日時 |
2023年6月21日(水) 14:00~16:00 |
---|---|
出演 |
出演:ミモザ弦楽四重奏団 【前田奈緒/高橋 渚(ヴァイオリン) 高橋 梓(ヴィオラ) 印田陽介(チェロ)】 |
概要 |
実施会場:築地社会教育会館 講習室 対象者:中央区在住・在勤・在学生 人数:40名 主催:中央区 |
【プログラム】
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークより第1楽章ハイドン:弦楽四重奏曲 第1番「狩」より第1楽章ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第3番より第4楽章
シューベルト:弦楽四重奏曲 第13番「ロザムンデ」より第2楽章シュルホフ:弦楽四重奏曲 第1番より第3楽章
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲 第12番 「アメリカ」
【レポート】
ミモザ弦楽四重奏団が登場し、アイネ・クライネ・ナハトムジークの演奏に続き、弦楽四重奏を構成するヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの各楽器が紹介されました。楽器毎の大きさや弦の音の高さの違いが示され、それぞれバッハの無伴奏曲が演奏されました。たとえば、「ヴィオラの音の高さはヴァイオリンより5度(ピアノの白鍵5個分)低いだけなのに、明るく華やかなヴァイオリンに対し、ヴィオラはとても深みのある音がします。」という説明を受けてから演奏されたため、両者の違いがとてもよく体感できました。
次に、弦楽四重奏4人の役割について、『絵画』に例えながら教えていただきました。
チェロ、ヴィオラ、ファーストヴァイオリンの順に3つの音が重なっていく演奏が行われ、「チェロは絵の背景や構図を担当、ヴィオラはどんな色彩の絵にするか、そして、ファーストヴァイオリンは人物だったり花だったり、いわば絵画の主役です。えっ!それではセカンドヴァイオリンは必要ないのでは? いえいえ、あるときは主役のファーストヴァイオリンの相手役、またあるときはヴィオラに寄り添って絵の色彩の差し色、など、とても重要な役割を担っています。そして、4つの楽器は曲の中で役割を交代しながら進んでいきます」。
ここからは、弦楽四重奏曲の歴史的発展について教えていただきました。
弦楽四重奏の原型の曲を作曲したスカルラッティ、弦楽四重奏の形式の礎を築き、それぞれの楽器に役割を持たせた『弦楽四重奏の父』ハイドンなどの曲が演奏されました。
中でも、各楽器が対等に活躍するスタイルを完成させ、後世の作曲家に大きな影響を与えたベートーヴェンの曲は迫力満点で、「4人の演奏なのにオーケストラを聴いているようですね。」という解説に多くの人が頷いていました。
また、シュルホフの曲では、弓の木側で弦を叩くなどさまざまな奏法が駆使され、これまで聴いたことのないような音が次々飛び込んでくるため、びっくりして演奏家の方をきょろきょろと見渡す人もみられました。
後半は、ドヴォルザークの弦楽四重奏曲『アメリカ』が演奏されました。各楽章の演奏前に、祖国ボヘミア独特の五音音階、大好きだった鉄道が走るリズムなど、楽章毎の特徴の説明があったため、曲の理解がより深まり、第4楽章では、何人かがリズムに合わせて体を動かしていました。
演奏後、拍手に応え、アンコールが演奏され、今回の講座は終了しましたが、弦楽四重奏の歴史や各楽器の役割などについて、専門的なことを分かりやすく教えていただけました。
*****
大人のための講座ということから、非常に体系的かつ簡潔に、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの特徴や音色などの違い、弦楽四重奏の仕組みや歴史を説明してくれた。何となく知っていたことも、歴史背景や具体的に個別の楽器や楽曲の演奏を聴くことで、明確に弦楽四重奏の魅力がわかったように思う。
区切りながら良く知られた楽曲を演奏することで、それぞれの説明を実例で示され、非常にわかりやすかった。休憩を入れて2時間であったが、内容の濃い説明でストーリー展開もあって飽きるようなところが無かった。
*****
全体の感想として、クラシック音楽を日頃あまり聴かない人にもわかるよう、専門用語を使わず、とてもわかりやすい言葉で話していたのが良かったと思います。
楽器の紹介で、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロがそれぞれバッハの曲を、一部ではなく、その楽章を全部弾いてくださったので、とても本格的な講座、という印象を受けました。
また、四重奏を絵画に喩えての解説は、特に、少し分かりにくい内声の役割を知る上で、とても効果的だったのではないでしょうか。
(サポーターの観察レポートより)
【弦楽器を近くで見ていただく】
講座開始前、休憩時間には、トリトン・アーツ・ネットワーク所有のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロを見たり触ったりしていただきました。
音を出して伝わってくる振動に驚く人がいたり、各楽器の弓の長さや持ち方の違い、アジャスター(音程の微調整器具)の役割についての質問が出されたりしました。
楽器に関心を寄せた参加者は10名程度でした。会場に到着された方を、楽器の前を通ってから着席してもらうなどの工夫があると、全ての方に近くで見る機会が得られるのではないかと思いました。
国内外で研鑽を積んだメンバーが2021年に集結。オンラインライブコンサートや図書館・小学校などのアウトリーチ活動に力を注いでいる。 |