古典四重奏団としては、フランス音楽でまとめたプログラムは初めてですね。田崎:15年ほど前、ラヴェルとドビュッシーを演奏しましたが、それまではフランス近代の作品は演奏したことはありませんでした。フランス音楽は、ドイツ音楽と感性が全く違うのです。私自身、まだフランス音楽をきちんと聴いたことがなかった子どもの頃、コンサートでドビュッシーのピアノ曲を聴いてとても驚いたことを覚えています。聴きなれたベートーヴェンなどのドイツ音楽とはハーモニーが全く違って、異次元の世界に思えました。その後大人になって古典四重奏団でラヴェルを演奏した時には、もう違和感はなくなっていましたが(笑)。フォーレには今回初めて取り組みます。
それぞれの曲を一言ずつ紹介していただくと?田崎:これは全くの主観ですが、あえて例えるなら、ラヴェルは、形が見えてキラキラしている彫刻。ドビュッシーは、平面だけれども、そこに吸い込まれるような絵。フォーレは、これはもう俳句ですね。水墨画でも表せないような世界です。音楽が存在する空間が違う。それほど違うところにある。
この3曲を、まとめて演奏することに意味があるのですね。田崎:ぜひやってみたいと思いました。この3曲は、それぞれにつながりがある一方で、違った個性もあります。まとめて取り組むことで、その違いがよりはっきりするんじゃないかと思います。
[聞き手/文 田中玲子]