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トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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アーティスト・インタビュー

東京混声合唱団より 松崎ささら(コンサートマスター/ソプラノ)

子どもといっしょにクラシック~心にひびく 歌のコンサート

 毎回様々な内容で年に3回程度お届けしている「子どもといっしょにクラシック」シリーズ。2023年9月9日(土)は、「心にひびく歌のコンサート」と題し、みなさんと「合唱で聴く歌」を楽しみたいと思います。
 合唱といえば、BS朝日で放送中の「子供たちに残したい美しい日本の歌」に出演したり、全国各地でコンサートや学校での巡回公演などを行っている、日本を代表するプロの合唱団、東京混声合唱団(東混・とうこん)!コンサートマスターを務めるソプラノ歌手の松崎ささらさんにお話を伺いました。

中学校や高校でクラス対抗合唱コンクールがあったり、NHK合唱コンクールに挑戦したことのある方がいたり、実は私たちにとって子どもの頃から身近な合唱ですが、1人ではなく、複数人で歌う「合唱」の魅力とはなんでしょうか?

松崎:お互いにいっしょに歌っている「空間」や「時間」を楽しんでいると、歌を通して「一つになっていく」「いっしょに何かつくれた!」という喜びがあります。いま初めて知り合った人たちでも、いっしょに歌うことによってつながりあえる楽しさもありますね。人間だからこその「響き合い」も体感できます。自分の響きも感じて、相手の響きもキャッチしながらいっしょに音楽をつくるのは気持ちよく高揚感もあると思います。歌う場所や聴いてくださっている皆さま、その日のお天気でも歌う時の気持ちが変わったりするのは面白いです。まさに一期一会ですね。MatsuzakiSasara_IMG_3091.jpg

今回のプログラムはお子さまもよく知っている曲がほとんどですが、すべて混声4部(ソプラノ・メゾソプラノ・テノール・バス)合唱で歌われるのでしょうか?

松崎:「合唱での歌声を聴いてもらいたい歌」は合唱用に4声や2声に編曲したものを、「いっしょに遊ぶ歌」はみなさんも歌ったり口ずさめるように、合唱団もみなさんと同じメロディを歌ったりします。

PoPaPePoPiPaPu.jpgトリトン・アーツ・ネットワーク主催の子どもといっしょにクラシックシリーズでは「音楽と絵本」が大人気の企画の一つです。合唱と絵本が合わさったらとても素敵な世界が生まれるのでは!?と思い、今回のコンサートでも東混のみなさまにお願いをしました。絵本は、造形作家・岡崎乾二郎さんと、詩人・谷川俊太郎さんによる『ぽぱーぺぽぴぱっぷ』(クレヨンハウス刊)を選びました。

松崎:絵本とのコラボレーションは初めての試みで楽しみです!音楽は寺嶋陸也さん作曲の《ヴォカリーズ・エチュード》の中から合わせたいと思っています。ストーリーのない絵本に、歌詞のない歌、無限の想像の世界へ行くことができそうですね。

絵本はステージ上の大きなスクリーンに投影するので、小さなお子さまにもよく見ていただけると思います。
 それぞれの回のプログラムはどのような内容でしょうか?

松崎:子育て中の親御さんは普段なかなかコンサートに出掛けられないと思うので、ぜひ親御さんにも楽しんで欲しいと思い、今回出演する子育て真っ最中のメンバーとも相談しました(小林祐美さん1児、大沢結衣さん1児、栗原苑子さん2児、北野悠美さん3児)。
 親目線でどんな歌を子どもに聴かせたいかな?とか、子どもが楽しめる歌はもちろん、親が癒されるようなそんな時間も作りたいねという話も出ました。また、ソプラノの大沢結衣さんは踊りも上手なので、みなさんいっしょに踊ってくださいね!

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歌っていいな 親子で歌おう、いっしょに遊ぼう
(11:00から4歳以上)

松崎:まず、朝起きて太陽とこんにちはして《手のひらを太陽に》、天気が良いので《さんぽ》にでかけましょう! さんぽの途中でお腹がすいてきました《カレーライスの歌》《お腹のへるうた》《グーチョキパーでなにつくろう》で遊びながらご飯を食べましょう。お腹がいっぱいになったらねむくなってきて《ゆりかごのうた》ですやすや、《音楽と絵本『ぽぱーぺぽぴぱっぷ』》の夢をみました。起きたら空に虹がでていました《にじ》。こんな素敵な1日の想定なんです。
 東京混声合唱団の音楽監督で指揮者の山田和樹さんの「音楽のドからシまでの7音が7色の虹と同じだよね」というお話にヒントを得て、《にじ》の次に《ドレミの歌》を入れてみました。皆さんにボディパーカッションもしていただくのでお楽しみに♪《幸せなら手をたたこう》は不思議な曲で、この曲に合わせてみんなで手を叩いたりすると、なぜかみんなニコニコ笑顔になって幸せな気持ちになる魔法の曲です。《ぼよよん行進曲》は、「おかあさんといっしょ」でも大人気の歌ですよね。


