育児支援コンサート
子どもを連れてクラシックコンサート
今回の絵本は、社会人の息子が今でも懐かしむモンゴル民話「スーホの白い馬」(1967年)でした。スーホは斧という意味を持つ人名で、モンゴルの伝統楽器モリンホール(馬頭琴)の由来にまつわる悲しくも美しい物語です。馬頭琴奏者である季波が作曲した作品や小学生のための音楽劇・物語集(2008年NHK東京児童合唱団)もあります。
子どものための音楽スタジオでは、開演を待つ子どもたちが臨機応変に対応するサポーターを中心とするスタッフとあやとり・折り紙・お絵描き・絵本でくつろぐ様子が印象的でした。いよいよスタジオが始まると空気は一転、活発な活動が伺えます。クラリネットのクラスのご挨拶は、ドビュッシーからジャズのガーシュイン等の演奏でした。クラリネット奏者の西尾さんの笑顔で軽快なクイズに嬉々と答え、黒く硬い材質が「グラナディラ」と知りました。動から静へと導く楽しい内容でした。
休憩を挟み、待ちに待ったみんな一緒のコンサートは、子どもたちを虜にする田村さんの問いかけとヴァイオリンより深い音色のヴィオラ、チェロ、クラリネット、澄んだフルート、豊かなホルン、軽快なマリンバ、ピアノとバトンの無い音のリレーで始まりです。「音楽と絵本」では、グリーグ「ピアノ協奏曲」にスクリーンいっぱいの赤羽末吉の絵と大塚勇三再話の朗読が、スーホの愛馬である白い馬が夢枕に現れ、横暴な領主に殺された自分の亡骸で楽器を作るようにスーホに伝える場面を、より一層深みの有る美しい物語として響かせます。何より演奏者の名司会が心地よく流れたプログラム構成でした。
公演に関する情報
〈ライフサイクルコンサート#49〉
育児支援コンサート
子どもを連れてクラシックコンサート
日時: 2010年3月28日(日)14:00開演
出演者:田村 緑(ピアノ)、永井由比(フルート)、西尾郁子(クラリネット)、
小川正毅(ホルン)、松尾 桜(打楽器)、
弦楽四重奏[野口千代光(第1ヴァイオリン)、千葉純子(第2ヴァイオリン)、
青木史子(ヴィオラ)、羽川真介(チェロ)]、
市橋邦彦(朗読)
演奏曲:
第1部(約30分)
◆大人のためのコンサート(小学生からホールで聴いて頂きます)
~田村緑ピアノリサイタル~
メンデルスゾーン:無言歌集よりイ長調「春の歌」op.62-6
シューマン(リスト編曲):献呈
プロコフィエフ:ロメオとジュリエット
ショパン:エチュード第3番 ホ長調「別れの曲」op.10-3
ショパン:「華麗なる円舞曲」第2番 変イ長調op.34-1、他
◆子どものための音楽スタジオ(2003年4月2日~2006年4月1日生まれの幼児対象)
年齢順に4部屋に分かれて管楽器と打楽器による楽しい音楽体験をします。
第2部(約40分)
◆みんな一緒のコンサート
★アンサンブルを聴いてみよう!
ビゼー(長生淳編曲):カルメン組曲より「前奏曲」(奏者全員)
メンバー紹介&楽器紹介
プーランク:「3つのノヴェレッテ」より、第1番(フルート、クラリネット、ホルン、ピアノ)
リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行 (マリンバ、ピアノ)
★音楽と絵本「スーホの白い馬」(奏者全員+市橋邦彦朗読)
(モンゴル民話、大塚勇三再話、赤羽末吉画、福音館書店出版)