グスタフ・レオンハルト チェンバロ・リサイタル
第1夜
報告:Y.H /会社員/1階15列30番
投稿日:2009.05.20
始まる数分前、会場全体が静かになり、緊張感が漂い始めました。レオンハルト氏登場後、緊張感はより一層高まり、息をするのにも気を使うような静寂がありました。皆が真剣に演奏を聴きたいという気持ちの表れだと感じました。演奏は静かなメロディで始まり、振り返ってみると少し緊張した演奏だったように思います。初めて拍手をするタイミングでレオンハルト氏が座ったまま軽くお辞儀をし、その姿がとてもチャーミングだったので、ほっと一息。観客にも少しリラックスムードが漂い始め、肩の力を抜いて演奏が再開されました。
前半が終了し休憩時間に入ると、レオンハルト氏による調律のため、前寄りの座席の人はほぼホール外やドア付近に移り、その姿を見守ります。レオンハルト氏が静かに調律を始めました...真ん中と低音、そして高音へと次々に合わせていきます。チェンバロはやはり音程がずれるのが早く、まんべんなく調節する必要があります。しかしレオンハルト氏の手にかかれば、すっと整えられていき、それがとても心地よく感じられました。貴重な場面を見せていただきました。
調律後比較的すぐに後半の演奏が再開されました。レオンハルト氏は調律のために休む時間がほとんどないはずだけれど、短期間でリフレッシュしたように前半とはまったく違った雰囲気で演奏を始めたのにとても驚きました。偉大な演出家だと思いました。会場の雰囲気もほぐれ、より流れに乗った演奏でレオンハルト氏も熱くなってきた!と感じたのは私だけではなかったのか、2階席に目を移すと前半に比べて観客が前のめりになっていて、惹きつけられていると感じました。
ラストまで情緒溢れる演奏と表情ある曲目ですっかり堪能させていただきました。弾き終わった後しばらく拍手はなりやまず、再び登場したレオンハルト氏が選んだアンコール曲はクープランのロンドーでした。
会場は終始穏やかな雰囲気でしたが、観客は満足に満ちた表情で熱い気持ちを胸に会場を後にしたことと思います。もちろん私もその一人です。レオンハルト氏がこれからも穏やかで熱い演奏を続けてくださることを願っています。
公演に関する情報
〈TAN's Amici Concert〉
グスタフ・レオンハルト チェンバロ・リサイタル
第1夜
日時: 2009年5月7日(木)19:15開演
出演者:グスタフ・レオンハルト(チェンバロ)
演奏曲:
ルイ・クープラン:パヴァーヌ/組曲ニ短調
パッヘルベル:ファンタジアト短調/3つのフーガ
J.S.バッハ:組曲ヘ短調BWV823/
コラール・パルティータ「おお神よ、汝まことなる神よ」BWV767
アルマン=ルイ・クープラン:ラントレピッド
デュフリ:アルマンドとクーラントニ短調