第22回ロビーコンサート
報告:小林美恵子/サポーター
投稿日:2005.11.11
ロビーコンサート3回目の川本さんですが、今回は体調が良くない中、無理を押しての出演でした。バッハを弾くには体力が充分ではないから・・と、オールバッハのプログラムから、バッハは1曲だけに、あとは他の作品へと曲目を変更して臨まれました。
変更後のプログラムがロビーアプローチに掲示され、間もなく開演です。川本さんは、前身頃に人物がプリントされた朱色のドレスで登場、会場がパッと華やぎました。
1曲目はバッハのシャコンヌ、ヴァイオリン音楽の中でも頂点に位置するこの曲をヴィオラで聴くのは初めてでしたが、これまでに聴いたヴァイオリンでの演奏とはずいぶんと違う印象を受けました。ヴィオラは体力が要ると言われますが、やはり非常に力強く、艶やかな音で迫力があります。演奏家にとって技術的にも精神的にも高度なものを要求されるバッハの音楽、その緊張感に息をするのも忘れるほど惹き込まれ、一曲だけでも充分にバッハの世界を堪能させていただきました。
2曲目はパラディース作曲のシチリア−ノ、パラダイス?の名前のとおり、この世のものと思えない美しさです。脹よかな音色に身を包まれ、ロビーの窓ガラス越しの青い空を眺めていると、えも言われぬ幸福感が湧いてくるのを感じました。続いてヴォカリーズ、トロイメライなど、馴染みのメロディをしっとりと歌い、ヴィオラの独奏楽器としての魅力を楽しませていただきました。曲目変更のため急遽出演いただいた坂野伊都子さんのピアノも、とても美しい音色で共演、最後は『精進して、一月にはバッハを演奏します』との川本さんのお言葉で締められました。
ビジネスマンの方からベビーバギーを押すお母さんまで、いろいろな方がいらしていましたが、皆さん良いお顔で、ビルの中のオフィスに、午後の光の中にと帰っていかれました。良い音楽を共有したせいでしょうか、終演後は知らない方とも、にっこりと顔を見合わせたいような気持になるのが不思議です。
今回初めて参加した新米サポーターですが、楽しくお手伝いをさせていただきました。
公演に関する情報
第22回ロビーコンサート
日時: 2005年11月7日(月)
出演者:川本嘉子(ヴィオラ) 坂野伊都子(ピアノ)
演奏曲:
バッハ:無伴奏パルティータ第2番ニ短調BWV1004よりシャコンヌ
パラディース:シチリアーノ
クライスラー:クープランの様式によるルイ13世の歌とパヴァーヌ
ラフマニノフ:ヴォカリーズ
クライスラー:美しきロスマリン
シューマン:トロメライ