〈クァルテット・ウィークエンド2010-2011“Festa”〉
ミロ・クァルテット 第1日
心の中まで深く入ってくる表現
1.第一生命ホールでのクァルテット・ウイークエンド2010-2011・フェスタにおけるミロ・クァルテットの演奏会の初日でした。オール・ベートーベンの弦楽四重奏曲というプログラム。素晴らしい演奏会でした。聴衆が少なくてもったいない!もっとたくさんの人に聴いてほしい演奏でした。
(弦楽四重奏の演奏会で寝ないで済んだのは久しぶりでした。)
2.第一生命ホールは一つ一つの楽器の音が非常に明瞭に聴こえ、かつ、響きもほど良い素晴らしいホールです。録音用のマイクがやや低めにセットされていて視覚的には少し気になりましたが、きっといい音で録れているのだろうと思いました。
3.さて、ミロ・クァルテットの演奏。アンサンブルの精度がとても高く、また、息も良く合っていました。特に中央の二人は(第2バイオリンとチェロ)は良かったように感じました。アイ・コンタクトもよく取られていてまさにこれぞプロのアンサンブル!4人ともピアニッシモが本当にきれい!!音自体も落ち着いた音色でした。
4.第1曲目は、ベートーベン/弦楽四重奏曲第4番ハ短調op18-4。四人の奏者がほぼ対等にそして冷静さを保ちながら、各自の主張もしていました。音量で圧倒しようとすることはなく、音の明瞭さ、重なりを大切にし、緊張感をもって演奏されています。私は、特に第2楽章の音が積み重なって流れていくような部分が印象に残りました。
5.第2曲目の弦楽四重奏曲第16番へ長調op135は、第3楽章が白眉。静寂さの中にピント張り詰めた緊張感。悲しさ、寂しさを歌っているのでしょうか。心の中まで深く入ってくる表現に大変感動しました。
6.第3曲は、弦楽四重奏曲第8番ホ短調op59-2「ラズモフスキー第2番」。もっと激しい出だしになるのかなと思っていましたが、以外にあっさりと(平凡なという意味でなく)始まりました。第2楽章の優美さ、第3楽章の軽快さも印象に残りました。
7.大きな拍手に応えてのアンコールは、ベートーベンの弦楽四重奏曲第13番変ロ長調OP130から第5楽章「カヴァティーナ」。嘆きの歌だそうです。ベートーベンが書いた最も美しい旋律の一つとのこと。このアンコール曲、本当に聴けて良かった!!
8.素晴らしい演奏会でしたので、帰りにベートーベンの弦楽四重奏のCDを購入し、メンバー4人にサインをしてもらいました。
9.最終日はブラームス、ドボルザークのピアノ五重奏曲を演奏するとのこと。このクァルテットにピアノが加わるとどんな演奏になるのだろうか。
公演に関する情報
〈クァルテット・ウィークエンド2010-2011“Festa”〉
ミロ・クァルテット
《オール・ベートーヴェン・プログラム》
日時: 2010年5月29日(土)14:00開演
出演者:ミロ・クァルテット
〔ダニエル・チン/山本サンディー智子(ヴァイオリン) ジョン・ラジェス(ヴィオラ)
ジョシュア・ジンデル(チェロ)〕
演奏曲:
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第4番ハ短調op.18-4
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番ヘ長調op.135
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第8番ホ短調op.59-2「ラズモフスキー第2番」