日本音楽集団第193回定期演奏会
“和・声”邦楽器と合唱の交響
報告:井出春夫 1階17列32番 会社員
投稿日:2008.12.11
今回のコンサートのテーマは、「和と声-邦楽器と合唱の交響」である。演奏される3作品に混声合唱または独唱が含まれている。私は、2曲目からこのコンサートを聴くことになった。久しぶりの1階席で少々とまどいを感じながら...。
2曲目は、三木稔作曲「古代舞曲によるパラフレーズ」第1印象として、「和楽器の音ってとてもいいな」と感じた。尺八と三味線の二重奏。ソプラノ独唱と和楽器の対決。和楽器独特の響きが聞こえてきたり、とても新鮮で素敵な曲だと思った
5曲目の途中で、体調を崩されたのか、静かに退席をされたご夫婦がいらした。曲を聴きながら「どうしたのだろう?」と心配になった。
休憩をはさんで、「呑気布袋コンサート組曲」が初演される。この曲は2年前、第一生命ホール5周年記念で初演されたとても楽しい和楽劇で、帰りにDVDが発売されることを知り予約をして帰った。今回は、コンサート組曲で、前回は狂言版で、かなり大がかりのものであったが、今回は、ソリストも芝居もなく、合唱団がメインで、芝居の部分は落語家の柳家三之助さんが語るといういわば落語版である。
出囃子にのって指揮者と案内役が登場。この楽劇の登場人物を三之助さんがとてもコミカルに紹介し、時に動きも交えて案内してくださり、前回同様とても面白いものであった。
コンサート組曲は、初演のものよりも、時間が短く、楽器編成も一回り小さい編成のように思えた。前回、合唱はステージと2階正面に分散し、場面によっては動きながら歌っていたが、今回はステージ後方にまとまっていた。合唱団としては、周りの音が聞き易く歌いやすかったのではないだろうか。合唱は、言葉もはっきりしていて、声量もあり、ハーモニーもきれいで素晴らしかった。音楽集団も合唱の音量に負けじと頑張っておられ、熱い火花が飛び交っていたが、このホールであれば合唱団の実力から考えて、少し押さえ気味に歌っても充分にホールがハーモニーで満たすことができるように思えた。
邦楽器と歌の楽しさが満喫できたホールの誕生日「の」コンサートだった。
公演に関する情報
〈TAN's Amici Concert〉
日本音楽集団第193回定期演奏会
“和・声”邦楽器と合唱の交響
日時: 2008年11月15日(土)14:00開演
出演者:日本音楽集団、河地良智(客演指揮)、羽山弘子(ソプラノ)、
柳家三之助(語り)、東芝フィルハーモニー合唱団
演奏曲:
三木稔:くるだんど~奄美の旋律による日本楽器と混声合唱のためのカンタータ~
三木稔:古代舞曲によるパラフレーズ
秋岸寛久・川崎絵都夫・福嶋頼秀共作:「呑気布袋」コンサート組曲(初演)