第8回ビバホールチェロコンクール第1位受賞記念
加藤文枝 チェロリサイタル
このコンサートは、昨年行われたビバホールチェロコンクール第1位受賞記念コンサートである。
このコンサート当日、朝から雨が降り、大都市東京を多くのマラソンランナーが走っていた。そればかりか、前日、チリで大地震があり津波がくるとかで「川や海の近くに行かないで」という広報車までホールの周りを走っているという周りが慌ただしい日であった。
このコンサートは過去何回か聞いているが、個人的に楽しみにしているコンサートである。前回と今回は女流チェリストが優勝した。毎回違ったタイプのチェリストが出てきてとても面白い。
このコンサートは、普段のコンサートとはちょっと雰囲気が違う。開場する前も後もロビーのところどころに人盛りがある。何だか、同窓会や成人式場みたいだ。
開演の頃には、太陽が顔を出し始めた。
曲目は、ドビュッシーの「チェロソナタ」、デュティユー:ザッハーの名による3つのストローフェ」(無伴奏)、今年生誕200年のシューマン「幻想小曲集」、休憩を挟み養父市長の挨拶、そしてラフマニノフ「チェロソナタ」聞いてみて、加藤さんにぴったりのプログラムであると思った。加藤さんのチェロは、とてもよく歌い、あまり技術を感じさせない。
ドビュッシーは、明るい音色でとてもすがすがしい感じを受けました。
デュティユーは、チェロの音がすーっと客席に聞こえてくる感じでとても美しかった。
シューマンの幻想小曲集とアンコールで弾かれた「詩人の恋」から「あかりさす夏の前に」は、ピアノとチェロの対話が美しい。特にピアノの音色が少し輝いて聞こえた(ちょっと「のだめカンタービレ」ののだめが宮廷でコンサートをしたときみたいに)。
ラフマニノフは、ピアノが張り切り、チェロがとても美しく歌いとても楽しめた。
アンコールは、最初チェロの名曲サンサーンスの「白鳥」ピアノは少しクールに聞こえたがそれがかえってチェロのたっぷりとした歌心を引き立てた。
「白鳥」を聞くと、なぜか私は、山本直純さんのなぞかけを思い出す。白鳥とかけて禁煙ととく。そのこころは?というものだ。
とても楽しめた演奏会であったし、もし、機会があったらコンクールにも足を運んで見たくなった。
加藤文枝さんのチェロで今度は、バッハやベートーヴェンの作品を聞いてみたいと思った。
最後に、コンサート終了後の客席からの退席について、日頃何気なくやっていることであるが、そのタイミングは、なかなか難しいなぁと感じた。完全に終わりまでいられるなら問題はないけれど、予定が詰まっていたりするとどうしても早く出なければならない。たまたま演奏者の出るタイミングと自分が立つタイミングが合ってしまうと何となくばつがが悪い。コンサート終了後、余裕を持って帰れるようにしようと思った。
公演に関する情報
〈TAN's Amici Concert〉
第8回ビバホールチェロコンクール第1位受賞記念
加藤文枝 チェロリサイタル
日時: 2010年2月28日(日)14:00開演
出演者:加藤文枝(チェロ)、入川舜(ピアノ)
演奏曲:
ドビュッシー:チェロ・ソナタ
デュティユー:ザッハーの名による3つのストローフェ
シューマン:幻想小曲集op.73
ラフマニノフ:チェロ・ソナタト短調op.19