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クァルテット・ウィークエンド
カルミナ四重奏団
報告:Y.K/会社員
投稿日:2011.11.13
ブラームス「ピアノ四重奏曲第3番 ハ短調」は、カルミナQと田部京子さんの信頼関係を感じさせる、息の合った共演。
カルミナ四重奏団(以下、カルミナQ)は4つの楽器の一体感を最大限、味わわせてくれる弦楽四重奏団であり、絶妙なアンサンブルを堪能した。演奏している姿を見ているだけで、4人の同じ息遣い、呼吸が伝わってくるようだ。日本初演のファビアン・ミュラー「弦楽四重奏曲第2番 ヘルヴェディア」、2010年の作曲だが奇をてらったような難解な現代曲ではなく、聴きやすかった。しかしながら、私はスイスの伝統音楽について知識がないので、モチーフにした原曲がわからない。プログラムの楽曲解説に「全曲が終わるや会場に笑い声が巻き起こっていた」とあるが、それを実感できず残念だ。
メンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第2番 イ短調」、18歳で作曲した作品とは驚くばかり。若々しさと同時に重厚さも感じさせるのは、ベートーヴェンを意識した曲だからなのだろうか。カルミナQが若いときから取り組んだ作品だそうで、思い入れも深いのだろう、情熱的な演奏だった。第一ヴァイオリンの澄んだ音が本当に美しい。高音も神秘的に優しく響く。また、楽器の個々がそれぞれ際立つような箇所があり、聴いていて楽しい曲だった。
ブラームス「ピアノ四重奏曲第3番 ハ短調」は、カルミナQと田部京子さんの信頼関係を感じさせる、息の合った共演。チェロ奏者が絶えず田部さんに視線を送っていたのが印象的だった。ピアノと弦楽器の室内楽、特にこのようなドラマチックな曲ではピアノが主張しがちではないかと思うが、田部さんのピアノは弦楽器の一種のように溶け合っている。それでいて埋もれることなく、音を響かせる技術は素晴らしかった。アンコールのブラームス「ピアノ五重奏曲ヘ短調 第三楽章」も味わい深かった。
演奏会の後で、これらの曲をレコーディングする予定であることを知ったが、一番充実しているであろうこの時期に、聴くことができたのは大変幸運だった。
公演に関する情報
クァルテット・ウィークエンド
カルミナ四重奏団
日時:11月13日(日)14:00
出演:カルミナ四重奏団 共演:田部京子