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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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アーティスト・インタビュー

クァルテット・エクセルシオ×カルテット・プリマヴェーラ

〈クァルテット・ウィークエンド〉

 近年、3月に開催されている「クァルテット・エクセルシオ×次世代クァルテット」のシリーズ。2024年は、桐朋学園大学と、同大学院の在校生によって構成されているカルテット・プリマヴェーラが登場する。日本を代表するクァルテットと新進気鋭のアンサンブルとの共演を前に、クァルテット・エクセルシオ(西野ゆか、北見春菜、吉田有紀子、大友肇)のメンバー全員とカルテット・プリマヴェーラ(石川未央、岡祐佳里、多湖桃子、大江慧)から二人にインタビューした。
[聞き手/山田治生(音楽評論家)]

まずは、カルテット・プリマヴェーラの結成のきっかけを教えていただけますか?
石川:大学内での室内楽の授業で、4人で組んで、そのあと、本格的に学びたいと思って始めました。2021年11月、大学2年生のときです。
:石川さんから誘ってもらって、ちょうど弦楽四重奏をやってなかったので、参加してみようと思いました。
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お二人は同じ学年なのですね。
:私は東京出身ですが、3歳から大阪にいて、中学1年生で東京に戻ってきました。石川さんとは小学校4年生のときのコンクールで初めて会いました。大阪の相愛の音楽教室で一緒に学んでいました。そして(桐朋学園の)高校で奇跡の再会をしました(笑)。
石川:私は姫路市出身で、高校から東京に出てきました。高校では岡さんも多湖さんもいっしょのクラスでした。大江さんは2年上で、同じ兵庫県出身で音楽教室も一緒で、中学2年生で相愛の弦楽合奏団でイタリア演奏旅行に行ったときには、2週間、ホテルの同じ二人部屋で過ごしました。
:大江さんは頼りになるお姉ちゃんという感じです。多湖さんは高校から同じクラスで、一番元気ですね。
石川:多湖さんがいると明るくなります。

クァルテット・エクセルシオとカルテット・プリマヴェーラの出会いとその第一印象を教えていただけますか?
石川:クァルテット・エクセルシオのみなさんとは、ミュージック・マスターズ・コース・ジャパン(注:夏に横浜で開催される音楽セミナー)で初めて会いました。
:私たちとって初めての短期間のセミナーで、一週間があっという間に過ぎました。優しく細かく教えてくださり、いろいろヒントをいただきました。
吉田:カルテット・プリマヴェーラは、セミナーに参加しているクァルテットのなかで一番元気でした。
西野:毎日レッスンもあり、たいへんですが、プリマヴェーラは疲れていても元気(笑)。
北見:明るく元気で笑顔が素敵な印象があります。
 
今回、共演する作品は、メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲ですね。
大友:間違いなく、絶対に、聴く人にも、弾く人にも楽しい曲。そんな曲なかなかないと思います。
西野:(8人が集まってくるより)2つのクァルテットでやると会話が増える気がします。いつも4人で会話しているもの同士なので。
吉田:これまでで最高の年の差(笑)ですね。私たちのエネルギーが吸い取られる感じで、楽しく演奏したいです。
北見:メンデルスゾーンの八重奏曲は共演する団体によって同じ作品でも全然違ったアプローチになるので、プリマヴェーラのみなさんと演奏できるのが今からとても楽しみです。この2団体でしか味わえないアンサンブルをお客さまにもぜひ楽しんでいただけたら嬉しいなと思います。
石川:ずっとやりたかった曲ですが、8人集まるのは学校では難しい。やっと念願がかないます。
:初めてのメンデルスゾーンの八重奏曲です。不安もありますが、エクセルシオのみなさんと弾けるのが楽しみです。
 
20240316QuartetExcelsior_interview.jpg演奏会前半には、それぞれの団体が自分たちのレパートリーを演奏するのですね。クァルテット・エクセルシオはハイドンの弦楽四重奏曲第79番を演奏しますね。
大友:最近、モーツァルトをやっていたので、ハイドンにしようと思いました。ハイドンの弦楽四重奏曲作品76(弦楽四重奏曲第79番は作品76-5)は最初はどれも素晴らしいと思いますが、やって作るなかで難しさが際立ってきて、溢れ出してきます。ハイドンも作品76くらいになるとやればやるほど、意味が深く、複雑になります。
西野:作品にこめられたアイデアをどう見つけて、活かすか。シンプルだけど、それを見逃さないで、一つ一つ楽しんで演奏したいです。作り込み過ぎると自然でなくなるので、自然にするにはというのが難しいですね。
北見:人々に聴かせるには、楽譜からくみ取って、工夫したり、考えたりして弾かないといけないというハイドンって、難しいと思います。
吉田:ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンのヴィオラの8分音符の刻みの違いには、職人技のような面白さがあります。モーツァルトはノリや楽しげな雰囲気で弾ける一方で、ハイドンは音に何だか緊張感があります。
 
カルテット・プリマヴェーラはチャイコフスキーの弦楽四重奏曲第1番です。
石川:昨年は、ベートーヴェンやモーツァルトなどの古典を勉強しましたので、今年はロマン派、現代曲をやっていこうと考えました。
:候補のなかで「チャイコフスキー、やってみる?」みたいな感じで決まりました。有名で良い曲ですし、やったことがなかったので挑戦してみようと思いました。
 
カルテット・プリマヴェーラのお二人のこのコンサートへ向けての意気込みや未来のことを聞かせてください。
石川:このコンサートの前日が大学の卒業式なのです。学生最後のコンサートをがんばりたいと思います。自分たちが勉強してきたことをチャイコフスキーとメンデルスゾーンで活かして、しっかりと準備をして、一番良いものが作れるようにしたいです。
:もちろん本番が楽しみですが、リハーサルも楽しみで、エクセルシオのみなさんとお話しして、盗めるもの(笑)を盗みたいと思っています。ちょうどみんなの進路が変わる時期で、今後がはっきりと決まっているわけではありませんが、(卒業後も)機会があれば、このメンバーで海外のセミナーとかに行ってみたいとすごく思います。


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