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トリトン・アーツ・ネットワーク

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アーティスト・インタビュー

村治佳織&ほのカルテット

ごほうびクラシック 第9回

 〈ごほうびクラシック〉は、「音楽の豊かさに包まれて、身も心もリフレッシュを・・・」という思いをこめたコンサート・シリーズ。演奏家が選りすぐった名品から隠れた傑作まで、ぜひ聴いていただきたい!という心づくしが溢れる時間――昼の部・夜の部ともに1時間、気軽に聴けるサイズ感で、好評のうちに9回目を迎えます。
 今回は昼の部が、世界的人気ギタリスト・村治佳織のソロ・リサイタル。そして夜の部は、優れた若手の弦楽四重奏団・ほのカルテットを迎えてのジョイント。あわせて聴きたくなる組み合わせです。
[聞き手・文:山野雄大(音楽ライター)]

まず昼の部〈村治佳織 ギター・リサイタル〉は、美しいイングランド民謡《グリーンスリーブス》やルネサンス時代のダウランド《涙のパヴァーヌ》など心ふるわせる古典から、《イエスタデイ》《ミッシェル》などビートルズをギター独奏のデリケートな歌心で...と英国名曲選をお届けします。

20240505_MurajiKaori_profile_(C)KazumiKiuchi.png村治佳織:2024年は、イギリスのデッカ・レーベルに移籍して『トランスフォーメーション』というアルバムを出してから20周年にあたります。その感謝の意味も込めて、今回はイギリスの作品を集めてみました。

ギター愛好家には、20世紀イギリスの巨匠ブリテンが書いた《ノクターナル》が聴けるのも絶好のチャンスです。これは、ダウランドの瞑想的な歌曲から繰り広げられてゆく変奏、その起伏豊かな情感と幻想美に、深く吸い込まれてしまう傑作。

村治:この曲をリサイタルで演るときは、ちょっと聴きやすい曲を前にいくつか弾いてから味わっていただくようにしています。15分ほどかかるので、途中をちょっと間引いて弾いたことがあるんですが、お客様から「これはぜひ全曲を!」とお願いされました。素晴らしい曲なんです。今回は全曲を弾きますので、ぜひ。

そして夜の部〈村治佳織&ほのカルテット ギター×弦楽四重奏〉は、中南米をはじめスペイン語圏の傑作たちを、2018年結成の俊英・ほのカルテットと共演します。
 昼の部の核となる作品がブリテンなら、夜の部の核は、キューバの巨匠ブローウェルのギター五重奏曲です。
 「リズムも格好いいんですよね!」と村治さんもおっしゃるように、切れ味も見事な冒頭からぐっと心を掴まれること必定の名作です。

林 周雅(ヴァイオリン):そもそも、弦楽器でキューバの作曲家を演奏することがなかったので...この曲も初めて知ったのですが、とても愉しそうで早く弾いてみたくなりました。

村治:この曲の共演には楽器の音量バランスの問題があって、ギタリストはいつもより音量を大きめに、弦楽の皆さんはさらに弱音の表現を磨いていただいたり、と歩み寄るあたりも演奏していて愉しいところですね。

五重奏に先立っては、カルテットの4人がそれぞれひとりずつ、村治さんのギターと二重奏を共演するというのも、それぞれの個性が際だつ素敵なチャレンジです。

:村治さんから今回のプログラムをお伺いしたときに「凄く素敵な演奏会になるなぁ!」と思いました。今までカルテットの演奏会で、一人一人がソロを弾くことはなかったので...

20240505_HonoQuartet_profile_(C)IkegamiNaoya_SuntoryHall.jpeg岸本萌乃加(ヴァイオリン):所属している読売日本交響楽団で、村治さんが協奏曲のソロでいらして下さったときも後ろで弾いていて、本当に素敵だったので、一方的にファンでした(笑)。ギターは弓を使わず、指先のコントロールで繊細な音色を出すのが凄く好きです。愉しさはもちろん、哀愁など喜怒哀楽の感情を表現できるのが凄いですよね。

今回は、ブラジルの作曲家ニャタリが書いた〈チェロとギターのためのソナタ〉という愛すべき名作からの抜粋を、ヴィオラとギターで演奏するという挑戦も聴きもの!

村治:この曲は以前にもヴィオラのかたと共演したことがあって、原曲よりも華やかさや軽やかさが出て良かったので、今回も意外性を愉しんでいただこうと。

長田健志(ヴィオラ):原曲はチェロの良いところを存分に出している曲なので、ヴィオラらしい表現がどのように出来るか、新しい挑戦ですね。ヴィオラの音色は、いちばん人間の声に近いとも言われます。それは〈何を伝えたいのか〉がいちばん届きやすい、ということでもあるかな、と思います。

いっぽうチェロは今回、ヴィラ=ロボス《ブラジル風バッハ》第5番をギターと共演します。

蟹江慶行(チェロ):周りでは、ギターとチェロの二重奏など弾く人もいて、ふたつの楽器の調和性がとても高くていいなぁ、と思っていました。ギターは和音ひとつ聴いた瞬間、そこに日差しを感じたり、ゆっくりと風を感じることもある楽器。今回の共演で、皆が幸せになれる演奏会がつくれれば...

二重奏から五重奏へ...村治さんも「デビュー以来、いろいろな弦楽四重奏と共演させていただいたなか、カルテットの皆さんそれぞれと二重奏を共演して、お一人お一人の音色を愉しんでいただいてから、最後にギター五重奏曲を演ったらいいだろうな...と思ったんです。それが今回初めて叶うんです」と期待を語るコンサート。幸福な余韻が長く残る機会となるでしょう!

《ごほうびクラシック》というシリーズ名にちなんで、皆さんにとってのリラックス方法や、自分へのごほうびを教えていただきました。

岸本:私は家が大好きなので、家に帰ったらYouTubeを見ながらゴロゴロします。

:ドライブです。行き先を決めずに高速に乗るのがごほうびです。

蟹江:大きい本番が終わった時に、家でウィスキーをロックで飲むことがごほうびです。

長田:睡眠をとることと、焼き肉を食べることです。

岸本:大阪国際室内楽コンクールへの出場期間中(2023年5月開催。ほのカルテットは第2位とアンバサダー賞を受賞)、4人で焼き肉屋に6回通いました。

:いつも蟹江君の名前で予約していて、名前が珍しくて覚えやすかったのか、最終日には店長さんが出てこられてご挨拶いただきました(笑)

村治:私は朝カフェに行くことと、マッサージをたくさん受けることです。マッサージは、たまに2軒はしごしたり、鍼の施術を受けることもあります。コンサートの翌日は行くようにしていますね。