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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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レポート

アウトリーチ

アウトリーチセミナー修了生による 保育園・幼稚園アウトリーチ

 日本橋幼稚園
 晴海幼稚園
 豊洲保育園
 晴海こども園
 晴海保育園

基本情報

日時 ①中央区立日本橋幼稚園
2023年6月23日(金)9:15~9:45/ 10:00~10:20/10:40~11:10
②中央区立晴海幼稚園
2023年6月26日(月)9:20~9:50/10:05~10:35
③豊洲保育園(江東区)
2023年10月3日(火) 9:45~10:05/10:15~10:45/10:15~10:45
④晴海こども園 (中央区)
2023年12月15日(金) 10:00~10:20/10:30~10:50/11:00~11:30
⑤中央区立晴海保育園
2024年1月29日(月) 10:40~11:10
出演 大庭絃子/安田沙織(ヴァイオリン) 岩澤なぎさ(ヴィオラ) 松本亜優(チェロ)
概要 対象者:①年少・年中・年長 ②年中・年長 ③0~3歳児・4歳児・5歳児 ④0~2歳児・3歳児・4~5歳児 ⑤4~5歳児
人数:①66名 ②91名 ③133名 ④150名 ⑤38名

助成:文化庁文化芸術振興費補助金 劇場・音楽堂等活性化・ネットワーク強化事業(地域の中核劇場・音楽堂等活性化) 独立行政法人日本芸術文化振興会

レポート

【プログラム】
♪モーツァルト(高橋梓編):きらきら星行進曲
♪下総皖一:たなばたさま
♪峯陽:おばけなんてないさ*豊洲保育園
♪フレッド・クーツ:サンタが街にやってくる*晴海こども園
♪ジミー・ドッド:ミッキーマウス・マーチ*晴海保育園
♪アンダーソン:プリンク・プランク・プルンク
♪アンダーソン:ワルツィング・キャット
♪シュトラウスⅡ:ポルカ「雷鳴と稲妻」
♪弦楽四重奏曲 第2番 第1楽章(プロコフィエフ)抜粋の演奏
 日本橋幼稚園・晴海幼稚園は、絵本「ひまわり」(和歌山静子 作)をホワイトボードに投影しながら演奏
♪各園、各クラスのリクエスト曲演奏
※各園、各公演時間によって上記プログラムの中から演奏


【レポート】

 近隣の保育園・幼稚園へは、毎年、「アウトリーチセミナー」修了生による弦楽四重奏で伺っています。日本橋幼稚園と晴海幼稚園でのコンサートは6月ということで、音楽で季節を感じてもらおうと「星」や「雨・雷」などを想像する曲を選びました。
 きらきら星を演奏しながら演奏者が登場すると、園児たちはみな、これから何が始まるのだろう?とワクワクした目で見ていました。
 一人ずつの自己紹介と楽器紹介のあとは、「たなばたさま」で4人で演奏するとどんな音がするかな?と弦楽四重奏の響きを聴いてもらいました。
 「プリンク・プランク・プルンク」は弦を指ではじいて演奏するので、面白そうに聴いていました。先生方からも「指で演奏する曲ははじめて聴きました!面白かったです。」という感想をたくさんいただきました。
 「ワルツィング・キャット」では、ヴァイオリンがねこの鳴き声を真似しているよ、とお話してから演奏することによって集中して聴いてくれました。
 「雷鳴と稲妻」は、チェロが雷の音を、ヴァイオリンが稲妻の音を表現していることをお話してから演奏しました。テンポのよいポルカなので、みんな身体を揺らしながら楽しく聴いている様子でした。★IMG_3823.jpg 本格的な弦楽四重奏曲も聴いてもらいたいと、プロコフィエフの弦楽四重奏曲第2番より第1楽章を選びました。そして、この曲のイメージに合うのではないかと、演奏者が絵本「ひまわり」(和歌山静子 作)を選び、演奏に合わせて絵本の投影も行いました。力強い音楽とぐんぐん成長していく「ひまわり」に、子どもたちの成長が重ね合って、ホロっと涙したスタッフでした。
 最後は、リクエストの歌を元気よくみんなで歌ってくれました!(歌えるようになってここでもまた涙…)

トリトンアーツ スタッフ


★IMG_5880.JPG

 豊洲保育園と晴海こども園では、0歳児クラスさんから興味津々に聴いてくれました。最後の曲、弦楽四重奏曲 第2番 第1楽章(プロコフィエフ)では、今回は絵本は用いず、音楽のみからどんなことを感じたり想像したりしたか子どもたちに聞いてみました。導入として、ねこの鳴き声や雷鳴、稲妻が音楽になると…と話をしていたので、とても集中して聴いてくれました。
  また、晴海こども園では、「ワルツィング・キャット」の演奏が始まると、「あれ?この曲聴いたことがある!」とざわざわし始めました。アウトリーチの前の週に第一生命ホールの『クリスマス・オーケストラ・コンサート』でも演奏した曲だったので、コンサートに来てくれた子がたくさんいて、曲を憶えていてくれたのだなぁと感激しました。