元気をくれる歌、心に響く歌、歌い継ぎたい歌...
(14:00から小学生以上)

松崎:小学生の皆さんが自分たちで歌って楽しむ歌や歌い継いでいきたい歌を選びました。《気球に乗ってどこまでも》は、元々はNHK合唱コンクールの課題曲で小学校でもよく歌われる歌ですね。《七つの子》《紅葉》《赤とんぼ》は昔から歌い継がれている歌ですが、聴いたことのない子どもたちにも、素晴らしい日本の童謡・唱歌をぜひ聴いて知って欲しいという気持ちを込めています。《幸せなら手をたたこう》は年代問わず楽しめる歌です。
 《ビリーヴ》(NHK「生きもの地球紀行」の3代目エンディングテーマ)は全国の小学校で一番よく歌われているのではないかと思います。「ぜひみなさんもいっしょに歌ってください!」そう言える日が戻ってきたことに本当に嬉しさを感じています。そして、《音楽と絵本『ぽぱーぺぽぴぱっぷ』》の後の《ドレミの歌》では、小学生以上のみなさんともボディパーカッションでいっしょに楽しみたいと思っています。《翼をください》は小学生から大人までみなさん知っている名曲ではないでしょうか。
 歌のコンサートではありますが、歌うことが苦手な方でも手拍子やボディパーカッションなどで歌に合わせて身体を動かすことでいっしょに音楽をつくっているような気持ちになれると思います。

《ビリーヴ》はコロナ禍で東混メンバーがリモートで歌い、Youtube配信されてましたね。また、「子どもといっしょにクラシック」ではありますが、お子さまがご一緒でない方にも楽しんでいただけると思います!


東混の歌声をもっと聴いてみたいという方は、こちら

東混のコンサートへ行くと、歌わないで聴いているだけでも、歌によって自然と笑顔になったり、歌詞をあらためて味わうとかわいらしい童謡でもぽろぽろと涙がでてきたり、「歌」は歌詞があるので気持ちが入り込みやすいと思います。歌詞を大切に歌う秘訣はなんでしょうか?

松崎:日本語がもとからもっている「抑揚」を大事にして、歌にコントラストを付けるようにしています。オペラなどもそうですが、「しゃべるように歌う」と言葉の流れから音楽につながっていき、言葉も音楽も交じり合って不自然でなく聴こえてくると思います。また、歌い手それぞれが歌詞から思い描くものがあると思いますが、その頭の中の映像が伝わるように歌っているかもしれません。

全国各地、いろいろなところでコンサートをされると思いますが、印象に残っている出来事はありますか?

松崎:コロナ禍で「音のキャッチボール」をしたのですが、目には見えない「音のボール」を東混のみんながステージから投げたら、客席でちゃんとみなさまキャッチしてくださるんです。0歳児の子たちも取ろうとしてくれて、そしていろいろな「音のボール」を投げ返してくれたり。いっしょに歌ったりはできなかったのですが、すごく一体感が生まれて楽しかったのを憶えています。

子守歌、童謡、唱歌など、私たちは赤ちゃんの頃からたくさんの歌に囲まれていますね。そして、幼児から大人まで誰でも参加できいっしょに楽しむことができるのが「歌」!9月9日の公演でもみなさまといっしょに素敵な時間を過ごせることを楽しみにしています。ところで、松崎さんが声楽家になられたきっかけは?

松崎:父が東京混声合唱団の団員だったんです。母のおなかの中にいる頃から歌は身近に聴いていたのだと思います。家で練習している父を見ていて、やっぱり素敵だなとは思いました。小学生の頃からコンサートへは何度も行っていました。第一生命ホールで毎年8月に開催している「八月のまつり」は、まだ自分が東京混声合唱団に入る前から毎年聴きに行っていて、林光さんの作品は「言えないことを歌を通じて言ってくれている」と感じて、そんなところも合唱の魅力だと感じます。