活動動画 公開中!

トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
Menu

レポート

アウトリーチ

3年生、4年生はじめてのクラシック「日本の心 和の響き」
中央区立常盤小学校

基本情報

日時 2014年1月14日(火)10:40~12:10
出演 WASABI
 [吉田良一郎(津軽三味線) 元永拓(尺八) 市川慎(箏・十七絃) 美鵬直三朗(太鼓・鳴り物)]
概要 実施会場:中央区立常盤小学校 講堂
対象者:3,4年生
人数:3年生14名 4年生13名
助成/後援:中央区文化・国際交流振興協会
平成25年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業

レポート

常盤小学校は日本橋にある小規模校です。今回は3,4年生合計27名に向けて邦楽のアウトリーチを行いました。出演は津軽三味線奏者の吉田良一郎さんを中心に学校公演を目的に結成された若手邦楽グループWASABI。たくさんの太鼓が運ばれてきたので、歴史ある校舎の講堂が会場になりました。

20140114_tokiwa_top.jpg

まずはオリジナル曲の演奏からアウトリーチは始まりました。子ども達がいつも聴いているような音楽に近いメロディとリズムの曲で、イメージしていた邦楽とは違う雰囲気と迫力のある演奏に、子ども達は一瞬肩をすくませて、その後身動きひとつせず惹きこまれている様子でした。続いて一つひとつの楽器の説明とソロの曲を演奏してもらいました。お箏のコーナーではクイズがありましたが、みんな元気に手を挙げていました。

20140114_tokiwa_report1.jpg

尺八の説明の後には尺八とお箏で「春の海」。常盤小学校では、毎年3学期の始めに「席書会」があり、校長先生が和太鼓で開始の合図を出して“春の海”を聞きながら書初めをするのが伝統とのこと。当日は、ちょうど数日前に「席書会」を終えたばかりだったので、ぜひ生演奏を聴いてもらいたかったのです。尺八が吹く角度で音が変ることや箏の手の動きなど、目の前で演奏する姿を見ながら聴く「春の海」は特別だったようで、隣の子と時々目を合わせたりお箏の手元をじーっと見つめたり、特別な曲を聴いている真剣な子ども達の顔が沢山見られました。
続いて楽器体験のコーナー。4年生が事前に自分のやりたい楽器を選んで、打楽器から順番に前に出てみんなの前で体験をします。

20140114_tokiwa_report2.jpg

どの楽器も難しく、WASABIのメンバーに支えてもらいお友達の応援を受けながら、楽器をひとりずつ鳴らしてみます。体験コーナー中ずっと練習していた打楽器を選んだ子たちは、最後に「ソーラン節」でWASABIと共演しました。「一言感想を」と聞かれるとどの楽器も「難しかったけど楽しかった」と沢山の子が答えていました。皆の前での体験は緊張するけれど、楽器から音が出る喜びは一生の想い出になったのではないでしょうか。
最後はWASABI風にアレンジされた日本民謡。5,6年生が最後2曲を一緒に鑑賞していたので、さらに大きな拍手に包まれてアウトリーチは終了しました。

プロフィール

WASABI  (わさび)
吉田兄弟(兄) 吉田良一郎が「日本の心 和の響き」と題した学校公演プロジェクトとして、元永拓(尺八)、美鵬直三朗(太鼓・鳴り物)と2008年に活動を始める。10年に市川慎(筝・十七絃)が加入し、津軽三味線/尺八/箏/太鼓による代表的な和楽器が集結した新・純邦楽ユニットが誕生する。11年にユニット名を、「WA」=和、「SABI」=サビ(盛り上がり)という意味合いから命名。12年3月21日にはデビューアルバム『WASABI』が発売され、一般公演も始動。キャッチーなメロディーラインとコンパクトさを意識した構成による楽曲で、日本人に限らずステレオタイプにイメージしがちな雅で叙情的な世界観だけではない、迫力ある「和のバンド」のグルーヴを生み出している。昨年秋からは海外公演(ASEAN3ヶ国 / 台湾 / ヨーロッパ)もスタートさせ、今月には吉田兄弟・疾風との特別公演『和の祭典』、加賀美幸子氏(元NHKアナウンサー)との新たな舞台『百人一首の世界』(1月24日 メルパルクホール東京)が行われるなど、活動の幅を広げミュージックシーンから、その動向に熱い注目が集まっている。
 吉田 良一郎  (津軽三味線)
北海道出身。父の勧めにより5歳から三味線を始め、90年 津軽三味線奏者 初代佐々木孝氏に習う。津軽三味線の全国大会で頭角を現し、99年 弟の健一と「吉田兄弟」としてデビュー。現在まで12枚のアルバム他を発表し、日本全国で公演を展開している。2003年の全米デビュー以降、日本の伝統芸能の枠を超えて、世界各国での活動や、国内外問わず様々なアーティストとのコラボレーションも積極的に行なっている。またソロプロジェクトとして、より多くの人、特に次代を担う若い世代に『和』の魅力を知ってもらいたいと「WASABI」を結成。
 元永 拓  (尺八)
山口県出身。幼少の頃より台湾、シンガポールで9年間過ごす。長い海外生活の中で自然に生まれた日本文化に対する深い興味から上智大学入学と同時に尺八を始め大橋伶晴氏・菅原久仁義氏に習う。1999年より本格的に演奏家活動を開始し、和楽器・洋楽器・モダンアートとのコラボレーション、和楽器オーケストラ「むつのを」、尺八トリオ「般若帝國」などで活躍。NPO法人「日本音楽集団」では運営委員長を務める。
アジア・アメリカ・ヨーロッパ・オセアニアなど約25ヶ国で海外公演も多数行なっている。
 市川 慎  (箏・十七絃)
秋田県出身。秋田県生田流箏曲「清絃会」三代目家元 足達清賀の息子として生まれる。中学よりギターに惹かれバンド活動を始めるが、テレビで箏の現代的な演奏を観て「箏もギターも同じ弦楽器」と目覚め、修行の為上京。沢井比河流氏・沢井一恵氏に習う。その後、1年半でリサイタルの開催や数々のコンクールなどで受賞(文部科学大臣奨励賞、秋田県芸術選奨他)を重ね、若手演奏家の中で注目すべき存在となる。現在、和楽器ユニット「ZAN」他のメンバーとしても活動。「清絃会」副会長を務める。
 美鵬 直三朗  (太鼓・鳴り物)
東京出身。幼少より祖父 美鵬流囃子方家元 美鵬駒三朗に鳴り物の手ほどきを受ける。
国内の舞台以外では中国・タイ・ベトナム・モルディブ・スリランカなど海外での公演や民謡・古典現代音楽・J-POP・学校教材・TVサウンドトラック他、数々のレコーディングに参加し幅広い活動を行なっている。ただ太鼓を「叩く」というだけでなく、美鵬流独自の構えの美しさ、太鼓に向かう気持ちを大切に演奏すること、旧くから踏襲されていることを基本とし現在に活かすことを心情としている。