステージから遠いかたでも見やすいように、楽器紹介でもスクリーンをつかって、よくわかるように工夫したいと思います」
上田「楽器の細かい部分までお見せしますよ」
中川「金管楽器はもちろん、私の弾くピアノも。楽器の中がどうなっているのか、どうやって音がでるのかをご紹介します。なかなか見られませんから、これはお得ですよ!」


 こういう楽器紹介でも、スクリーンを使って詳しくご覧になれることは普通ありませんけれども、このコンサートは後半で絵本を投影しますから、いろいろできるわけですね。

中川「この第一生命ホールならではです。そして、なんといっても素晴らしい響きを持った空間ですから、楽器と一体となって響くホールの素晴らしさを生かした選曲を考えているんです。シャンソン《おおシャンゼリゼ》の素晴らしい編曲でも、その魅力を味わっていただきます」
石丸「金管五重奏とピアノ、という組み合わせも、珍しいですが面白いですよ。中川さんもとても経験豊富なかたですから、演奏家同士の駆け引きがまた愉しいんです」
中川「金管楽器との共演だと、大概はピアノが抑えて弾くんです。でも五重奏との共演では、人数が多いぶん、チャイコフスキーやラフマニノフのピアノ協奏曲を弾くような気合いと音量で弾けますから(笑)全力でできるのが楽しみですねぇ!」


 そして、金管五重奏とピアノだけではなく‥‥

中川「人間には〈声〉という素晴らしい楽器があります。これをお楽しみいただくために、後半で朗読をしていただくソプラノの大森智子さんに、プッチーニのオペラ《ラ・ボエーム》から《ムゼッタのワルツ》を歌っていただきます。舞台で歌うだけではなく、もっと聴衆の皆さんと近しく接していただくことになると思いますが‥‥どんなサプライズがあるのかは当日のお楽しみに(笑)。こういうコンサートは、聴くだけでなくコミュニケーションも大事!」

 ホールをうまく生かした演出で、お客さんを愉しく巻き込んでいこう!と皆さん知恵を絞っておられますのでお楽しみに。


中川「また、ピアソラ《リベルタンゴ》を派手にお聞かせしたあとで、前半の最後は、音楽で身体を動かしてもらおう!とヨハン・シュトラウス1世の《ラデツキー行進曲》。リズムだけではなく、いろんな動きをつけてみようかなと」

 動きといっても、よくあるように手拍子打つだけではないそうなので、これまたご期待ください。

中川「今回演奏する曲は、お子さんは全部初めて聴くものだと思いますが、親御さんはどこかで聴いたことがある曲ばかりでしょう。ですから、親御さんから〈この曲はね‥‥〉とお子さんに話してあげられます。親子の会話がいろいろ生まれるように選曲してあるわけですね」

 作品については、当日配布のパンフレットでもお子さんにお話してあげられるような易しい解説が毎回ついていますので、ご安心を。

中川「親子のコミュニケーションを支援するのも〈育児支援コンサート〉の役割です!」

 まさにまさに。


★朗読と生の音楽、そして絵本の世界の絶妙な呼吸!〈音楽と絵本〉

 そして、後半はいよいよ〈音楽と絵本〉です。
 これは、大きなスクリーンに投影された絵本にあわせて、朗読と音楽を巧みに組み合わせて演出するというもの。まさにライヴ絵本というステージです。これがまた楽しいこと!

20140923_Ofuro_interview2.jpg 今回は、30年以上もロングセラーを続ける人気作『おふろだいすき』(作・松岡享子/絵・林明子/福音館書店)。お風呂に入ったらカメからペンギンからクジラまで出てきて‥‥と、想像力をかきたててくれる素敵な絵本です。
 この愉しい絵本と合わせて、中川さんのピアノとバズ・ファイヴの金管五重奏が、絵と文章にぴったり合わせて20曲以上(!)もの音楽を選曲、投影と大森さんの朗読と、ぴったり息を合わせて盛り上げてくださいます。まさに目と耳で絵本のなかに吸い込まれていくような体験というわけですね。

中川「絵と音楽を演奏して、そこに朗読を入れるわけですから、本当に微妙なタイミングなども音楽的に読んでいただけるかたでないといけません。そうなると、朗読も大好きでいらっしゃるソプラノ歌手の大森さんが最適なんです」

 前回の公演でも大好評でした!

中川「大森さんの語り口は柔らかくて優しいし、パステル調というのかな、聴いてるかたがリラックスできるような声。彼女は歌でも語りでも、聴衆のかたとのコミュニケーションも上手いんですよ。自然に力を抜きながら引き込んでゆく、そんな力を持っているんです。押し付けるような表現ではなく、いつのまにか彼女に注目しているような。まさに今回の絵本の絵にも合っているんです」


 その語りと合わせて演奏される音楽も、華やかな曲からメロディの綺麗に流れる曲まで‥‥皆さんが練りに練った緩急自在な選曲が、名曲オンパレードのようでこれまた贅沢。

中川「どこかで聴いたことのある曲をできるだけたくさん入れていますから、こちらも家に帰ってからも親子で音楽の話もあれこれしていただけると思いますよ」

 どんな曲が響くのかは、当日をお楽しみに。


★共演を重ねてパワーアップ!

 この《音楽と絵本》、ただのコンサートではないこと、お分かりいただけますでしょうか。音楽家の皆さんが創り出す生き生きとした世界に、聴き手も自然に吸い込まれながら、親子で楽しく盛り上がることができるステージというわけです。毎回ホールが大賑わいになる熱い人気も、こうした工夫あってのこと。

上田「中川さんと僕らも共演も重ねて来ましたから、演奏はもちろん楽器紹介の仕方も含めて、ステージは成長してきていると思います」
中川「もともと僕らは仲が良かったんですが、ステージも回を重ねて、信頼もより深まっていますしね」
石丸「初めての時は、流れに乗っていくのに気をつかうところもありましたが、回を重ねると変わりますよね」
上田「本番を演って初めて分かること、っていうのもあるんですよ」
中川「今回はさらなる完成形をお見せします!(笑)」


 これまでの手応えと自信から、今回の舞台はいよいよパワーアップすること間違いなし、と皆さんにこにこ笑顔で意欲を燃やしておられます。

小川「前回の公演でも、お子さんだけでなく、お母さんお父さんも喜んで下さっているのがとても印象的でした」
中川「クラシック音楽って、ホールに来ていただいて聴くとその良さが本当に分かるんです。しかもここのコンサートは、ボランティアスタッフの皆さんも含めて、全員で盛り上げてくださるパワーが凄いんですよね。ここまで出来ることは他ではなかなかないと思います。ホール全体がひとつになって楽しめるコンサート、ぜひおいで下さい!」

[取材・文:山野雄大]