ベートーヴェンのアンサンブル~A.ヴァルターのフォルテピアノとともに
黎明橋の動く歩道に乗りポーと川岸の木々を眺めていると、つい最近までイルミネーションが飾られていた木々が自ら赤い花をつけていた。それまでは、そんなことかんがえてもみなかったけど、「春の気配は結構近くまできてるかも」と思いながら橋を渡った。
今日は、ベートーヴェンの交響曲第2番(ピアノ3重奏版)、ピアノソナタ17番「テンペスト」最後にピアノ協奏曲第4番である。これをベートーヴェンが生きていた頃のピアノで聞くというのがとても興味深い。
第1曲目の交響曲第2番が始まった。正直なところ、現在使われているヴァイオリンとチェロではピアノがかなり健闘をみせてもやや押されているように感じられた。
2曲目の「テンペスト」はとても素晴らしいということに尽きるのではないだろうか。
この楽器ならではの実に繊細な音楽の表現が聞いていて感じられる。そして音があたたかい。
休憩をはさんで、ピアノ協奏曲第4番。実は、1曲目でピアノがやや押されていたので心配していたのであるが、こちらはとりこし苦労であった。ピアノと弦楽器が見事な調和を示していた。私事を書かせていただくと、この曲の2楽章を聞くときいつも自分が思い出すことがある。「この楽章は、オーケストラがとても威張っている男の人でピアノは何もいうことができない女の人みたいな感じの楽章なのだと。」テレビかなんかで聞いたように思う。少なからず、今まではそんな風に思っていた。しかし、室内楽で聞いてみると、弦楽器が必ずしも威張っているわけでなく、ピアノは必要な事はしっかり言えてしかも甘え上手なのではないかと感じた。3楽章は、掛け合いがとても素晴らしくさらに、同じフレーズが繰り返されるときの曲想の変化がとても楽しかった。
アンコールは、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」の2楽章。この曲の演奏も素晴らしかった。
来年は、シューマンだそうである。どんなピアノが登場し、どんな演奏を聞くことが出来るのだろう。今からとても楽しみです。
公演に関する情報
第一生命ホール5周年記念コンサート
〈TAN's Amici Concert〉
ベートーヴェンのアンサンブル~A.ヴァルターのフォルテピアノとともに
日時: 2007年3月3日(土)18:00開演
出演者:小倉貴久子(フォルテピアノ)、桐山建志(Vn)、花崎薫(Vc)、
高木聡(Vn)、藤村政芳(Va)、長岡聡季(Va)
演奏曲:
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番 H.W.キューテン編「原典資料に基づく室内楽稿」、
交響曲第2番「ピアノ三重奏版」、ピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」