トリトン・アーツ・ネットワーク

第一生命ホールを拠点として、音楽活動を通じて地域社会に貢献するNPO法人です。
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アーティスト・インタビュー

エルデーディ弦楽四重奏団

エルデーディ弦楽四重奏団
~ベートーヴェン充実の中期とモーツァルト純化の晩年III

ベートーヴェンの中期とモーツァルトの晩年の作品をメインにおいた「ベートーヴェン充実の中期とモーツァルト純化の晩年」の第3回を2月に控えているエルデーディ弦楽四重奏団。
ヴァイオリンの蒲生克郷さん、チェロの花崎薫さんにお話を伺いました。

エルデーディ弦楽四重奏団によるベートーヴェン充実の中期とモーツァルト純化の晩年III

エルデーディ弦楽四重奏団(c)成澤稔

ベートーヴェンの中期とモーツァルトの晩年の作品をメインにおいた、このシリーズも3回目を迎えました。
モーツァルトの弦楽四重奏曲では最後の作品K590 「プロイセン王第3番」です。この「プロイセン王」は、チェロ好きのプロイセン王のためにかかれた3曲と言われています。
お客さまの中には、演奏がご趣味の方も見受けられます。モーツァルトは、演奏も嗜んだ王さまにどのような曲をかかれたのでしょうか?
チェロ奏者からみた作品の特徴について、花崎薫さんに伺ってみました。

花崎:「プロイセン王」の3曲はモーツァルトにしては珍しくチェロに焦点を当てた作品で、特に第2番の2楽章に、チェロの美しいメロディーが作曲されています。献呈されたプロイセン王、フリードリッヒ・ヴィルヘルムⅡ世は当代随一のフランスの名チェリスト、デュポールにチェロを師事したとされています。王のチェロの腕前は定かではありませんが、もしモーツァルトのこの作品を音楽的に演奏したとすれば、相当な腕前だったといえまKiriyama_Kaoru(C)NarisawaMinoruDSC_4443_6.jpgす。現代のチェロ奏者にとってもこのメロディーは相当な難物で、華やかに歌いあげるのはかなりのセンスが必要です。しかも楽譜には、sotto voce(ささやくように)と書かれているので、朗々と歌うことはできないのです。モーツアルトはほとんどチェロのための作品を残していませんので、彼としてはやはり王がチェロを演奏するということを意識したのだと思います。しかしながらこの曲の本当の価値は、その魅力にあります。
どこまでも美しく、軽妙洒脱といいましょうか、おしゃれでなくてはなりませんし、しかし化粧が濃すぎてはいけません。気品が求められます。美しく透き通る真珠のような作品です。

ベートーヴェンは「ハープ」です。前回演奏された「セリオーソ」とほぼ同じ時期に作曲されていますが、この曲にはどのような魅力や特徴がございますか?
蒲生:この曲は「セリオーソ」よりは、むしろその前の作品「ラズモフスキー」3曲から開放された伸びやかさや、柔らかさを持った作品として独自の世界観を持っていると思われます。

Gamo_Atsumi(C)NarisawaMinoruDSC_4443_7.jpgモーツァルトとベートーヴェンの間に、近代の作品として選ばれたのが、ストラヴィンスキーの「弦楽四重奏のための3つの小品」です。
モーツァルトやベートーヴェンと比べると、時代もかなり離れていますし、曲の印象もかなり異なります。

蒲生:まさにそこを考えてといいますかモーツアルトとベートーヴェンから離れて少々毛色の変わったものを入れたいという希望からストラヴィンスキーに落ち着きました。何しろ「春の祭典」の翌年(1914年)に作曲されていて、粗野で変拍子的なところが共通していてなかなかに面白い作品です。

第1回ではイベール(フランス)、第2回ではドホナーニ(ドイツ)に続き、第3回はストラヴィンスキー(ロシア)を選ばれました。第3回はロシアものから選ぼうと思われたのでしょうか?
蒲生:ストラヴィンスキーはロシア出身ですがこの頃はパリに住んでいてしかも「春の祭典」初演時の騒動でも分かる通りその音楽は前例のないものでした。その後の音楽的変遷を考えてもロシア物と限定できません。

過去にこの作品は演奏されたことはございますか?
蒲生:この曲は以前紀行シリーズ「パリ」編で、一度演奏しております。

今年は、新型コロナウイルス感染症の影響で、演奏活動ができない時期があったり、緊急事態宣言が出て、みなさんが集まってリハーサルをすることが難しかったと思いますが、どのように過ごしていらっしゃいましたか?
蒲生:確かに影響はあったと思いますが、その間に演奏会も録音も一応こなしましたし、カルテットの活動には大きな影響はあまりなかったように思います。もちろん全然ないわけではなかったですが。ということで、考え方や過ごし方などに大きい変化は感じておりません。ErdodyQ(C)NarisawaMinoru_DSC_4465.JPG

過去のインタビューをご覧いただけます。
【I】 2019年2月23日(土) 14:00開演
モーツァルト:弦楽四重奏曲 第21番 ニ長調 K575 「プロイセン王第1番」
イベール:弦楽四重奏曲 ハ長調
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第8番 ホ短調 Op.59‐2 「ラズモスキー第2番」
過去のインタビューは こちら

【II】 2020年2月2日(日) 14:00開演
ドホナーニ:弦楽四重奏曲 第3番 イ短調 Op.33
モーツァルト:弦楽四重奏曲 第22番 変ロ長調 K589 「プロイセン王第2番」
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第11番 ヘ短調 Op.95 「セリオーソ」
過去のインタビューは こちら