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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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アーティスト・インタビュー

吉野直子(ハープ)

子どもといっしょにクラシック
音楽と絵本コンサート『うきわねこ』

 絵本とともに生の朗読と演奏をお届けする「音楽と絵本コンサート」。親子で楽しめるコンサートとして毎回好評をいただいています。
 コンサートの出演者であり、音楽と絵本『うきわねこ』の音楽構成を考えてくださったハープ奏者の吉野直子さんにお話を伺いました。

音楽と絵本コンサート『うきわねこ』は2015年以来の再演です。初演時にこの絵本を選ばれたきっかけは?

Ukiwaneko_SS.jpg吉野:いくつか絵本を読んでみましたが、その中でこの『うきわねこ』は、空を飛んだり、夜の星を眺めたり、魚を釣ったり......いろいろな情景が描かれていて、物語や絵から音楽が頭に浮かんできました。また、楽器がフランスで発展したこともあり、ハープの作品にはフランスの作曲家のものが多いのですが、楽器編成として、ハープ、フルート、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの五重奏の曲が『うきわねこ』のふわっとした絵に合いそうだなと思いました。色彩もカラフルだけど原色というよりは淡い感じで、この色合いも音楽で表現できるかなと思いました。
 絵本からうれしい、さびしい、いとおしい、あったかいなどいろいろな感情を感じることができます。ハープも柔らかい、やさしいというイメージがあるかもしれませんが、優雅なだけではなく、実は、強さや激しさなどさまざまな表現を持っているので、その部分が『うきわねこ』と重なる気もしました。20240302Ukiwaneko_(C)OkuboMichiharu_MG_3390S.jpg

共演のみなさまについて教えてください。

吉野:フルートの佐久間由美子さんとヴァイオリンの川田知子さんとは同年代です。佐久間さんはフルートとハープということで共演の機会も多く、絶対的な信頼感があります。川田さんも同じで、おふたりとも信頼感はありますが、今回はどんな音楽をいっしょに作れるかな、と楽しみにしています。ヴィオラの村松龍さんは、ご自身も子育て真っ最中のパパで、前回の公演でも小さなお子さんたちにどうやって音楽を楽しんでもらおうかいろいろ考えてくださっていたのが印象的です。また、ヴィオラは五重奏の中でも要を握っているなくてはならない楽器なので注目して聴いてみてください。チェロの遠藤真理さんは、今回のような編成での共演は初めてでとても楽しみにしています。20240302performer_S.jpg

20240302WatanabeMari_SS.jpg朗読は前回と同じくアナウンサーの渡辺真理さんですね。一言一言とてもはっきりと聞こえてきて、絵本や音楽にも溶け込んでいて、自然と物語へと誘ってくださるお声ですよね。

吉野:渡辺真理さんは大学の同級生というご縁で前回ご出演いただき、今回もまたご一緒できるのを楽しみにしています。

第1部と第2部、それぞれどんなプログラムでしょうか?

20240302Ukiwaneko_(C)OkuboMichiharu_MG_3161.jpg吉野:第1部では、一つ一つの楽器紹介をしながらその楽器の音を聴いてもらうプログラムです。<ハープ><ヴァイオリンとヴィオラ><チェロとハープ><フルート四重奏>とさまざまな音色を、そして最後は5人でのアンサンブルをお聴きいただきます。5つの楽器が合わさるとどんな音色になるのかお楽しみください。
 第2部の音楽と絵本『うきわねこ』では、フランスの作曲家による、この編成での五重奏の素敵な曲がたくさんあるのでそういった曲を中心に、ハープのソロや弦楽三重奏など、絵本とともに様々な音楽を楽しめるように構成しました。


音楽は『うきわねこ』用に作曲されたわけではなく、すべて既存のクラシック曲の中からシーンに合わせて選んでいただいたのですよね。どの曲も絵本のシーンにぴったりで驚きます!

吉野:「音楽と絵本コンサート」は、視覚的に絵本があり、さらに音楽もちゃんと楽しめる工夫があっていいですよね。このコンサートに来てくれた子どもたちの心のどこかに思い出が残ってくれたらいいなと思っています。親御さんも普段はゆっくりコンサートへ行けないかもしれないので、こういった機会に楽しんでいただけたら嬉しいです。


吉野さんは子ども時代によくコンサートへ行かれましたか?

吉野:6歳でアメリカに引っ越してから、ハープ奏者の母がスーザン・マクドナルド先生のレッスンを受けることになり、私もいっしょに習い始めました。その頃から母にロサンゼルス・フィルハーモニックのコンサートに連れて行ってもらっていました。当時、アメリカではクラシックのコンサートは大人の楽しむ場所という感じで子どもはほとんどいなかったので、最初は奇異な目で見られたのですが、きちんと聴いていたら終演後に「おめでとう!」と周りの大人たちから認めてもらえて(笑)。子どもの頃からいい音楽を生で聴く機会を両親が与えてくれたことに感謝しています。演奏者を目の前で見たり、息遣いを感じたり、演奏者同士が息を合わせている様子を同じ空間で体験できたことは大きかったです。

20240302Ukiwaneko_(C)OkuboMichiharu_MG_3388S.jpg 「音楽と絵本コンサート」でも、出演者が一体となって作る生のステージの迫力を、子どもたちに感じてもらえたら嬉しいですね。