日時 | 2013年12月19日(木)10:45~11:30 |
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出演 | 鈴木理恵子(ヴァイオリン) 若林顕(ピアノ) |
概要 |
実施先:中央区立阪本小学校 対象者:4,5年生 人数:4年22名 5年19名 助成/後援:中央区文化・国際交流振興協会 平成25年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業 |
今回のアウトリーチは中央区立阪本小学校でした。4年生と5年生の児童合計約40名がヴァイオリンの鈴木理恵子氏とピアノの若林顕氏の演奏を聴く,という企画でした。
ピアノの若林氏は「エリーゼのために」のソロを除いて伴奏に徹していらっしゃいました。ヴァイオリンの鈴木氏は,ベートーヴェンからガーシュインまで,ヨーロッパから新大陸まで,年代的にジャンル的に巾広くいろんな曲*の演奏でした。
阪本小学校は日本橋兜町にあります。まさに東京のど真ん中!,にある小学校です。今日の小学生の理解・理解につながるかどうかの議論の余地はありますが,1時間足らずのあいだ彼らを観察した結果をレポートしてみます。この経験をもとに日本の子どもとか日本の音楽の将来を考察してみようと思いました。
「愛のあいさつ」(エルガー)からのスタートでしたが,多くの児童にとってこれは馴染みある曲目だったようです。筆者にとっては驚きでした。また,鈴木氏はベートーヴェンのヴァイオリンソナタの演奏の前に,「ジャジャジャジャーン」と弾き,作曲家を紹介されました。さすがベートーヴェンです。ほとんどの児童は知っていました。一方,「わが母の教えたまいし歌」の前に話題をドヴォルザークに移りましたが,「運命」とは違って「新世界」の知名度は低いようです。また,鈴木氏はヴァイオリンの作り方や音色のしくみも紹介されました。小学校の4・5年生ですから,それほど集中力は続きません。演奏が40分を過ぎたあたりからザワザワしてきましたが,「ボーギーとベス」より「そんなことはどうでもいいさ」(ガーシュイン)や「チャルダッシュ」(モンティ)の演奏では,たとえ一部の児童であっても,集中力を回復させて演奏に聞き入っていたように思われました。譜めくりのインターン学生のことばを借りれば,曲目ごとに聞き入る児童が変わる,のだそうです。譜めくりの位置からだとこんな現象にも気付くようです。
東京の子どもたちはいいなぁ、との実感をもちました。その昔に地方で育った者にはもちろんのことですが,今の時代でも,地方で育つと阪本小学校の児童のような体験は難しいでしょう。今回のこのようなクラシック音楽とのふれあいがきっかけとなって音楽好きな大人になりますように。
【TANサポーター】
桐朋学園大学を卒業後、23歳で新日本フィル副コンサートミストレスに就任。97年からはソロを中心に活動。ニュージーランド、タイ、中国、インド、インドネシアなど多くの国にも招かれており、演奏が絶賛されている。08年に横浜にて、音楽と様々なアートによる「ビヨンド・ザ・ボーダー音楽祭」を自らプロデュース。その斬新な内容が高く評価されている。著名な作曲家たちからの信頼も厚く、多くの作品の初演に指名を受けている。 篠崎功子、J.ギンゴールド他に師事。04年より現在、読売日本交響楽団の客員コンサートマスターを務めている。最新CDは2010年12月発売の「ショパン・ファンタジー」(キングインターナショナル)。 【公式ウェブサイト】 http://riekosuzuki.com |
日本を代表するヴィルトゥオーゾ・ピアニスト。17歳で日本音楽コンクール第2位。東京芸術大学で田村宏氏、ザルツブルク・モーツァルテウムとベルリン芸術大学院にてハンス・ライグラフ氏に師事。85年ブゾーニ国際ピアノコンクール第2位、87年エリザベート王妃国際コンクール第2位受賞。02年カーネギーホール/ワイル・リサイタル・ホールでのリサイタル・デビューを果たし、その後もフランスの「ラ・フォル・ジュルネ」音楽祭などで成功を収める。ベルリン響、サンクトペテルブルク響などにソリストとして招かれるほか、室内楽ではK.ライスター、ライプツィヒ弦楽四重奏団と共演するなど幅広く活躍。 92年出光音楽賞、98年モービル音楽賞奨励賞、04年ホテルオークラ音楽賞を受賞。現在、桐朋学園大学院大学教授、同大学特任教授、国立音楽大学招聘教授。 【公式ウェブサイト】 http://www.wakabayashi-akira.com/ |