トリトンアーツ スタッフ


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豊洲保育園アウトリーチを見学して
●「弦楽四重奏曲 第2番 第1楽章(プロコフィエフ)」は、「ワルツィング・キャット」やポルカ「雷鳴と稲妻」と異なり、特定の主題をあえて提示せずに演奏された曲でした。子どもたちが演奏に対してどのように考えたか、演奏をどのように聴いたかという、演奏家の方々から投げかけられた質問をめぐって、子どもたちは自らの考えを積極的に発言していました。子どもたちが、各自の感性に従い、奏でられる音に対して自由に精神を働かせるときに心で感じたなにかをめぐって、言葉でどのように表現するか、手持ちの言葉で表現することはどこまで可能なのか、意見をどのように集団のなかで表明するかなどを思索することを促す、そうした発言の機会は、彼らが今後「大人」と暫定的に名付けられた社会的な立場になるにつれて必ず直面する場面のいわば予行演習としての意味があるように感じました。

山田栄官(一橋大学大学院生)


★IMG_8262.JPG

晴海保育園アウトリーチ観察レポート
 始まる前に何人かの子どもたちが「おねえさんたち見えたよ!」と興奮気味に部屋に入ってきて、一気にコンサートへの期待が高まりました。
  最初にチェロ奏者だけ入場し演奏をはじめると、あとから3人が『きらきら星行進曲』を演奏しながら順番に入場。自分の近くまできて目の前で演奏してくれる奏者にみんな目が釘付けでした。
  『ミッキーマウス・マーチ』はよく知っている曲だからかノリノリで体を動かしていました。
  楽器紹介では多くの子どもが楽器の名前や弓の毛のことを良く知っていました。
  『プリンク・プランク・プルンク』は、「弓で弾くだけじゃなくていろいろな演奏のしかたをします」とお話してから演奏すると、聴いたあとに弦を指ではじくピチカートだけでなく、楽器をこすったり叩いたりして音を出していたのもちゃんと見ていて答えてくれました。
  『ワルツィング・キャット』と『雷鳴と稲妻』は、「音楽でネコの鳴き声や雷の音と光をあらわしているよ」と実演しながら説明しその後に演奏をすると、子どもたちは集中して「どこででてくるのだろう?」と真剣に聴き入っていました。
  プロコフィエフの弦楽四重奏曲は「次の曲は曲名で何をあらわしているか分からないけれど、みんな音楽を聴きながら自由に想像してみてね」とお話してから演奏しました。子どもたちは何を想像してくれたでしょうか。
  最後は全員立って、弦楽四重奏の伴奏で園歌を元気に歌ってくれました。良く晴れた日でしたが陽の光以上にみんなの目がキラキラしていました。

トリトンアーツサポーター 星直樹の観察レポートより


セミナー修了生の声(第一生命ホールロビーコンサートプログラムより)

安田沙織(ヴァイオリン)
 子どもたちの気持ちが毎回返ってきて、それによって私たちの演奏が変わるのを実感しました。話す内容や話し方も、伝えようと思うと変化するし伝わるなと思いました。

岩澤なぎさ(ヴィオラ)
 同じ曲を弾いても毎回子どもたちの反応が全く違うので楽しいです。弾きながら子どもたちの姿を見ると、まじまじと見入って真剣に聴いてくれていて、嬉しかったです。

プロフィール

大庭絃子(ヴァイオリン)  
 4歳のころ、お友達がヴァイオリンを習っていたのをきっかけに始めました。小さい頃から人前で演奏することが好きで桐朋の音楽高校、桐朋学園大学へと進みました。その後クラシック音楽が身近に感じられる"12人のヴァイオリニスト"というユニットを卒業して、今は全国でコンサートをしたり、公演の企画制作をして、音楽の楽しさを日々伝えています。
HP公式ページ https://itokooba.com/
安田沙織(ヴァイオリン )  
 3歳のときにヴァイオリンをはじめました。音楽を通じてたくさんの人と出会って、一緒に演奏できることが嬉しくて楽しくて、ずっとヴァイオリンを続けてきました。今はその気持ちがもっと強くなって、附属の音楽高校と大学を卒業した、東京藝術大学の大学院でさらに勉強をしながら、仲間と演奏会をひらいたり、幼稚園や学校のみんなに演奏を聴いてもらう活動をしたりしています。また、幼稚園や小学校のお友達にヴァイオリンを教える先生もしています。
岩澤なぎさ(ヴィオラ)  
 ヴィオラをはじめて弾いたのは19歳のときです。ヴァイオリンは5歳から、12歳でオーケストラを初めて経験しました。仲間と一緒に演奏する楽しさを知り、より一層音楽が好きになりました。その頃からオーケストラや室内楽で活躍するヴィオラに憧れがあったので、大学に入ってから積極的にヴィオラを演奏するようになりました。ヴィオラは目立つ楽器ではありませんが、弦楽四重奏ではヴァイオリンとチェロの間でハーモニーをつくったりリズムを刻んだりする重要なパートです。
松本亜優(チェロ)  
 母がヴァイオリンをやっている事もあり、3歳からヴァイオリンとピアノ、9歳からチェロを始めました。音楽だけでなく新体操、サッカー、水泳もやっていました。色々な習い事の中でチェロが一番大好きだったので、音楽高校・大学に進み今も続けています。コンサートでお客様と一緒に音楽を楽しめたとき、日常生活では味わえない特別な幸せを感じる事があります。そんな時、音楽を続けていて良かったと強く思います。
©池上直哉